WAX (イギリスのバンド)
WAX(ワックス)は、イングランドのマンチェスターを拠点とするニュー・ウェイヴ・デュオで、アメリカのシンガーソングライターのアンドリュー・ゴールドと、10ccのギタリスト/ベーシストであるグレアム・グールドマンで構成されている。彼らはヨーロッパでのヒット・シングル「Bridge to Your Heart」と「Right Between the Eyes」で最もよく知られている。アメリカでは「Wax UK」としてリストされていたが、その後のリリースではアンドリュー・ゴールド&グレアム・グールドマンとしてもクレジットされた。
WAX | |
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![]() WAX(1986年) | |
基本情報 | |
別名 |
Wax UK World in Action Common Knowledge |
出身地 |
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ジャンル | ニュー・ウェイヴ、ポップ・ロック |
活動期間 | 1983年 - 1990年、1997年 - 2000年 |
レーベル | RCA、チェリー・レッド |
旧メンバー |
アンドリュー・ゴールド グレアム・グールドマン |
略歴
編集前提
編集1981年、10ccはアルバム『ミステリー・ホテル (Ten Out of 10)』の制作に取り組んでいた。アンドリュー・ゴールドはワーナー・ブラザーズのA&R責任者レニー・ワロンカーからバンドとのレコーディングに招かれ、完成したアルバムでキーボードとパーカッションを演奏し、バック・ボーカルも担当した[1]。『ミステリー・ホテル』のアメリカ盤には、ゴールドが共作した3曲「Power of Love」「Runaway」「We’ve Heard It All Before」も収録されている[2]。この曲がきっかけでバンドへの参加のオファーが来たが、ゴールドには他の予定があったため断った[3]。
初期の作品
編集1983年に10ccが解散した後、グレアム・グールドマンはゴールドを説得してイギリスのモットラム・セント・アンドリューにある自宅に招き、一緒に曲作りをしたり時間を過ごしたりした。ゴールドは結局、7か月間滞在した。この期間に彼らはアルバム1枚分の曲を書き上げた。バンド名を「ワールド・イン・アクション (World in Action)」に決め、シングル「Don't Break My Heart」をリリース。その後すぐに、彼らはコラボレーションの名前を「コモン・ノリッジ (Common Knowledge)」に変更し、その後のデビュー・シングルのプレスは新しい名前で行われた。2枚目のシングル「Victoria」がリリースされたが、どちらのシングルも注目を集めず、アルバムはお蔵入りとなった[4]。
ゴールドマンの長年のマネージャーであるハーヴェイ・リスバーグの監督の下、2人は新しいアルバムの曲作りに取り掛かり、WAXを名乗った。彼らはRCAレコードと契約し、1986年から1989年にかけて3枚のスタジオ・アルバムをリリースした[5]。この時期のバンドの最も有名なシングルは「ライト・ビトウィーン・ジ・アイズ」と「ブリッジ・トゥ・ユア・ハート」である[6]。「ブリッジ・トゥ・ユア・ハート」はヨーロッパでヒットし、イギリスの『トップ・オブ・ザ・ポップス』[7]やドイツのシリーズ『Peter's Pop Show』[8]でこの曲が演奏されるなど、ヨーロッパのテレビ出演が後押しとなった。
バンドの3枚目のアルバム『100,000フレッシュ・ノーツ』は前作ほどの成功には至らず、ゴールドとグールドマンはどちらも他の事業を続けた。
解散
編集1990年の初め、グールドマンはエリック・スチュワートとともに10ccを再結成するチャンスを得た。彼らは再び集まり、グループのカムバック・アルバム『ミーンホワイル』をレコーディングした。このアルバムにはアンドリュー・ゴールドも参加し、「Charity Begins at Home」という曲でギターを弾いた。アンドリュー・ゴールド自身も、ブリンドルをオリジナル・メンバーで再結成し、セルフタイトルのデビュー・アルバムをレコーディングした。
グールドマンとスチュワートは10ccとして活動を続け、次のアルバム『ミラー・ミラー』にもゴールドが参加した。彼は「Grow Old with Me」のバック・ボーカルと「Ready to Go Home」のリード・ボーカルで参加した。後者はゴールドとグールドマンの共作である。ゴールドは10ccの正式メンバーではなかったが、バンドは彼のリード・ボーカルのままで「Ready to Go Home」をリリースしたのだった[9]。
その後の活動
編集10ccの2度目の解散後も、アンドリュー・ゴールドとグレアム・グールドマンはWAXとして、また互いのソロ・レコードにおいても協力し続けた。当時、WAXによる最初の新しいマテリアルは、1997年にリリースされたコンピレーション・アルバム『ザ・ワックス・ファイル』に収録された。ここには、新曲6曲や、これまで未発表だった「コモン・ノリッジ」時代の2曲、および1980年代にすでにリリースされていたマテリアルがまとめられている[10]。
1998年、彼らの「コモン・ノリッジ」時代のアルバムが、いくつかの新曲とともに、WAX名義で『Common Knowledge.com』としてようやくリリースされた。
また、アウトテイクとレア曲を集めたコレクション『Bikini』が、2000年にリリースされている[6][11]。
アンドリュー・ゴールドは、2011年に亡くなった。
ディスコグラフィ
編集スタジオ・アルバム
編集- 『マグネチック・ヘヴン』 - Magnetic Heaven (1986年、RCA)
- 『アメリカン・イングリッシュ』 - American English (1987年、RCA)
- 『100,000フレッシュ・ノーツ』 - A Hundred Thousand in Fresh Notes (1989年、RCA)
- Common Knowledge.com (1998年、For Your Love)
ライブ・アルバム
編集- 『ライヴ・イン・コンサート1987』 - Live in Concert 1987 (2019年、Cherry Red)
コンピレーション・アルバム
編集- Works: Best of Andrew Gold & Graham Gouldman (1996年、Camden)
- 『ザ・ワックス・ファイル』 - The Wax Files (1997年、For Your Love)
- Bikini (2000年、Quarkbrain)
- A Box of Wax (2022年、Renaissance) ※ボックスセット
シングル
編集- "Don't Break My Heart" (1984年) ※World in Action / Common Knowledge名義
- "Victoria" (1985年) ※Common Knowledge名義
- "Ball and Chain" (1985年)
- 「ライト・ビトウィーン・ジ・アイズ」 - "Right Between the Eyes" (1986年)
- 「シャドウズ・オヴ・ラヴ」 - "Shadows of Love" (1986年)
- "Systematic" (1986年)
- 「ブリッジ・トゥ・ユア・ハート」 - "Bridge to Your Heart" (1987年)
- "American English" (1987年)
- "In Some Other World" (1988年)
- 「あなたをさがして」 - "Wherever You Are" (1989年)
- "Anchors Aweigh" (1989年)
- "Ready to Go Home"[14] (2022年)
脚注
編集- ^ “10 Out of 10 – 10cc | Credits”. AllMusic. 2019年11月10日閲覧。
- ^ “10 Out of 10 – 10cc | Songs, Reviews, Credits”. AllMusic. 2019年11月10日閲覧。
- ^ “10cc : A Pure Injection Of Pop”. The10ccfanclub.com. 2018年6月23日閲覧。
- ^ common knowledge.com liner notes Archived 2007-06-20 at the Wayback Machine.
- ^ “Andrew Gold – Obituary”. The Daily Telegraph 2011年6月8日閲覧。
- ^ a b Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. p. 593. ISBN 1-904994-10-5
- ^ “top of the pops 1987 wax – Bing video”. Bing.com. 2019年11月10日閲覧。
- ^ “YouTube”. YouTube. 2014年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年2月18日閲覧。
- ^ “10cc – MirrorMirror”. Discogs.com. 2019年11月10日閲覧。
- ^ “The Store”. Andrewgold.com. 2012年4月29日閲覧。
- ^ “Bikini by Wax”. Cdbaby.com. 2019年6月12日閲覧。
- ^ “WAX LIVE 1987 CD and DVD!”. youtube.com. 2021年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月30日閲覧。
- ^ “Wax: Live In Concert 1987, 2CD/1DVD Digipak Edition”. cherryred.co.uk. 2020年1月30日閲覧。
- ^ “Ready to Go Home (Remastered) – Single – Wax”. 2022年4月23日閲覧。