おおぐま座ガンマ星

おおぐま座の恒星、北斗七星を形成する恒星の1つ

おおぐま座γ星は、おおぐま座恒星で2等星。北斗七星を形成する恒星の1つでもある。

おおぐま座γ星[1]
Gamma Ursae Majoris
仮符号・別名 フェクダ[2], Phecda[3][4]
星座 おおぐま座
見かけの等級 (mv) 2.440[1]
2.41 - 2.45(変光)[5]
変光星型 疑わしい[5]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  11h 53m 49.84732s[1]
赤緯 (Dec, δ) +53° 41′ 41.1350″[1]
赤方偏移 -0.000040[1]
視線速度 (Rv) -11.90km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 107.68 ミリ秒/年[1]
赤緯: 11.01 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 39.21 ± 0.40ミリ秒[1]
(誤差1%)
距離 83.2 ± 0.8 光年[注 1]
(25.5 ± 0.3 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 0.4[注 2]
γ星の位置
物理的性質
半径 3 R[6]
質量 2.7 M[6]
自転速度 168km/s[7]
スペクトル分類 A0Ve+K2V [1]
光度 64 L[6]
表面温度 9,500 K[6]
色指数 (B-V) 0.00[7]
色指数 (U-B) +0.02[7]
色指数 (R-I) -0.03[7]
年齢 0.3×109[6]
他のカタログでの名称
ファド.おおぐま座64番星[1]
BD +54 1475[1]
FK5 447[1], HD 103287[1]
HIP 58001[1], HR 4554[1]
SAO 28179[1]
NSV 5379[1]
Template (ノート 解説) ■Project

概要

編集

ひしゃくの水汲みの側から3番目に位置する。北斗七星の星は、ポラリス(現在の北極星)に近い方から順にバイエル符号をつけられたため、3番目のγが与えられた[6]

回転するガスが周囲に円盤状の雲を形成している[6]。非常に速い自転速度が星を取り巻く回転するガスを生み出す原因となっている[6]。この星を取り巻いている水素ガスによりスペクトルに水素の輝線が見られ、そのためにスペクトル分類に輝線 (emission line) を示す接尾記号eがつけられる[6]。接尾記号eのつけられる星は大概がB型のスペクトルを示し、A型のスペクトルを示すものは稀で、2008年現在、100個ほどしか見つかっていない[6]

この恒星はおおぐま座運動星団と呼ばれるグループに属している。北斗七星の星は、α星η星以外はこの星団に属している[6]。この星団に属する星は、宇宙空間において、同じ方向に動いているとみられている[6]

名称

編集

Gamma Ursae Majoris、略称 γ UMa。固有名フェクダ[2] (Phecda[3][4]) は、アラビア語で「大熊の腿」を意味する fakhidh al-dubb al-akbar が由来となっている[3]。2016年6月30日に国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、Phecda をおおぐま座γ星の固有名として正式に承認した[4]

中国名も知られ、『史記』「天官書」など正史の天文志では(てんき)、唐の密教教典『仏説北斗七星延命経』では禄存(ろくぞん)と呼ばれる。

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

編集
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s SIMBAD Astronomical Database”. Results for gam UMa. 2016年11月7日閲覧。
  2. ^ a b 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、103頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  3. ^ a b c Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations. Sky Pub. Corp.. p. 56. ISBN 978-1-931559-44-7 
  4. ^ a b c IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年11月7日閲覧。
  5. ^ a b NSV”. Results for NSV 5379. 2016年11月8日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l Jim Kaler. “Phecda”. STARS. 2016年11月7日閲覧。
  7. ^ a b c d 輝星星表第5版

関連項目

編集