おくのほそ道の風景地
松尾芭蕉の『おくのほそ道』に関連した国指定の名勝
おくのほそ道の風景地(おくのほそみちのふうけいち)は、松尾芭蕉の『おくのほそ道』に関連した国指定の名勝である。指定場所が地理的に離れた複数の県に及ぶ点が特徴となっている。2014年(平成26年)3月18日に最初の指定が行われ、その後下記の「指定履歴」のとおり追加指定が行われている。
概要
編集江戸時代に松尾芭蕉とその弟子の曽良が訪れ、『おくのほそ道』に記した名所や旧跡は、平安時代の歌人である能因や西行が詠んだ古歌にまつわる歌枕も多く、古来から近世にわたり広く鑑賞の対象となってきた。今なお、往時の風景が残り、後世の人々にも影響を与え続けている。このような紀行文学の傑作である『おくのほそ道』を緯糸とし、関連する景勝地を経糸として、個別ではなくつながりのあるものとして、一体的に保護しようとする意図のもとで複数の風致景観が名勝として一括指定されている。
指定対象の風景地は、埼玉県、栃木県、福島県、宮城県、岩手県、山形県、秋田県、新潟県、富山県、石川県、福井県および岐阜県の12県、26か所を数える。
複数の場所を一体的に指定した名勝の先行例としては、イーハトーブの風景地(2005年(平成17年)指定および2006年(平成18年)追加指定)やピリカノカ(2009年(平成21年)指定、2010年(平成22年)、2011年(平成23年)、2012年(平成24年)、2013年(平成25年)および2014年(平成26年)追加指定)がある。
名勝の指定対象
編集名勝「おくのほそ道の風景地」として、以下の26か所が指定されている。
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草加松原
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憾満ヶ淵
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那須神社
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殺生石
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遊行柳
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黒塚、安達ヶ原の鬼婆の墓
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榴ヶ岡公園、公園の西に榴岡天満宮がある
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陸奥国分寺 薬師堂
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多賀城碑(壺碑)覆屋
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興井(沖の石)
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末の松山
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籬が島 曲木神社
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金鶏山 登山口
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高館 義経堂
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束稲山、昔は桜の名所であった
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道の駅から最上川の本合海方面を望む
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三崎 大師崎
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象潟の夕景
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親不知
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雨晴海岸、有磯海は越中一帯の海岸を指す
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那谷寺 遊仙境
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山中温泉 鶴仙渓
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気比神宮 大鳥居
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大垣市船町湊跡
指定履歴
編集- 2014年3月18日 以下の13か所を指定[1]
- 草加松原、ガンマンガ淵(慈雲寺境内)、八幡宮(那須神社境内)、殺生石、黒塚の岩屋、武隈の松、金鶏山、高館、象潟及び汐越、親しらず、有磯海(女岩)、那谷寺境内(奇石)、大垣船町川湊
- 2014年10月6日 以下の5か所を追加指定[2]
- 壺碑(つぼの石ぶみ)、興井、末の松山、籬が島、本合海
- 以上のほか、既指定の「親しらず」の指定範囲拡大
- 2015年3月10日 以下の6か所を追加指定[3]
- 遊行柳(清水流るゝの柳)、つゝじが岡及び天神の御社、木の下及び薬師堂、さくら山、三崎(大師崎)、道明が淵(山中の温泉)
- 以上のほか、既指定の「象潟及び汐越」の指定範囲拡大(駒留島を追加)
- 2015年10月7日
- 既指定の「有磯海(女岩)」の指定範囲拡大(義経岩を追加)および「有磯海」へ名称変更[4]
- 2016年10月3日
- けいの明神(氣比神宮境内)の追加指定[5]
- 2021年10月11日
- 湯尾峠の追加指定[6]
脚注
編集関連項目
編集外部リンク
編集- おくのほそ道の風景地 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- 「気比神宮を「おくのほそ道の風景地」指定 文化審議会が答申」 北陸新幹線観光ナビ。
- 「名勝に関する総合調査 平成25年4月」 文化庁文化財部記念物課。
- 「史跡等の指定等」 文化庁、報道発表 2016年6月17日。