NHK学生ロボコン(エヌエイチケーがくせいロボコン)とは、NHK(日本放送協会)NHKエンタープライズが主催するロボットコンテスト(ロボコン、ロボット競技)の一つである。2015年以前はNHK大学ロボコンと称されていた。

現在、ABUロボコンの日本代表選考会を兼ねている。本大会は毎年6月に大田区総合体育館片柳アリーナで開催されている。

特徴

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競技を行うロボットは、基本的に手動制御可能な手動ロボットと、スタート時のみ操作可能な自動制御ロボットの2種類で構成される。かつてABUロボコン開催前の本大会は、手動ロボットは内部に人を乗せて操縦する形式を採っていた。ABUロボコンの開催以後は、高専ロボコン同様、操縦者がコントローラを持ち、外部から操作する形式に変更となった。(ただし2012年のABUロボコンの競技は、手動ロボットに人が搭乗する競技形式を採用している。)

高専ロボコンと同様、他のロボット競技に比べて製作するロボットの大きさ、重量、パワーが大きい。手動で操作するロボットがあるため、構成されるロボットは「マシン」と呼ばれることもある[1]

放送

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試合の模様はNHK総合テレビBShi等で放送される。しかし、高専ロボコンとは異なり、地区大会が無いため、放送回数やその占める時間は少ないが、近年ではインターネットによる生中継が実施されている。

参加者

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参加者は同一の大学/高専に在籍する学部生3名と担当教員1名で構成され、チーム単位でエントリーを行う。この学生3名が試合時にフィールドで競技に臨む。さらに、数名の学生が会場裏のピットで待機、ピットクルーとしてロボットの修理や調整に加わる。2015年からはこれまでの大学学部生に加えて、高専4、5年、専攻科生も参加学生の対象となり「NHK学生ロボコン」と改称。

ロボットの製作にかかわる学生の数は数名のチームから、30名を超える大規模なチームまである。出場チームの組織形態は現在、サークル、同好会が多くを占める。

大会出場まで

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他の一般的なロボット競技とは異なり、大会に出場するにはまずロボットの機構、アイデア、戦略を説明した応募用紙をNHKに提出し、書類選考を通過する必要がある。この書類選考にはおよそ全国の大学/高専から50~80チームが応募する。このうち20~40チーム前後が書類選考を通過する。1つの大学/高専から複数のチームの応募が可能であるが、同一の大学から2チーム以上が書類選考を通過することは無い(キャンパスが異なっていても1つの大学/高専として扱われる)。

書類選考を通過後、出場チームはロボット製作を行う。より多くの期間をロボット製作に費やすために、書類選考を通過することを前提として審査結果が決定する前に製作を開始するチームもある。

書類選考から数ヵ月後、各チームが作成したビデオ映像による、ビデオ審査を行う。2月下旬に第1次ビデオ審査が行われ、通過すると4月下旬に行われる第2次ビデオ審査に応募することができる。撮影した映像より、ロボットの製作状況やテストランの模様を審査、大会出場チームを決定する。ロボットの完成度や製作状況が芳しくない場合、書類選考時の案を実現できず大きく逸脱してしまった場合、このビデオ選考で落選し、本戦へ出場することはできない。

なお、ABUロボコン出場国の中には、国内予選に出場するチームが100チームを超える国がある。過去ABUロボコンでの優勝があり、NHKにおける大学ロボコン、ABUロボコンの放送において強豪国として取り上げられるベトナム[2]、タイ[3]はいずれも100チームを超える大規模な代表選考会が実施されている。これらの強豪国に比べると、日本の国内選考の規模は大きくない。

出場大学

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ABUロボコン開始以後の各大学の出場年度および回数を以下の表に示す。○が出場、◎がABUロボコン出場を示す。

ABUロボコン開始以後の出場大学一覧
大学名 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2023年 2024年 出場回数
東京大学 21
金沢工業大学 20
豊橋技術科学大学 20
長岡技術科学大学 20
九州大学 18
東京農工大学 18
工学院大学 17
東京工業大学 15
名古屋工業大学 14
三重大学 14
ものつくり大学 14
京都工芸繊維大学 14
信州大学 13
長崎総合科学大学 × 12
北見工業大学 12
新潟大学 12
大阪大学 × 11
立命館大学 × 9
早稲田大学 10
電気通信大学 9
福岡工業大学 8
大阪工業大学 8
鹿児島大学 7
千葉大学 × 7
東京工科大学 8
横浜国立大学 × 7
筑波大学 × 7
岡山大学 5
高知工科大学 5
明治大学 5
京都大学 × 5
富山大学 × 5
静岡理工科大学 4
湘南工科大学 4
崇城大学 4
東京電機大学 4
徳島文理大学 4
愛知工科大学 3
岐阜大学 3
仙台高等専門学校 3
東北大学 3
弘前大学 3
山口大学 3
東京都立大学(首都大学東京) × 3
九州職業能力開発大学校 2
熊本大学 2
慶應義塾大学 2
秋田県立大学 1
香川大学 1
神奈川工科大学 1
鈴鹿工業高等専門学校 1
多摩大学 1
桐蔭横浜大学 1
日本大学 1
広島大学 1
前橋工科大学 1
松江工業高等専門学校 1
明星大学 1
豊田工業高等専門学校 1

ABUロボコンとの関係

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2002年よりABUロボコン開催に伴い、本大会は国内予選を兼ねることとなった。ABUロボコンには本大会で優勝した大学が日本代表として出場することができる。 なお、日本がABUロボコンの開催国となる年には2校に出場権が与えられ、2002年は審査員推薦で選ばれたチーム[4]に、2009年と2017年は準優勝したチームにも出場権が与えられた。2021年はABUロボコンがオンライン開催となるため、準優勝したチームにも出場権が与えられた。

ABUロボコン出場大学

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歴史

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本大会は1991年より毎年開催されている。なお、1996年は開催予定地の大阪府堺市にて腸管出血性大腸菌O157の集団感染があり、大会は中止となった。競技内容は翌年に繰り越された。

ABUロボコン以前

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(日本国内の大学のほか、海外の大学が数校出場)

ABUロボコン以前の競技名とその年の優勝校
開催年 競技名 優勝校 準優勝校
1991年 PING-PONG SCOOPER 秋田大学 中部大学
1992年 TWIST EXPRESS 鹿児島大学 玉川大学
1993年 TECHNO SOCCER 関西大学 鹿児島大学
1994年 TECHNO SOCCER II 豊橋技術科学大学 長岡技術科学大学
1995年 TECHNO RUGGER 豊橋技術科学大学(2度目) キングモンクット工科大学
1996年 (開催中止)    
1997年 PREMIUM NAVIGATOR 長岡技術科学大学 長崎総合科学大学
1998年 MIRACLE TOWER 豊橋技術科学大学(3度目) キングモンクット工科大学
1999年 ROBO SOCCER バンコク大学(タイ王国) 長岡技術科学大学
2000年 SNOW FIGHTER キングモンクット工科大学(タイ王国) 長岡技術科学大学
2001年 キュービック ビンゴ スラバヤ電子工学ポリテクニック(インドネシア 九州大学

ABUロボコン開催以後

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(日本国内の大学/高専のみ)

ABUロボコン開催以後の競技名とその年の優勝校・準優勝校
開催年 競技名 優勝校 準優勝校
2002年 富士山頂を目指せ! 豊橋技術科学大学(4度目) 金沢工業大学
2003年 タクローの覇者 愛知工科大学 金沢工業大学
2004年 織姫と彦星 東京大学 岡山大学
2005年 万里の長城を照らせ! 東京大学(2度目) 愛知工科大学
2006年 ツインタワー・ビルダー 東京農工大学 東京大学
2007年 ハロン湾の伝説 金沢工業大学 ものつくり大学
2008年 ゴヴィンダ 豊橋技術科学大学(5度目) 早稲田大学
2009年 旅は道づれ 勝利の太鼓を打て 豊橋技術科学大学(6度目) 金沢工業大学
2010年 ロボ・ファラオ ピラミッドを築け 金沢工業大学(2度目) 豊橋技術科学大学
2011年 ロイ・クラトンの火をともせ! 東京大学(3度目) 長岡技術科学大学
2012年 平安大吉(ペンオンダイガ) 東京大学(4度目) 金沢工業大学
2013年 THE GREEN PLANET 金沢工業大学(3度目) 東京大学
2014年 A SALUTE TO PARENTHOOD 名古屋工業大学 長岡技術科学大学
2015年 ROBOMINTON:BADMINTON ROBO-GAME 早稲田大学 新潟大学
2016年 Clean Energy Recharging the World 東京大学(5度目) 豊橋技術科学大学
2017年 The Landing Disc 東京工業大学 東京大学
2018年 NEM CON 東京大学(6度目) 豊橋技術科学大学
2019年 GREAT URTUU 京都大学 早稲田大学
2020年 Robo Rugby 7s 東京大学(7度目) 豊橋技術科学大学
2021年 投壺 長岡技術科学大学(2度目) 東京大学
2022年 LAGORI~ラゴリ~ 豊橋技術科学大学(7度目) 金沢工業大学
2023年 Casting Flowers over Angkor Wat 豊橋技術科学大学(8度目) 東京農工大学
2024年 Harvest Day 豊橋技術科学大学(9度目) 東京大学
  • これまでに複数回優勝しているのは豊橋技術科学大学が9度、東京大学が7度、金沢工業大学が3度である。

2020年の大会

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2020年の大会は、5月31日開催予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、延期とされ最終的に8月5日に中止と発表された[6][7]。代替イベントとしてオンライン!学生ロボFESTIVALが開催された。これは8月末から9月にかけて各チーム(学生ロボコン2020参加予定チーム)が「ロボット映像」や「チームPR映像」を公開するもので、9月21日(月・祝)にNHK総合「NHK学生ロボコン2020」として放映されるとともに、9月26日(土)午後に全チームがWEB上に集うオンラインLiveイベントが、行われ[8]、各チームによるロボットのPR、投票の結果、1位東京大学、2 位の豊橋技術科学大学となり、共にアジアの国々が参加する大会である「ABU ROBOCON FESTIVAL」(オンライン開催)への出場権を獲得した[9]

スポンサー

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ABUロボコン開催以後、大会スポンサーが大幅に増えた。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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