アプラナート: Aplanat )とは、光学系の収差補正状況を示す言葉の一つで、球面収差[1]コマ収差[1]を解消していることを言う。

「光路長一定の条件」と「正弦条件」を同時に満たすことで光学系はアプラナートになる[1]

望遠鏡における歴史

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反射鏡だけでこれを達成するには最低2枚の鏡が必要である[2]

ニュートン式望遠鏡[1]の平面斜鏡[3]は光軸の向きを変えるだけ、カセグレン式望遠鏡[1]の双曲面副鏡[3]グレゴリー式望遠鏡[1]の楕円面副鏡[3]は合成焦点距離を伸ばすためだけに使われており[3]、放物面主鏡は球面収差を発生しない[3]ものの正弦条件を満たさずコマ収差が発生する[1][3]のでアプラナートではない[1][3]

ドイツのカール・シュヴァルツシルトは1905年[2]に2枚の非球面鏡で初めてアプラナートを実現し、しかも像面湾曲もなかった[2]が、2枚とも球面から大きく外れており当時は実製作に至らなかった。

1908年[2]にヘンリー・ジーデントップ[2]Henry Siedentopf )が凸球面主鏡と四次曲面カーディオイド鏡を組み合わせてアプラナートを実現した[3][2]が、この光学系は口径食が著しく天体観測に応用された例はない[3][2]。しかし「カーディオイド集光器」として[2]顕微鏡暗視野照明用集光器の高級品に使われている[3][2]

リッチー・クレチアン式望遠鏡[1]はアプラナートである。シュミット式望遠鏡は非点収差も解消しており、正確に言えばスチグマートである[1]

関連項目

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  • スチグマート - 球面収差とコマ収差と非点収差を解消していること。
  • アナスチグマート - 球面収差とコマ収差と非点収差と像面湾曲を解消していること。
  • アクロマート - 2色に対して軸上色収差を補正したアプラナートになっていること。
  • アポクロマート - 3色に対して軸上色収差を補正し、そのうち2色についてアプラナートになっていること。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j 『天文アマチュアのための望遠鏡光学・反射編』pp.91-110「収差とその対策」。
  2. ^ a b c d e f g h i 『天文アマチュアのための望遠鏡光学・反射編』pp.167-201「リッチー・クレチァン望遠鏡」。
  3. ^ a b c d e f g h i j 『天文アマチュアのための望遠鏡光学・反射編』pp.53-70「反射望遠鏡の種類」。

参考文献

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