アクアマリンふくしま
ふくしま海洋科学館(ふくしまかいようかがくかん、英: Marine Science Museum, Fukushima Prefecture)は、福島県いわき市小名浜に所在する水族館。愛称はアクアマリンふくしま(英: aquamarine Fukushima)。
ふくしま海洋科学館 Marine Science Museum, Fukushima Prefecture | |
---|---|
施設情報 | |
正式名称 | ふくしま海洋科学館[1] |
愛称 |
アクアマリンふくしま (aquamarine Fukushima) |
専門分野 | 総合 |
事業主体 | 福島県 |
管理運営 | 公益財団法人ふくしま海洋科学館(指定管理者)[2] |
最大水槽容量 | 2,050t(潮目の大水槽 黒潮1,500t 親潮550t) |
水槽総容量 | 5,100t[3] |
開館 | 2000年(平成12年)7月15日 |
所在地 |
〒971-8101 福島県いわき市小名浜字辰巳町50 |
位置 | 北緯36度56分33.9秒 東経140度54分05.4秒 / 北緯36.942750度 東経140.901500度 |
公式サイト | アクアマリンふくしま 公式サイト |
施設は福島県が所有し、県の外郭団体である公益財団法人ふくしま海洋科学館が指定管理者として運営管理を行う。東北有数の水族館である[4]。
施設
編集浜通り南部の太平洋に面した小名浜港第2号埠頭(いわき小名浜みなとオアシス・アクアマリンパーク内)に立地する。「海洋科学館」や「環境水族館」という名目のごとく、観光施設の要素に加えて教育施設の側面も持ち、水生生物の環境事業も行っている。そのため施設内にタッチングプールや展示物を設け、水生生物保全センターを設置している。[5]
愛称「アクアマリンふくしま」は、1998年に実施した全国公募の結果、応募総数4,722点の中から選定された。水族館 (Aquarium) と海洋博物館・科学館 (Marine Museum) の機能を併せ持った施設であることに因み、それぞれの英文字を簡潔に組み合わせた造語「アクアマリン」でまとめた。且つ、強化ガラスのドーム屋根が、太陽光によって宝石のアクアマリンのようにきらきらと輝く様子にも因んでいる。またアクアマリンは航海の安全を祈る守護石でもあり、小名浜港に出入りする船の安全を守るシンボルとしての意味も込められている。
展示エリア・生物一覧
編集- わくわく里山・縄文の里
- 海・生命の進化
- 福島の川と沿岸
- 北の海の海獣・水鳥
- オセアニック・ガレリア
- 主な生物 - ニホンウナギ、キングエンゼルフィッシュ等
- 熱帯アジアの水辺
- サンゴ礁の海
- 親潮アイスボックス
- 潮目の海
- ふくしまの海~大陸棚への道~
- アクアマリンえっぐ
- 主な生物 - ユーラシアカワウソ、レッサースローロリス、キンカチョウ、インドシナウォータードラゴン、マダガスカルオオゴキブリ、ディスカス、トラウツボ、タマカエルウオ、会津地鶏等
- BIOBIOかっぱの里
- 主な生物 - トウキョウダルマガエル、ドジョウ等
- 蛇の目ビーチ
- シーラカンスの世界
- 主な生物 - シーラカンス(標本)、インドネシアシーラカンス(標本)、タマカイ等
- 生きた芸術 金魚
- クウェート・ふくしま友好記念日本庭園
沿革
編集年表
編集- 1990年(平成2年) - 福島県海洋性レクリエーション懇談会にて、海洋文化・学習施設を、いわき市に開設することが提言された[7]。
- 1996年(平成8年) - 「飼育困難生物実験施設」から着工[7]。
- 1998年(平成10年) - 愛称を全国公募し、「アクアマリンふくしま」に決定。
- 2000年(平成12年)7月15日 - 開館。
- 2006年(平成18年)5月30日 - インドネシア海域において世界2例目となるシーラカンスの水中撮影に成功。
- 2007年(平成19年)11月23日 - 新潟市水族館 マリンピア日本海と提携。
- 2009年(平成21年)9月14日 - 世界で初めてバショウカジキの飼育展示を開始。
- 2010年(平成22年)
- 2011年(平成23年)
- 3月11日 - 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に伴う津波で被災。
- 7月15日 - 営業再開。
- 8月27日 - 累計入館者数が1,000万人を突破[11]。
- 2013年(平成25年) - 和歌山県東牟婁郡串本町に水生生物保全センター串本分館をオープン[12]。
- 2018年(平成30年)11月5日 - 第10回世界水族館会議2018開催(日本国内2か所目)[13]
- 2019年(平成31年)1月16日 - 飼育していたエビのうち3種が新種であることを『ズータクサ』オンライン版で発表[14]。
- 2021年(令和3年)
- 6月28日 - 古川健 (水産学者)、統括学芸員より2代理事長兼館長に昇任[15]
- 7月18日 - 累計入館者数が1,500万人を突破[16]
- 2023年(令和5年)
- 2024年(令和6年)4月1日、登録博物館に認定された[19]
歴代理事長兼館長
編集- 安部義孝(2000年 - 2021年6月。開設館長。元上野動物園長、葛西臨海水族園開設園長)
- 古川健 (水産学者)(2021年7月 -。統括学芸員から昇格)[20]
東日本大震災
編集2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では揺れによる建物への損傷こそ殆ど無かったが、4.2mの津波が襲い、施設の地上1階全体が水没。スタッフ80人が3階に避難した。
その後、安部義孝館長の指示の下、自家発電装置で飼育生物の生命維持装置である濾過装置などを稼働していたが、日動水の支援もあり、3月16日にセイウチなど海獣を中心とした動物を他の水族館や動物園へ緊急移送(避難)させた。トド・セイウチ・ゴマフアザラシ・ユーラシアカワウソなどの海獣、ウミガラスなどは鳥類は鴨川シーワールドと伊豆三津シーパラダイスへ、カワウソが上野動物園に、ウミガラスが葛西臨海水族園など。ただしバックヤードに収容されるため基本的に展示は行われない[21][22][23]。また、2011年4月1日にはメヒカリやガーといった魚類がマリンピア日本海に避難した[24]。
搬出用のクレーンに自家発電装置用の備蓄燃料である軽油を消費したが、交通網の遮断に加えて立地するいわき市北部が福島第一原発事故による屋内退避基準の半径30kmに含まれる関係もあり、燃料と餌の調達は困難であった。その後、漁港の機能がマヒし、アザラシなどの海獣やカニなどの海洋生物・両生類・鳥類など約700種の餌も入手できず、最後に残った小型発電機の燃料を使い果たし、水の管理が出来なくなったため海洋生物20万匹が全滅したことが3月25日に判明した[22]。
また施設内のWebサーバーも被災のため公式サイトが一時不通となり、3月16日頃に「マリンピア日本海」の公式サイトで被害状態などの惨状が掲載された。
営業再開
編集2011年7月15日、震災から4か月ぶりに、営業を再開した[25]。同日は、7月16日(土)・17日(日)・18日(月、海の日)の週末3連休の前日で、同館の開館記念日にあたる。震災後に生まれ、「きぼう」と名付けられたゴマフアザラシが注目を集めた。
特長
編集世界初の実績
編集- シーラカンスの生きた幼魚の撮影
- バショウカジキの展示
- サンマの水槽内繁殖、展示[26]。
- サザレスナヒトデの発見、命名[27]
- イサリビビクニン、トモシビビクニンの発見[28]
- ダイオウモミジヒトデの発見[29]
小名浜国際環境芸術祭
編集2004年より、環境保全と海洋資源をテーマに小名浜国際環境芸術祭を開催している[30]。
入館者数
編集年度 | 入館者数 |
---|---|
2000年度 | 115万8770人 |
2001年度 | 98万6187人 |
2002年度 | 85万9117人 |
2003年度 | 75万7444人 |
2004年度 | 79万7703人 |
2005年度 | 81万5984人 |
2006年度 | 91万2529人 |
2007年度 | 100万2446人 |
2008年度 | 87万1666人 |
2009年度 | 90万3498人 |
2010年度 | 86万1326人 |
2011年度 | 25万8244人 |
2012年度 | 52万2269人 |
2013年度 | 59万7302人 |
2014年度 | 56万7069人 |
2015年度 | 55万8630人 |
2016年度 | 51万2894人 |
2017年度 | 53万2256人 |
2018年度 | 56万3517人 |
2019年度 | 53万3459人 |
2020年度 | 33万9845人 |
2021年度 | 33万5538人 |
2022年度 | 58万4564人 |
2023年度 | 61万1040人 |
入館料
編集- 一般1,800円(20名以上の団体は1,500円)
- 小学生・中学生・高校生900円(20名以上の団体は750円)
- 友好提携水族館割引
- 提携宿泊施設割引
- 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳割引
アクセス
編集車
編集電車・路線バス
編集- 東京駅から「小名浜」バス停まで約3時間。下車後徒歩約3分。
提携水族館
編集姉妹館
編集福島県耶麻郡猪苗代町にあるアクアマリンいなわしろカワセミ水族館(旧・いなわしろ淡水魚館)を、2015年より運営している。
友好館
編集新潟県の新潟市水族館 マリンピア日本海と2007年(平成19年)11月23日に友好館提携契約を締結。情報交換や技術提携など相互間の協力が図られている他、いずれかの年間入場パスポートを所有している入館者に対し割引制度が設けられている。
報道
編集TV
編集- 夢の扉 〜NEXT DOOR〜(TBSテレビ番組) - 2007年(平成19年)5月13日付
- ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪(NHK教育テレビジョン) - 2023年(令和5年)5月24日付
脚注
編集出典
編集- ^ ふくしま海洋科学館条例
- ^ 指定管理者制度導入施設[リンク切れ]
- ^ ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪(NHK教育テレビジョン) - 2023年(令和5年)5月24日付 より
- ^ 最大としては仙台うみの杜水族館(マリンピア松島水族館後継)が挙げられる
- ^ 教育普及活動
- ^ 「世界初!サンマの水槽内繁殖に成功 アクアマリンふくしま」【産経】2021年6月19日付
- ^ a b アクアマリン福島>開館までの道のり
- ^ a b 新潟にさらに魚1800匹 薬剤ミスで全滅受け提供[リンク切れ](『河北新報』2010年6月22日)
- ^ 魚大量死のマリンピア日本海をアクアマリンが支援 Archived 2012年6月20日, at the Wayback Machine.(福島民友 2010年6月20日)
- ^ 魚大量死の水族館、福島から援軍1800匹 新潟(『朝日新聞』2010年6月20日)
- ^ アクアマリン1000万人(『福島民報』2011年8月28日)
- ^ 和歌山)つなぐ復興 福島の水族館分館、串本でオープン(『朝日新聞』 2014年3月11日)
- ^ アクアマリン福島>「第10回世界水族館会議2018福島 大会宣言」
- ^ 福島)新種のエビを展示 アクアマリンふくしま朝日新聞デジタル(2019年1月19日)2019年2月24日閲覧。
- ^ 公益財団法人ふくしま海洋科学館>財務・組織図
- ^ 「アクアマリンふくしま来館1500万人達成 東日本大震災の津波被害などを乗り越え」【福島民報】2021年7月18日付
- ^ 「入館者1600万人達成「アクアマリンふくしま」震災、コロナ禍経て7894日で 福島・いわき市」【テレビユー福島】2023年7月18日付
- ^ “クラカケアザラシ「くらまる」死亡のお知らせ|アクアマリンふくしま”. www.aquamarine.or.jp. 2023年7月26日閲覧。
- ^ 「1日付で登録博物館に決定する」【いわき民報】2024年4月18日付
- ^ 「アクアマリン新館長に古川健氏就任」【福島民友】2021年7月7日付
- ^ 東日本大震災:福島で被災のトド 千葉に避難し元気に 『毎日新聞』2011年03月21日
- ^ a b アクアマリン20万匹死ぬ:YOMIURI ONLINE 2011年03月25日[リンク切れ]
- ^ 東日本大震災:電源の燃料尽き魚類など絶望 福島の水族館[リンク切れ] - 『毎日新聞』2011年3月17日
- ^ 福島から「メヒカリ」など避難 マリンピア日本海に20種、164点 新潟[リンク切れ]
- ^ アクアマリンふくしま、がれきの中で営業再開:YOMIURI ONLINE[リンク切れ]
- ^ ザ・バックヤード>「アクアマリンふくしま」【NHK教育】2023年5月24日付
- ^ 「いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」ヒトデの新種を発見」【NHK】2024年3月26日付
- ^ アクアマリンふくしま>「羅臼沖で新種発見!「イサリビビクニン」と「トモシビビクニン」」
- ^ アクアマリンふくしま>「北海道羅臼沖から日本初の巨大ヒトデ発見!」
- ^ 「小名浜国際環境芸術祭 アクアマリンで開催中 常磐ものテーマに多彩展示」【いわき民報】2024年9月27日付
- ^ 「アクアマリンふくしま年度別入館者数」(財団法人ふくしま海洋科学館 2023年4月6日)
- ^ 「アクアマリンふくしま 23年度の入館者数 震災後初の60万人台に」【いわき民報】2024年4月1日付
関連項目
編集近隣
編集- いわき小名浜みなとオアシス
- いわき・ら・ら・ミュウ(いわき市観光物産センター)
外部リンク
編集- 公式ウェブサイト( ・ ・ )
- 【公式】アクアマリンふくしま (@aquamarinestaff) - X(旧Twitter)
- 【公式】アクアマリンふくしま (@aquamarinestaff) - Instagram
- 【公式】アクアマリンふくしま - YouTubeチャンネル
- アクアマリンふくしまの復興日記 - ウェイバックマシン(2019年11月1日アーカイブ分)