Wikipedia‐ノート:良質な記事/良質な記事の選考/都市 20250111

最新のコメント:14 時間前 | トピック:読んで気になったこと | 投稿者:郊外生活

読んで気になったこと

編集

主に地理学関係の節(#定義と特徴#立地と構造)を読んで内容面で気になったことを記載します。Wikipedia:良質な記事/良質な記事の選考#良質な記事の目安を見る限りでは、GA選考にはあまり影響しないようには思いますが、記事の改善や、将来のFA選考なども考慮してこちらに記載します。なお、記事中の日本語文献については原典も確認しています。

  1. 定義と特徴では、「行政」、「人口」、「産業」、「中心性」の節がありますが、章の導入文とのつながりが明確でないように思います。都市の特長として少なくとも人口、産業、中心性に着目するべきことは藤井・神谷(2014: 5)[1]から読み取れるかと思いますし、行政に関しても都市と市域(後述の都市圏も)が一致しないことに関しては教科書等でもよく言われることかと思いますが、章の導入文を、その後の節とのつながりが明確化するようにできるでしょうか?
  2. 「産業」節で「村落部の住民の多くが第一次産業に従事する」とありますが、これは現状(特に先進国)に則しているでしょうか?農村地理学の教科書等を読む限り、職業・産業的な側面では現代農村は大きく変化しているように思われます(田林 2013: 388[2]; 岡橋 2020: 4[3] など)。出典としている『日本大百科全書』自体の刊行が30年以上前であること、著者(木内信蔵)の死後30年以上経過していることも考慮して、現状でも適切な内容なのか他の文献等を用いて再検討が必要ではないかとは思います。
  3. 「中心性」節ですが、中心性が高いことがいかなる状態かが初学者が理解しにくい状況かと思います。行政や商業など、中心性が高い地域で卓越する具体的な都市機能を例示したうえで解説する必要があると思います。あとは階層性による差異も具体的な例示が必要でしょうか。記載するべき内容としては、駒木(2023: 406)[4]の冒頭部の内容を想定しています。逆に、ベーシック機能やノンベーシック機能の話を触れるなら、戸所(2013)と同様に都市の盛衰を論じる指標として言及するべきかとは思います(同様の言及は、古い本ですが高橋ほか(1997: 48)[5]でもみられます)。
  4.   立地と構造の「立地」の節ですが、都市の立地要因として地形的要因の言及は必要でしょうか?(谷口集落滝線都市などを想定)高橋ほか(1997: 159-162)には立地位置(site)と関係位置(situation)に関する記載も含めて言及もありますが、他の都市地理学の教科書等ではあまり書かれていない印象ももつ(日本語文献があまり使われていない背景?)ので、追記するべきとまでは言いません(それに高橋ほか(1997)も刊行から30年近く経っていますし)が、話題には挙げておきます。
  5.   「立地」の次の段落で都市の立地要因として、食料確保のため後背地との結びつきが重要という話が出てきますが、その後に中心地理論の話が出てきて、別の話になったのではないか?と思えます。中心地理論の話をするなら、改段落したうえで、都市の階層別分布のような話に変えて解説したほうが適切ではないかと思いました。
  6.   「内部構造」節 第2段落の冒頭で、「都市の内部構造を規定するのは経済的側面のみではない。歴史的・文化的側面の影響を受けることもあり、……」といった文を入れるのはいかがでしょうか?(出典は堤(2013: 341))。モデルの話をした後にモデルの具体例に触れるわけでもなく例外的な話が出てくると混乱するかと思いますし、例外の話を読んでしまうと3つの古典的モデルに言及する意味はあるのか?と誤解されてしまうおそれがあると思います。
  7.   「内部構造」節 第2段落での阿部和俊の見解については、堤(2024)での解釈を含む記述ではなく二次引用でなければならない理由はないように思われるので、阿部(2003: 188)[6]に置き換えるべきと思います。仮に執筆者未読でこのような対応をとったのであれば、私のほうで書き換えます。
  8.   「内部構造」節で「モータリゼーションの進展」以降の記述は段落を分けるべきではないでしょうか。これは歴史・文化的要因ではなく、現代的な話かと思います。
  9.   「都市集積と都市圏」節では「コナベーション、「メガロポリスといった用語も重要かと思います。また、都市圏の話をするならば、「都心」や「郊外」も重要用語になるかと思われます。これらも追記が必要かと思います。
  10.   「都市化」節では、都市化による都市域の拡大についても言及が必要かと思います。藤井・神谷(2014: 102-103)の内容などを想定しています。また、都市化に伴い都市集積、都市圏が形成されるということを考えれば、「都市化」節と「都市集積と都市圏」節の順番を入れ替えたほうが良いのかもしれないようにも思いました。
  11. 「都市システムとグローバルシティ」節で、「阿部和俊は、……」の記述は、直前の説明(日常的都市システム、地域的都市システム、国家的都市システムといったスケールごとの都市システム)とつながらないように思います。むしろ、直前の説明と違う現状説明(階層性の低下)で読者が混乱するおそれがあるので、除去するか、この文を記載するなら間に文章の加筆が必要かと思います。--郊外生活会話2025年1月13日 (月) 08:54 (UTC)返信
  12. (以下1/19追加)「都市化」節で特別:差分/103314943で加筆された内容についてです。「外延的拡大」と「内部再編」が具体的にどのような現象なのかについて解説が必要かと思います。「外延的拡大」については特別:差分/103402740で加筆しました。既存記述やノックス・ピンチ(2013)と矛盾せずに解説できるかと思います。しかし、「内部再編」に関して、インナーシティ問題、スラム化、ジェントリフィケーションについてはノックス・ピンチ(2013)とつながらないように思います。p.65の「侵入者」はインナーシティ問題での低所得者、ジェントリフィケーションでのジェントリファイヤーを連想しそうですが、「侵入者」の属性については明記されていないように思います。私は「内部再編」については建物の更新と街区レイアウトの更新(p.64)のことかと思いました。また、インナーシティ問題、スラム化、ジェントリフィケーションはいずれも都市化そのものではないように思います(インナーシティ問題は郊外の都市化の影響は受けているだろうものの)。都市問題についての加筆の一環かと思いますが、より適切な別の章・節があるのではないかとも思いました(「社会・経済」章など?)。
  13. 「内部構造」節でコンパクトシティの話が追加されましたが、その前の文とのつながりが見えないように思います。この節に記載するならば、間に文を追加する必要があるように思います(モータリゼーションの問題……対策として、……のような内容?)
  14. 「コナベーション・都市圏」節で、「とはいえ」の前後で話が大きく変わること、ブーンバーブやエッジシティといった専門用語が出てくることから、主題に関する専門知識がないと理解しにくいように思います。要は、ノックス・ピンチ(2013: 194)でいう「伝統的な郊外」、すなわち都市圏の中心に就業の場として都心が1つあり、周囲を居住の場としての郊外が囲み、職住分離し都心と郊外が通勤流動で結びつく都市圏から、郊外核の成長など都市圏が多核化し、形態的にも単核ではなくなり、職住混合がみられるポストモダン都市に変容したという話かと思いますが、変遷の様子を一般的な用語の文章で少し加筆したほうが初学者にも理解しやすいように思いましたので特別:差分/103407319で加筆してみましたがいかがでしょうか。(ただ、日本の事例を想定して都心回帰や都市圏縮小の話はないのか?と思ったりもするので、どの記述を残しどれを子記事で解説するかは要検討かもしれません)
  15. 「気候」節ですが、ヒートアイランドの要因として「建築物の密集化・高層化」も重要な要因かと思われます(木村(2014)には書かれていませんが、高橋ほか(2017)[7]では解説があります)。--郊外生活会話2025年1月19日 (日) 15:20 (UTC)返信
  •   報告 コメント後にNux-vomica 1007さんが記事の編集を行い、4, 5, 6, 8, 10に関して十分改善されたと考えます。2と9に関しても修正を加えられていますが、これに関しては明日以降、改めて詳細にコメントする形にさせてください。--郊外生活会話2025年1月14日 (火) 16:02 (UTC)返信
    •   コメント 2.に関して、特別:差分/103310122は暫定的な対応かもしれませんが、内容として疑わしいのは村落側なので、「される」を追加するならば、位置を変更したほうが的確なように思います。すなわち、「村落部の住民の多くが第一次産業に従事するとされる一方で、都市においては多くの住民が第二次・第三次産業に従事しているとされる。」あるいは、この節で重要なのは都市の要件で第二次・第三次産業従事者の多さなので、そもそも村落に関する記載を除去しても問題ないようには思います。
    • 9.に関して、「コナベーション」、「都心」(「中心都市」として)や「郊外」について追記されたのを確認しました(特別:差分/103311032)。ありがとうございます。ただし、専門用語の「機能地域」を使わなくても必要な解説は可能かと思いますので、特別:差分/103405248で一部書き換えました(Wikipedia:素晴らしい記事を書くには#専門用語には解説を)。一方、特別:差分/103314943で加筆された内容について気になるところがあるので、後で12.以降で記載します。「メガロポリス」については高橋(1997)を踏まえて用語を挙げましたが、藤井・神谷編(2014)、ノックス・ピンチ(2013)、人文地理学会編(2013)、阿部編(2024)の索引にはなく、書くとしても子記事かと思いましたので取り消しました。--郊外生活会話2025年1月19日 (日) 13:02 (UTC)返信
  •   報告 7.に関して修正しました(特別:差分/103401159)。--郊外生活会話2025年1月19日 (日) 07:20 (UTC)返信

脚注

  1. ^ 藤井 正・神谷浩夫編著 2014.『よくわかる都市地理学』ミネルヴァ書房.
  2. ^ 田林 明 2013. 農山漁村の地理学. 人文地理学会編『人文地理学事典』388-391. 丸善出版.
  3. ^ 岡橋秀典 2020. 『現代農村の地理学』古今書院.
  4. ^ 駒木伸比古 2023. 中心地の変容. 日本地理学会編『地理学事典』406-407. 丸善出版.
  5. ^ 高橋伸夫・菅野峰明・村山祐司・伊藤悟 1997. 『新しい都市地理学』東洋書林.
  6. ^ 阿部和俊 2003. 『20世紀の日本の都市地理学』古今書院.
  7. ^ 高橋日出男 2017. 都市気候. 小池一之・山下脩二・岩田修二・漆原和子・小泉武栄・田瀬則雄・松倉公憲・松本淳・山川修治編 『自然地理学事典』 100-103. 朝倉書店.
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