MOTHER マザー
『MOTHER マザー』は、2020年7月3日公開の日本映画[2]。PG12指定。
MOTHER マザー | |
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監督 | 大森立嗣 |
脚本 |
大森立嗣 港岳彦 |
製作 | 佐藤順子 |
製作総指揮 | 河村光庸 |
出演者 |
長澤まさみ 奥平大兼 夏帆 皆川猿時 仲野太賀 土村芳 荒巻全紀 大西信満 木野花 阿部サダヲ |
音楽 | 岩代太郎 |
撮影 | 辻智彦 |
編集 | 早野亮 |
制作会社 | スターサンズ |
製作会社 | 「MOTHER / マザー」製作委員会 |
配給 |
スターサンズ KADOKAWA |
公開 | 2020年7月3日 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 2億2000万円[1] |
監督は大森立嗣、主演は長澤まさみ[3]。実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」(2014年)に着想を得[3]、同事件のルポ『誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』(山寺香、ポプラ社)を原案にしている[4]。
あらすじ
編集三隅秋子は平凡な一般家庭に育ったが、素行が悪く、若くして周平という息子を産んだシングルマザーだった。仕事も続かない秋子は男から男へ渡り歩き、周平をろくに小学校にも通わせなかった。そんな秋子におとなしく従い続ける周平。
秋子は、男を使って平然と詐欺を働き、借金の申し込みには周平を使いにやった。自分は決して前面に立たず、自分の子をどう育てようと勝手だと、事あるごとに主張する秋子。
周平はグレもせず、ひたすら母親に従う引っ込み思案な若者に成長する。その頃には、幼い異父妹の冬華も産まれていた。
行く当てもなく道端にいる所を、保護司の亜矢に助けられる秋子と子供たち。亜矢の尽力で簡易宿泊所に入り、生活保護も受けられた。周平のために、学校に馴染めない子のフリースクールも手配する亜矢。スクールで学ぶことの楽しさを知る周平。
そんな秋子たちの狭い部屋に突然、遼という男が転がり込んだ。冬華の父だという遼は部屋に居座り、秋子に暴力を振るった。最低の男の遼でもすぐに受け入れ、離したくない秋子。遼がヤミ金から借金したせいで簡易宿泊所から夜逃げし、一家は放浪生活に逆戻りした。秋子母子から離れ、身軽に別行動で逃げて行く遼。
半年後、周平は小さな工場に勤め、母や妹と共に寮に住み込んだ。だが、秋子は働かず、パチンコやゲーセンで散財するばかり。挙句に周平に工場の金を盗ませ、一家で失踪した。
金を使い果たし、切羽詰った秋子は周平に、祖父母(秋子の両親)を殺して金を奪えと指示した。何度も秋子に念を押された末に、祖父母を訪ね、刺し殺す周平。母子はすぐに逮捕されたが、秋子は殺人を指示していないと言い張り、周平に罪をなすり付けた。
母親の関与が判明すれば、周平の罪は軽くなる。しかし、周平も自分の単独犯だと主張したため、秋子は執行猶予、周平には懲役12年の判決が言い渡された。
周平と面会した亜矢が、秋子に会いに来た。秋子は釈放されたが娘の冬華は司法の判断で保護され、古い一間のアパートには秋子一人が座り込んでいた。
亜矢は、「それでもお母さんが好きだ」という周平の言葉を秋子に伝えるのだった。
キャスト
編集- 三隅秋子:長澤まさみ
- 周平:奥平大兼[5](幼少期:郡司翔[6])
- 川田遼:阿部サダヲ[3]
- 高橋亜矢:夏帆[6]
- 宇治田守:皆川猿時[6]
- 赤川圭一:仲野太賀[6]
- 三隅楓:土村芳[6]
- 松浦(つくば都市緑化社長):荒巻全紀[6]
- 秋子の前夫:大西信満[6]
- 三隅雅子:木野花[6]
- 三隅冬華:浅田芭路[6]
- 三隅勝秀:たかお鷹
- 弁護士:大場泰正[7]
- 小川(児童相談所職員):小林千里[8]
- 老人:小林勝也
- はぎわらりな[9]
- 旅館スタッフ:宇野正剛
- 松木大輔
- 教師(フリースクール):山本晃大[10]
- 大川原直太[11]
- 三浦景虎[12]
- 田村令
- 児童相談所職員:浅木貴仁
- 金貸し:金能弘
- 伊藤佳範[13]
- 北浦マサシ
- 小野孝弘[14]
- 真砂豪
スタッフ
編集- 監督:大森立嗣
- 脚本:大森立嗣、港岳彦
- 企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
- プロデューサー:佐藤順子
- 共同プロデューサー:金井隆治、鈴木俊輔、岡本圭三、飯田雅裕
- 撮影:辻智彦
- 照明:大久保礼司
- 録音:高田伸也
- キャスティング:杉野剛
- 美術:大原清孝
- 衣装:纐纈春樹
- ヘアメイク:豊川京子
- 助監督:近藤有希
- 制作担当:三村薫
- 題字:赤松陽構造
- スチール:三木匡宏
- 編集:早野亮
- ラインプロデューサー:古賀奏一郎
- 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
- 配給:スターサンズ、KADOKAWA
- 制作プロダクション:スターサンズ
- 制作協力プロダクション:SS工房
- 製作幹事:ハピネット、KADOKAWA
- 製作:「MOTHER / マザー」製作委員会(ハピネット、KADOKAWA、朝日新聞社、スターサンズ、ギャガ、イオンエンターテイメント、TBSラジオ、Filmarks)
評価
編集キネマ旬報社が運営するKINENOTEの「キネ旬Review」では、映画評論家の川口敦子は「背中と顔、引きと寄り、対置の話術。握りしめた少年の拳をアップにしない矜持に見惚れた」とコメントし、佐野亨は「残酷な現実を描くに際して、ただ現実を突きつけるでもなく、人間存在のよるべなさに対する静かな洞察が息づく」と傑作と評価、福間健二も「本作が暴いたもの、私たちに突きつけているものに震えが止まらない」と満点評価をつけた[15]。
受賞歴
編集- 第33回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞 主演女優賞(長澤まさみ、『コンフィデンスマンJP プリンセス編』と合わせて)[16]
- 第75回毎日映画コンクール 日本映画大賞(2020年)[17]
- 第44回日本アカデミー賞
- 最優秀主演女優賞(長澤まさみ、『コンフィデンスマンJP -プリンセス編-』と同時受賞)[18]
- 新人俳優賞(奥平大兼)[19]
関連項目
編集脚注
編集- ^ 『キネマ旬報』2021年3月下旬特別号 p.46
- ^ “長澤まさみがダークサイドで主演、映画『MOTHER マザー』7・3公開”. ORICON NEWS (oricon ME). (2020年6月3日) 2020年6月3日閲覧。
- ^ a b c “長澤まさみと阿部サダヲが大森立嗣監督新作で初共演 『MOTHER マザー』初夏公開へ”. Real Sound (株式会社blueprint). (2020年1月22日) 2020年6月3日閲覧。
- ^ なぜ少年は祖父母を殺害したのか? 長澤まさみ主演「MOTHER マザー」原案の衝撃のノンフィクション『誰もボクを見ていない』「少年の生い立ちは想像を絶する」ダ・ヴィンチweb, 2020/6/19
- ^ “長澤まさみの息子役に新人・奥平大兼、「MOTHER マザー」夏帆ら登場する予告公開”. 映画ナタリー (株式会社ナターシャ). (2020年4月27日) 2020年6月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i "MOTHER マザー:作品情報". 映画.com. カカクコム. 3 July 2020. 2023年10月14日閲覧。
- ^ 大場泰正 - United Artists & Managers
- ^ 小林千里 - ケイエムシネマ企画
- ^ "映画『MOTHER マザー』出演情報!!". NEWS. 株式会社アンカット. 9 July 2020. 2023年10月14日閲覧。
- ^ 山本晃大 - ハイエンド合同会社
- ^ 大川原直太 - Biz Actors
- ^ BIOGRAPHY - フランク景虎(三浦景虎)OFFICIAL SITE
- ^ 伊藤佳範 - 株式会社ハーベストフィルム
- ^ Filmography - 小野孝弘
- ^ “キネ旬 Review ~キネマ旬報映画レビュアーによる新作映画20本のレビュー”. キネマ旬報. 2020年7月28日閲覧。
- ^ 「『鬼滅の刃』石原裕次郎賞受賞 『罪の声』が「日刊スポーツ映画大賞」作品賞に」『ORICON NEWS』オリコン、2020年12月28日。2021年1月9日閲覧。
- ^ “長澤まさみ主演『MOTHER マザー』 毎日映画コンクール日本映画大賞”. ORICON NEWS. オリコン (2021年1月22日). 2021年2月2日閲覧。
- ^ “長澤まさみ涙 初のアカデミー最優秀主演女優賞”. 日刊スポーツ. 株式会社日刊スポーツ新聞社 (2021年3月19日). 2021年3月23日閲覧。
- ^ 第44回 日本アカデミー賞 優秀賞決定!、日本アカデミー賞公式サイト、2021年2月13日閲覧。
外部リンク
編集- 映画『MOTHER マザー』 - ウェイバックマシン(2020年8月17日アーカイブ分)
- 映画『MOTHER マザー』 (eiga.mother) - Facebook