XP-9 (航空機)
ボーイング XP-9は、アメリカのボーイング社で製作された、アメリカ陸軍航空隊最初の単葉戦闘機。ボーイング社内呼称「モデル96」。本機に導入された洗練された改良構造は、後のボーイングの設計に影響を与えた。1機だけ作られた試作機はパイロットの下方視界が不十分で、安定性にも問題があったため、計画はキャンセルされた。[1]
設計と開発
編集XP-9は、アメリカ陸軍の単葉戦闘機の要求に応じて1928年に設計された。航空機設計における本機の意義は、その後の航空機の標準となるセミモノコック構造であった。ボーイングは当時の自社の複葉戦闘機P-12にXP-9の構造の特徴を取り入れ、XP-9に類似したセミモノコック構造の金属胴体を持つP-12Eを製作した。また、P-12Cの降着装置のアレンジは、XP-9に最初に試みられたものを生産仕様に適用したものである。[2]
運用歴
編集A 028-386と書かれたXP-9試作機は1930年11月18日に初飛行した。仕様書には印象的な数字が並んでいたが、胴体の上、パイロット席のすぐ前に置かれた巨大な主翼(翼弦が6フィートもあった)が下方視界を遮り、単純な着陸操作にも危険を及ぼすことが直ちに明らかとなった[2]。ライトフィールド陸軍試験センターのテストパイロットは、XP-9の安定性の不足が極めて重大であり、垂直尾翼の増積が直ちに必要であることに気づいた[3]。 大型化した金属外皮の垂直尾翼が用意されたが、見るべき改善は得られず、この修正されたXP-15は、わずか15時間のテスト飛行ののち、1931年8月、地上での教育用の機体(教材)として使われることになった[4]。
各型解説
編集使用者(計画)
編集- アメリカ合衆国 - アメリカ陸軍
要目(XP-9)
編集- 乗員: 1
- 全長: 25 ft 1.75 in (7.66 m)
- 全幅: 36 ft 6 in (11.13 m)
- 全高: 7 ft 10.25 in (3 m)
- 翼面積: 210 ft2 (19.51 m2)
- 空虚重量: 2,669 lb (1,211 kg)
- 最大離陸重量: 3,623 lb (1,643 kg)
- エンジン: カーチス SV-1570-15 コンカラー (600 hp) ×1
- 最高速度: 185 knots (213 mph、343 km/h)
- 巡航速度: 156.4 knots (180 mph、290 km/h)
- 航続距離: 369カイリ (425マイル、684 km)
- 上昇限度: 26,800 ft (8,170 m)
- 上昇力: 1,560 ft/min (7.9 m/秒)
- 武装: 機関銃 2挺(7.62 mm、12.7 mm 各1)、爆弾125ポンド
脚注
編集参考図書
編集- Eden, Paul and Moeng, Soph. The Complete Encyclopedia of World Aircraft. London: Amber Books Ltd., 2002. ISBN 0-7607-3432-1.
- Pedigree of Champions: Boeing Since 1916, Third Edition (booklet). Seattle, WA: The Boeing Company, 1969.