ウィリアムズ・FW42
ウィリアムズ・FW42 (Williams FW42) は、ウィリアムズが2019年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。
カテゴリー | F1 | ||||||||||
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コンストラクター | ウィリアムズ | ||||||||||
デザイナー | パディ・ロウ (CTO) | ||||||||||
先代 | ウィリアムズ・FW41 | ||||||||||
後継 | ウィリアムズ・FW43 | ||||||||||
主要諸元 | |||||||||||
エンジン |
メルセデス M10 EQ Power+ 1.6L V6ターボ | ||||||||||
タイヤ | ピレリ | ||||||||||
主要成績 | |||||||||||
チーム | ロキット・ウィリアムズ・レーシング | ||||||||||
ドライバー |
ジョージ・ラッセル ロバート・クビサ | ||||||||||
出走時期 | 2019年 | ||||||||||
通算獲得ポイント | 1 | ||||||||||
初戦 | 2019年オーストラリアGP | ||||||||||
最終戦 | 2019年アブダビGP | ||||||||||
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概要
編集2019年2月15日に画像が初公開された[1]。それに先立つ2月11日に体制発表会が行われ、携帯電話会社の「ROKiT(ロキット)」がタイトルスポンサーになることが決まり、水色と白を基調としたカラーに変更された[2]。
2019年シーズン
編集ドライバーはロバート・クビサがリザーブ兼開発ドライバーから昇格し2010年以来9年ぶりのF1復帰、メルセデスのジュニア・ドライバー・プログラム出身の新人ジョージ・ラッセルがチームメイトとなる。
前年は最下位に低迷した成績やタイトルスポンサーとなっていたマルティーニを失うなど暗いニュースばかりであったが、新たなタイトルスポンサーとしてロキットの獲得や実力があるとされるドライバーの起用など、明るいニュースもあった。ところが、2月18日からカタロニア・サーキットで行われる合同テストへの参加を優先し、その事前に行う予定であったシェイクダウンの中止を発表。ただ、この時点ではレギュレーションの変更が遅れた影響[3]やシェイクダウンなしで合同テストへ参加する例もあったため、そこまで深刻に思われていなかった。
ところが、その方針に変更しても、マシンの完成が間に合わず[4]、2日半遅れでマシンが現地に到着。これについては、シーズン後の別の取材[5]の際、2019年のマシンのクラッシュテストは6回の不合格を出したことが判明。レギュレーションに関係なく、マシン開発が遅れたことが示唆された。3日目の2月20日に初走行を果たしたが[6]、テスト用のパーツの到着はさらに遅れる見通しとなった。しかも、テスト用のパーツが到着してからも記録では下位に沈み、遅延を逆手にとってのマシン性能の向上はおろか、マシンの性能不足が露呈。更にスペアパーツ不足によりマシンデータの収集にも失敗[7]。そのうえ、フロントサスペンションとミラーのデザインについてFIAに違法と指摘されたため、開幕までに微調整が必要となった[8]。さらに開幕1週間前にチーフテクニカルオフィサー(CTO)のパディ・ロウが休職する事態[9]となり、最終的には6月25日付でロウがウィリアムズチーム及び取締役会から退くことを発表された[10]。
シーズン前半だが、違法箇所の修正は開幕戦オーストラリアGPまでに間に合ったものの、マシン性能は改善した兆候がなく、それどころかクビサはサイドミラーが脱落する事態[11]に見舞われるなど、マシンが未完成な可能性も懸念される状況であった。他にもシーズン序盤は資金不足に起因するスペアパーツ不足により、レースペースが制限されるというチーム問題[12]を抱え、第3戦中国GP終了後にはクビサが「前年型よりレースペースが悪化した印象がある」[13]というコメントを筆頭に度々悲観的なコメントをし、ラッセルも肯定的なコメントでチームの士気を下げないように努力しているものの、厳しい状況であることは認めている[14]。そんななか、第14戦イタリアGPまで2台とも全戦完走が続き、両ドライバー共に全戦完走の可能性が見えていたが、第15戦シンガポールGPでラッセルがロマン・グロージャンとの接触でリタイアしたことで途絶えた[15]。
雨絡みのレースとなった第11戦ドイツGPでクビサが入賞したが、この時は入賞したマシンらのペナルティの影響による繰り上げの結果であり、それに対し控訴されたため結果が未確定であったが、9月25日に控訴が棄却されレース結果が確定[16]。これにより年間無得点の事態は避けられることとなった。また、ラッセルが第12戦ハンガリーGPで予選Q1敗退が常態化していた中、Q2進出まであと一歩まで迫ったのが[17]唯一の見せ場となった。だが、10位入賞基準となった2010年以降も不振の年はあれど自力入賞は記録し、予選もQ3進出を数回は果たしたのに対し、今季は入賞争いを一度もできず、予選は全てQ1落ちという大不振であり、チームの歴史上最悪と言っても過言ではないシーズンとなってしまった。
スペック
編集シャシー
編集- 型式:FW42
- シャシー構造:カーボンファイバー/ハニカムコンポジット構造
- フロントサスペンション:プッシュロッド式ダブルウィッシュボーン/スプリング&アンチロールバー
- リアサスペンション:プルロッド式ダブルウィッシュボーン/スプリング&アンチロールバー
- ギアボックス:ウィリアムズ 8速シームレスシーケンシャル・セミオートマチック+リバース/電子油圧制御によるギアセレクト
- クラッチ:カーボンマルチプレート
- ダンパー:ウィリアムズ製
- ホイール:ダイキャスト製鍛造マグネシウム
- タイヤ:ピレリ P-Zero
- ブレーキシステム:APレーシング 6ピストン(フロント)、4ピストン(リア)キャリパー/カーボンディスクブレーキ&パッド
- ステアリング:ウィリアムズ製パワーアシスト・ラック・アンド・ピニオン
- 燃料システム:ケブラー強化ゴムタンク
- 電子システム:FIA SECU スタンダードECU
- 冷却システム:アルミオイル&冷却水、ギアボックス・ラジエーター
- コックピット:75mmショルダーストラップ&HANSシステム付6点式シートベルト/着脱式ドライバー専用カーボンファイバーシート
- 全高:950mm
- 全幅:2,000mm
- 重量:733kg(燃料・冷却水・ドライバー含む)
パワーユニット
編集記録
編集年 | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | ポイント | ランキング |
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AUS |
BHR |
CHN |
AZE |
ESP |
MON |
CAN |
FRA |
AUT |
GBR |
GER |
HUN |
BEL |
ITA |
SIN |
RUS |
JPN |
MEX |
USA |
BRA |
ABU | |||||
2019 | 63 | ラッセル | 16 | 15 | 16 | 15 | 17 | 15 | 16 | 19 | 18 | 14 | 11 | 16 | 15 | 14 | Ret | Ret | 16 | 16 | 17 | 12 | 17 | 1 | 10位 |
88 | クビサ | 17 | 16 | 17 | 16 | 18 | 18 | 18 | 18 | 20 | 15 | 10 | 19 | 17 | 17 | 16 | Ret | 17 | 18 | Ret | 16 | 19 |
脚注
編集- ^ “【ギャラリー】ウイリアムズF1がニューマシン『FW42』の画像を初公開”. AUTOSPORTweb (2019年2月16日). 2019年2月26日閲覧。
- ^ “2019年シーズンの巻き返しを期すウイリアムズF1が新カラーリングとスポンサーを発表”. AUTOSPORTweb (2019年2月12日). 2019年2月26日閲覧。
- ^ “ウイリアムズ、シェイクダウンをキャンセルへ。規則変更決定遅れが原因?”. motorsport.com (2019年2月14日). 2019年2月26日閲覧。
- ^ “復活に向け不安要素……ウイリアムズ、開発の遅れによりテスト初日を欠席”. motorsport.com (2019年2月17日). 2019年2月26日閲覧。
- ^ ウイリアムズ、2020年はクラッシュテスト一発合格。復活の兆し?jp.motorsport.com(2020年1月16日)2020年1月16日閲覧
- ^ “ウイリアムズ、ようやく初走行も……”パーツ待ち”で空力テストできず”. motorsport.com (2019年2月21日). 2019年2月26日閲覧。
- ^ “クビカ、第2回F1プレシーズンテスト最終日のマシンに落胆。「最適という状態には程遠い」”. AUTOSPORTweb (2019年3月4日). 2019年3月10日閲覧。
- ^ “ウイリアムズF1、『FW42』の合法性を確実にするために開幕戦に向けてマシンを修正”. AUTOSPORTweb (2019年3月9日). 2019年3月10日閲覧。
- ^ “苦境続くウイリアムズF1、技術責任者パディ・ロウの休職を発表”. AUTOSPORTweb (2019年3月7日). 2019年3月9日閲覧。
- ^ “低迷続くウイリアムズF1、技術責任者パディ・ロウの離脱を正式に発表”. AUTOSPORTweb (2019年6月26日). 2019年7月1日閲覧。
- ^ クビサ復帰戦はレース前からトラブル続発……ウイング破損にミラー脱落!?jp.motorsport.com(2019年3月18日)2019年4月1日閲覧
- ^ 【ウィリアムズ】戦闘力不足に加えてスペアパーツ不足もwww.topnews.jp(2019年3月30日)2019年4月1日閲覧
- ^ クビサをもってしてもお手上げ? ウイリアムズのマシンは「レースペースがない」jp.motorsport.com(2019年4月15日)同年同月16日閲覧
- ^ ラッセルの苦境はチャンス? 下位チームで実力を証明した21世紀のドライバー5選jp.motorsport.com(2019年4月15日)同年同月16日閲覧
- ^ “クビサ「タフだったが、これほど良いレースができたことは大きな成果だ」:ウイリアムズ F1シンガポールGP日曜”. autosport web (2019年9月24日). 2019年9月24日閲覧。
- ^ 2ヶ月を経てようやくF1ドイツGPのリザルトが確定、FIA アルファロメオの控訴を棄却 formula1-data.com (2019年9月25日)2019年9月25日閲覧
- ^ レーシングポイント&リカルド撃破のラッセル「ポールラップのようだった」jp.motorsport.com(2019年8月4日)同年8月5日閲覧