おとめ座109番星 (109 Virginis) はおとめ座の4等星。太陽系から約134.1光年の位置にあるA型主系列星である。

おとめ座109番星
109 Virginis
星座 おとめ座
見かけの等級 (mv) 3.73[1]
3.700 - 3.750[2]
変光星型 疑わしい[2]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  14h 46m 14.9234473441s[3]
赤緯 (Dec, δ) +01° 53′ 34.38178083″[3]
視線速度 (Rv) -13.05 km/s[3]
固有運動 (μ) 赤経: -115.080 ミリ秒/年[3]
赤緯: -20.464 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 24.2814 ± 0.2271ミリ秒[3]
(誤差0.9%)
距離 134 ± 1 光年[注 1]
(41.2 ± 0.4 パーセク[注 1]
おとめ座109番星の位置
物理的性質
半径 2.5 R[4]
質量 2.5 M[4]
自転周期 < 9.3日[4]
スペクトル分類 A0IIInn[1]
A0V[5]
表面温度 9760 K[4]
色指数 (B-V) -0.01[5]
色指数 (U-B) -0.03[5]
色指数 (R-I) -0.02[5]
他のカタログでの名称
BD +02 2862[1], FK5 547[1], HD 130109[1], HIP 72220[1], HR 5511[1], SAO 120648[1], NSV 6794[1], Gaia DR3 3655377057091634304
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概要

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太陽の2.5倍の太陽半径太陽質量を持ち、恒星進化論に拠れば誕生から約3億6000万年の年月が経っているものと考えられている。赤道付近では325km/s以上の高速で自転していることから、恒星全体が赤道付近の半径が大きい扁平な形になっており、極周辺より赤道付近のほうが表面温度が低くなっている。こと座ζ1英語版しし座ο星シリウスなど他の多くのA型星のように、金属スペクトル吸収線が強化されたAm星であるとする説もあるが、恒星大気を揺るがすほどの高速自転を考慮すると疑わしい[4]。反対に、太陽の40%程度の鉄しか持っていないとする説も提唱されている[4]

同じA型主系列星のベガフォーマルハウトのような残骸円盤英語版が確認されていないことから、既に惑星が形成されていることが期待されている[4]

学術的意義

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A0IIInnのスペクトルを持つ白色の巨星である[1]。U等級が+3.69等、B等級が+3.72等、V等級が3.73等と、波長毎の明るさに大きな差がないことから、1953年にジョンソンモーガンが提案し、国際天文学連合に採用されたいわゆる「ジョンソンUBVシステム」において、V等級、U等級、B等級の基準とされた[6]。UBVシステムにおいてV等級の原点は、北極標準星野にある国際式標準星の写真実視等級をV等級と同一とみなすことで定義され、U等級とB等級の原点は、A0Vのスペクトルを持つ、こと座α星(ベガ)おおぐま座γ星へびつかい座γ星かんむり座α星うみへび座C星 (HR 3314) 、そしておとめ座109番星の6つの星の平均の U-B、B-Vを0とすることで(すなわち U=B=V とすることで)定められた[7]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k "109 Vir". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2018年11月21日閲覧
  2. ^ a b Results for NSV 6794”. VizieR On-line Data Catalog: II/250 (2004年11月). 2018年11月24日閲覧。
  3. ^ a b c d e f Gaia Collaboration. “Gaia DR3 Part 1. Main source”. VizieR On-line Data Catalog: I/355/gaiadr3. Bibcode2022yCat.1355....0G. http://vizier.idia.ac.za/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ6323f37932595&-out.add=.&-source=I/355/gaiadr3&-c=221.56166928298%20%2b01.89279287694,eq=ICRS,rs=2&-out.orig=o. 
  4. ^ a b c d e f g Kaler, Jim (2014年5月2日). “109 Virginis”. http://stars.astro.illinois.edu/. 2018年11月24日閲覧。
  5. ^ a b c d Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11). Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”. VizieR On-line Data Catalog: V/50. Bibcode1995yCat.5050....0H. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ5a76628e9487&-out.add=.&-source=V/50/catalog&recno=5511. 
  6. ^ 市川隆「標準測光システム」『天文月報』第90巻第1号、日本天文学会、1997年1月、23-28頁、ISSN 0374-24662018年5月15日閲覧 
  7. ^ Johnson, H. L.; Morgan, W. W. (1953). “Fundamental stellar photometry for standards of spectral type on the revised system of the Yerkes spectral atlas”. The Astrophysical Journal 117: 313-352. Bibcode1953ApJ...117..313J. doi:10.1086/145697. ISSN 0004-637X. 

外部リンク

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