しんきろうロードは、富山県魚津市の海沿いを通る道路の通称である。建設時は『ホタルイカしんきろうロード』という愛称もあった[1]

魚津市道、主要地方道
富山県道2号標識
しんきろうロード
魚津市の海岸道路の通称
(一部区間は富山県道2号魚津生地入善線
起点 富山県魚津市三ケ
終点 富山県魚津市寿町
接続する
主な道路
記法
富山県道1号富山魚津線富山県道129号魚津停車場線
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路

総延長は約6kmで、大半のルートが主要地方道魚津生地入善線、それ以外は市道となっている[2](魚津補助港 - 魚津港の間1,200mは運輸省(現・国土交通省)が港湾施設として建設された[3])。道路沿いは蜃気楼の出現スポットとして有名であり、毎年4~5月やじゃんとこい魚津まつりの花火大会の時は、混雑する。富山県道375号富山朝日自転車道線(しんきろう自転車道、幅員3m)が並行して通っている(同道路では魚津市立道下小学校が毎年マラソン大会を開いている)[4]。一部は魚津しんきろうマラソンの時にハーフマラソンのコースとなる。

日本カーバイド工業魚津工場の海側を通る道は、当初は同工場から土地提供を拒否されたため、海上架橋での建設も検討されたが、陸上に比べ数十倍の工事費がかかることが判明している[5]。その後用地問題を含め、解決の見通しとなった[3]ため、予定通り陸上での建設となった。

2019年12月4日現在、2020年度に日本風景街道へ登録することを目指していた[6]2020年3月13日に登録された(全国144番目、北陸地方14番、富山県内3番目の登録)[7]

概要

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  • 始点:魚津市三ケ(魚津市港町と紹介される事がある)
  • 終点:魚津市寿町

途中には海岸から北アルプス能登半島が望めるよう、いくつか駐車場が設けられている(北鬼江 - 経田間は2箇所に設けられた[8])。

沿革

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かつて海岸線には細い農道しか無かったが、県道の交通渋滞緩和を目的に1970年頃から整備が進められてきた[9]

  • 1972年度 - この年より経田漁港の周辺整備事業として、経田漁港側から順次建設に着手。当初は産業振興事業の性格を持たせながら市道として建設され[10]、その後富山県へ工事が移管された[3]
  • 1973年度 - 北鬼江 - 経田西町間(1,700m)が、国の補助を受けながら年次計画で工事に着手する[11]
  • 1979年12月25日 - この日までに1,500mの区間の舗装工事が完了[8]
  • 1980年12月16日 - この日までに2,500m分が完全舗装にて完成[3]
  • 1982年 - 本新 - 北鬼江間の事業を開始[4]
  • 1984年 - 県道のバイパスとして、日本カーバイド工業魚津工場の裏手まで開通[12]
  • 1992年4月28日 - 日本カーバイド工業魚津工場の海側1.05kmが開通[13]。なお、同道路開通時点で北鬼江以北の区間は開通済みであった[4]

ルートについて

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魚津港~経田漁港の間を通る道と紹介されることがあるが、ここでは、魚津市の海岸沿いを通る道全般について述べる。

富山県道1号富山魚津線早月川早月橋)を渡って魚津方面に向かい、2つ目の信号機で左折。入ってすぐに海沿いの道となる。ここからは魚津港(北地区)まで右に魚津市街、左に富山湾のルートが続く。
魚津港以東から経田漁港付近までは、制限速度が50キロの大型道路となる(この道を正式なしんきろうロードと紹介する事がある)。右側にはサイクリングロードが通っている。
北鬼江東交差点以東からは、沿線にいくつか休憩所や駐車場がある。このうち北鬼江東交差点付近の休憩所にはかつて『懐かしの灯台塚』という、戦前に角川尻に所在していた魚津燈台をモデルとした休憩所があり、蜃気楼展望地としても利用できたが、2014年3月に撤去された。
経田漁港沿いに入ると制限速度も40キロとなり、一時停止標識のある交差点で右折(かつては手前に8号線への案内標識もあったが、現在は撤去されている)、富山県道2号魚津生地入善線と合流し、終点となる。

沿線にはカラフルな外壁の洒落た喫茶店レストランも立ち並び、1991年当時は若いカップルのデートコースの一つとなっていた[9]。車での所要時間は約10 - 15分程である[14]

重複、接続する県道

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道路沿いにある観光地

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補足

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当初から風景地区に指定されていた一方、緑地にペットの墓を設置するという問題も生じていた[15]

2018年8月に、終点側の経田漁港付近から北側に約900m延伸して片貝川に新しい橋(約200m)を架け、黒部市側の湾岸道路に接続する計画を発表[16]し、2019年7月11日に、2019年度中に橋(206m)と道路の予備設計を終え、2020年度より整備に着手することが発表された[17]2034年度に完成予定[18]

脚注

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  1. ^ 北日本新聞 1982年11月19日付朝刊16面
  2. ^ 北日本新聞』2004年4月26日付朝刊10面「とやまみち物語 しんきろうロード 魚津市 神秘が取り持つ出会い」より。
  3. ^ a b c d 『北日本新聞』1980年12月16日付朝刊12面『59年完成を目指す しんきろう・ホタルイカ道路 魚津市 海岸道路の名称提案』より。
  4. ^ a b c 『北日本新聞』2008年6月27日付朝刊17面『ふるさと風土記 1234 魚津市道下地区 浜風そよぐ町を訪ねて 15 しんきろうロード 地域つなぐ海辺の道』より。
  5. ^ 『北日本新聞』1978年12月7日付朝刊13面『海岸道路 がざ折 魚津港 - 経田港 日カ魚津工場 敷地提供を拒否』より。
  6. ^ 『北日本新聞』2019年12月5日付朝刊25面『蜃気楼ロード 風景街道へ』より。
  7. ^ 「蜃気楼ロード」が日本風景街道に登録されました!(魚津市役所公式・2020年4月15日閲覧)
  8. ^ a b 『北日本新聞』1979年12月25日付朝刊11面『きょうで舗装1500メートル完了 魚津の海岸道路』より。
  9. ^ a b 『北日本新聞』1991年5月27日付朝刊15面『道ふれあい 様変わりした海岸線 砂浜、松並木 今はなく』より。
  10. ^ 『北日本新聞』1978年9月1日付朝刊16面『海岸道路の完成を 県魚津土木へ3漁協が陳情』より。
  11. ^ 『広報うおづ』第329号(1973年6月1日、魚津市役所発行)、4頁『北鬼江 - 経田西町間一千七百メートルに 海岸道路を建設』より。
  12. ^ 『北日本新聞』1987年5月22日付夕刊1面『湾岸百景 道3 しんきろうロード』より。
  13. ^ 『北日本新聞』1992年4月29日付朝刊1面『愛称はねっこランド 魚津 埋没林博物館完成』より。
  14. ^ 『北陸ドライブ 2023 - 2024』(2023年7月25日 シー・エー・ピー発行)52頁。
  15. ^ 『広報うおづ 1982年6月号』(通巻439号)5頁『仏田二本松付近のペットの墓を撤去してください』より。
  16. ^ 『北日本新聞』2018年8月9日付朝刊28面『魚津 - 黒部 新湾岸ルート』より。
  17. ^ 『北日本新聞』2019年7月12日付朝刊24面『片貝川長大橋建設促進協議会 来年度 整備着手目指す』より。
  18. ^ 『北日本新聞』2019年10月25日付朝刊4面『魚津 - 黒部にバイパス 片貝川河口近く橋整備』より。