エビスザメ恵比寿鮫、Notorynchus cepedianus)は、軟骨魚綱カグラザメ目カグラザメ科エビスザメ属に分類されるサメ。現生のエビスザメ属 Notorynchus は本種のみ。口角(口の両端)が上がっているさまが、えびす顔(笑顔)にたとえられる[3]

エビスザメ
エビスザメ
エビスザメ Notorynchus cepedianus
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
: カグラザメ目 Hexanchiformes
: カグラザメ科 Hexanchidae
: エビスザメ属 Notorynchus
: エビスザメ N. cepedianus
学名
Notorynchus cepedianus
(Péron, 1807)[1][2]
シノニム

Squalus cepedianus Péron, 1807[1]

和名
エビスザメ[2]
英名
Broadnose sevengill shark[1]

現生のほとんどのサメの裂は5対であるが、エビスザメは7対ある。他に7対の鰓裂をもつサメは、エドアブラザメHeptranshias perlo)が知られているだけで、本種を含めた2種はいずれもカグラザメ科に属する。

なお、日本関東地方などでは、ジンベエザメ方言で「えびす鮫」と呼ぶことがある。

分布

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インド洋大西洋太平洋[1]と世界中の温帯域に棲息する。

形態・生態

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水深150 m 以浅の表層を泳ぎ、浅い湾やサンゴ礁の外で生活する。

全長3 m に達する。雄は1.5 m、雌は2.2 m で成熟する。体型は流線型に近い円筒形。体色は背側が暗褐色~黒色または灰色で、腹側は白色。体中に多数の黒色または白色の斑点が見られる。背鰭は1基しかなく、体の後方に位置する。臀鰭を備える。化石種と形態的に類似しており、古いタイプのサメであると考えられている。

エビスザメは群れで狩りをすることが知られている。仲間と共同でアザラシイルカ、他のサメなどを追い詰めて捕食する。古代のサメも同じ方法で狩りをしていたと考えられている。

人間との関係

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肉が食用とされたり、肝油や皮革が利用されたりすることもある[1]

水族館などで飼育・展示されることもある[1]日本での例としては、北海道標津町沖の定置網にかかった個体が、まずは標津サーモン科学館で、成長に伴い水槽が狭くなったため後にアクアマリンふくしま福島県いわき市)へ移されて公開されている[3]

本種を対象とした漁業あるいは混獲されることはまれだが、漁業が盛んな地域に分布すること(一例として太平洋北西部の大韓民国中華人民共和国台湾、日本では、資源量の枯渇によりエイ・サメ類の漁獲量が1950年代と比較するとそれぞれ激減している)ことから本種も減少していると考えられている[1]。沿岸部に生息するため、海岸開発などによる影響も懸念されている[1]

情報不足(DD)環境省レッドリスト[4]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i Finucci, B., Barnett, A., Cheok, J., Cotton, C.F., Kulka, D.W., Neat, F.C., Pacoureau, N., Rigby, C.L., Tanaka, S. & Walker, T.I. 2020. Notorynchus cepedianus. The IUCN Red List of Threatened Species 2020: e.T39324A2896914. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2020-3.RLTS.T39324A2896914.en. Downloaded on 27 April 2021.
  2. ^ a b 本村浩之『日本産魚類全種目録 これまでに記録された日本産魚類全種の現在の標準和名と学名』(鹿児島大学総合研究博物館、2020年)11頁
  3. ^ a b えびす顔 福島のサメ 人気者:いわきの水族館で展示」『日本経済新聞』夕刊2022年12月16日(社会面)2022年12月25日閲覧
  4. ^ 環境省版海洋生物レッドリストの公表について 【魚類】海洋生物レッドリスト(2017)環境省(2017年3月21日)2022年12月25日閲覧

参考文献

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  • A&A・フェッラーリ『サメガイドブック-世界のサメ・エイ図鑑』(御船淳・山本毅訳、谷内透監修、ティビーエス・ブリタニカ、2001年)256頁

関連項目

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