VULGAR
DIR EN GREYのアルバム
『VULGAR』(ヴァルガ)は、日本のバンドDIR EN GREYのメジャー4作目のアルバム。
『VULGAR』 | ||||
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DIR EN GREY の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル |
エクスペリメンタル・メタル オルタナティヴ・メタル ニュー・メタル ゴシックメタル | |||
時間 | ||||
レーベル | FIREWALL DIV. | |||
チャート最高順位 | ||||
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DIR EN GREY アルバム 年表 | ||||
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『VULGAR』収録のシングル | ||||
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ミュージックビデオ | ||||
「OBSCURE(年齢制限があるので注意)」 - YouTube |
概要
編集- 前作『鬼葬』以来、約1年半振りとなるフルアルバム。
- 「痛み」をテーマとしたアルバム。メンバー自身「自分にとっての一作目」と発言をしており、バンドとしても転機になった作品でもある。その背景としては、アルバム作業中にはさまざまな出来事があり、レコーディング当初は多くの要因でメンバー自体のモチベーションが低かったことや、アルバム制作中に発売された「かすみ」や当時放映された特別番組などでの自分達の格好への疑問(かなりラフな格好で出演していた)、自分達のライブスタイルやバンドの方向性など、個人も含めメンバー自身がそれぞれ腹を割ってお互い色々なことを話し合う機会が多かったことを、本人達及び関係者の発言で明らかにしている。
- 完成までの道のりは長く、Toshiyaはこのサウンドの中にベース・ラインをいかに存在させるかに悩み、Shinyaは、ドラムのフレーズがこれまでと比べると「百倍ぐらい難しい」と語っていた。
- 京はこのアルバム作業中に、「自分は歌い手ではなく、表現者である」という意識に目覚め、VocalからProphetと自身のクレジットを変更した。
- 初回盤のみ特殊パッケージ仕様で、収録曲「OBSCURE」のミュージッククリップDVDが付属している。ただし、発売の際に規制が入った。オリジナルバージョンは2005年発売DVD『AVERAGE PSYCHO』で観ることができる。
- 歌詞カードの「遊び」が今作から無くなりきちんと掲載されている。また英語詞の歌詞も同梱されるようになった。
- 通常盤には、期間限定特設サイトへ入場するためのIDナンバーが入っていた。この期間限定特設サイトでは、「VULGAR KIT」と題したグッズや素材を提供してのホームページ作成コンテスト、アルバムレコーディング風景の写真など様々な企画が行なわれた。
- アルバム2曲目の「THE IIID EMPIRE」と3曲目の「INCREASE BLUE」は後に映画『デス・トランス』の挿入歌にも起用された。
- 本作以降、シングル曲は全てアルバムバージョンで収録されている。
収録曲
編集シングル曲は全てアルバムバージョンとして再録されている。また今作から作曲・編曲のクレジットが「Dir en grey」に統一されているため、シングル曲のクレジットも変更されている。
全作詞: 京、全作曲・編曲: Dir en grey。 | ||
# | タイトル | 時間 |
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1. | 「audience KILLER LOOP」 | |
2. | 「THE IIID EMPIRE」 | |
3. | 「INCREASE BLUE」 | |
4. | 「蝕紅」 | |
5. | 「砂上の唄」 | |
6. | 「RED…[em]」 | |
7. | 「明日無き幸福、呼笑亡き明日」 | |
8. | 「MARMALADE CHAINSAW」 | |
9. | 「かすみ」 | |
10. | 「Я TO THE CORE」 | |
11. | 「DRAIN AWAY」 | |
12. | 「NEW AGE CULTURE」 | |
13. | 「OBSCURE」 | |
14. | 「CHILD PREY」 | |
15. | 「AMBER」 | |
合計時間: |
楽曲解説
編集- audience KILLER LOOP
- THE IIID EMPIRE
- ToshiyaとDieの持ってきた原曲に京がメロディーを付け加えた。
- ドラムの手数は原曲の時点から多く作られていたらしく、それをどうにかアレンジした結果今のフレーズに行き着いたと語っている。その名の通り戦争をテーマにした内容であるが、「戦争を知らない俺が書いても深い意味はないけど、それでも敢えて書くことでその行為自体が凄く馬鹿馬鹿しい事なんだってことを言いたかった」と京は述べている。ライブでは必ずといっていい程演奏されている曲であり、アンコールのラストに使われることも多かった。
- 後にリリースされたベストアルバム『VESTIGE OF SCRATCHES』に再構築されたバージョンが収録されている。
- INCREASE BLUE
- Shinyaが原型を作りこんだパンキッシュかつ軽快な疾走ナンバー。イントロからギターリフ主体で曲が進んでいく
- 蝕紅
- 歌詞は童謡「かごめかごめ」が元になっている。原型は薫が制作。
- 中盤でマーチのような部分と歌のみの箇所が存在するが、ライブではアカペラで歌われている。後に2009年リリースのシングル「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」に、"Shot In One Take" と冠したリアレンジ音源がスタジオ一発録りで収録されている。
- 砂上の唄
- 京がメロディーのみを作り上げ、それをDieに持って行きコード進行を作り上げて現在の形となった。アルバム収録曲の中では至ってシンプルな歌モノ曲。
- RED…[em]
- 明日無き幸福、呼笑亡き明日
- MARMALADE CHAINSAW
- ライブ中の自分自身を歌ったものであり、『時計じかけのオレンジ』という映画を見て、その主人公と自分自身がどこか似ているものがあると感じたことで、それと関連した言葉が詞の中にも登場してくる。
- かすみ
- 12thシングル。全体のミキシングが新しく行われ、さらにドラムセットを変えて録り直されている。
- Я TO THE CORE
- DRAIN AWAY
- 11thシングル。アルバムではよりシングルよりも音がクリアになり、サビのメロディーの一部分が変化している。さらにドラムセットを変えて録り直されている。
- NEW AGE CULTURE
- イントロとアウトロにパーティー会場での雑踏っぽいSEが挿入された異色のダンサブルなハードコアナンバー。浮遊感のあるシンセサウンドも特徴。
- OBSCURE
- 当アルバムの核心となる曲であり、薫が原曲を作った。7弦ギターと5弦ベースが導入されている。
- またシングル曲を除いたアルバム曲中で唯一PVが製作されており、死体が吊るされた部屋で演奏するメンバーの映像から始まり、嘔吐する京、喉元に槍を突き刺す薫、心臓を掴み出すDie、体が変化するToshiya、肩から無数の手が伸びるShinya、幼児の頭部を貪る女性など、和風エログロな世界観をベースにした壮絶な映像となっており、2012年に英音楽サイトGigwiseが発表した「最も物議を醸したミュージック・ビデオ TOP50」では8位にランクインしている。今作以降のライブでも頻繁に演奏されている。
- 後に2011年リリースのシングル「LOTUS」のカップリング曲として再構築されたバージョンが収録されている。
- CHILD PREY
- AMBER
- アルバムのラストを締めるナンバー。薫のギターのエフェクトが効果的に使用されている。京は「このアルバムで一番攻撃的な歌詞」と述べている。ちなみにAMBERの意味は「琥珀」である。