JPQRは、日本QR・バーコード決済用の統一規格。

概要

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事業者毎にコードの仕様が異なる不便な状況を解消するべく、日本国政府総務省経済産業省)が推進して導入された決済用統一QRコードである[1]一般社団法人キャッシュレス推進協議会が統一コードについて名称を2019年令和元年)3月22日に[2]、仕様を3月29日に[3]それぞれ策定した。

「利用者提示型 (CPM:Consumer Presented Mode)」と「店舗掲示型 (MPM:Merchant-Presented Mode)」のうち、CPMでバーコードを使用するものは2019年8月1日を目途にJPQRコードへ切り替える[4]が、CPMタイプでQRコードを使用するものとMPMタイプは未定である。

2019年8月1日3時から、au PAY、メルペイ、楽天ペイ、ゆうちょPay、はまPay、YOKA!Pay、OKIPay、りそなウォレット[5]がJPQRコードに対応して開始された。

背景

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日本国内では2010年代後半以降、多数の決済事業者が個々に独自規格のキャッシュレス決済サービスを立ち上げたが、各サービス間の互換性が無く、多数の決済サービスの乱立による非効率性や過当競争、これらに因る決済手数料の高止まり、ならびに利用者及び店舗側のオペレーションの煩雑さが懸念されていた[6]。このような課題はキャッシュレス決済導入の阻害要因でもあることから、これを解消して日本国内におけるキャッシュレス決済の普及率向上を促進するため、コード決済の共通規格として、JPQRの導入が2019年に日本国政府の主導で提唱された[6]

サービス開始後の動向

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2020年以降、JPQRに参画していた大手決済事業者のPayPayがJPQR経由の利用契約よりも自社との個別契約を優遇する方針を取ったことなどもあり、各決済事業者の足並みが揃わず[7]、当初構想されていたQRコード決済の共通規格化が事実上有名無実化していると指摘されている[8]

認知度不足に加え、前述のような各決済事業者の顧客囲い込み戦略との齟齬や思惑の相違もあり[6]2021年度末には日本全国で10万店舗での導入を目指して普及促進事業が進められたものの、サービス導入から2年後の2021年9月時点での導入店舗数は1万2000店舗(日本国内の全小売店舗の1.5%程度)に留まる[8]

JPQRに対応する決済システム

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2023年12月基準

サービス名称 提供事業者名
atone ネットプロテクションズ
au PAY KDDI
OKI Pay 沖縄銀行
銀聯QR ユーシーカード
こいPay 広島銀行
commoney コモニー
J-Coin Pay 足利銀行
山陰合同銀行
栃木銀行
富山第一銀行
広島銀行
北洋銀行
宮崎銀行
ユーシーカード
d払い DGフィナンシャルテクノロジー
はまPay 横浜銀行
FamiPay ファミマデジタルワン
ほくほくPay 北陸銀行
北海道銀行
メルペイ メルペイ
ゆうちょPay ゆうちょ銀行
YOKA!Pay 福岡銀行
楽天ペイ 楽天ペイメント
WeChat Pay ネットスターズ

脚注

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  1. ^ マネーフォワード、総務省が推進する統一QR「JPQR」普及事業に参画」『株式会社マネーフォワード』20 May 2019https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000329.000008962.html20 May 2019閲覧 
  2. ^ コード決済に関する統一技術仕様ガイドラインに基づくサービスの総称及びロゴを策定いたしました - 一般社団法人キャッシュレス推進協議会
  3. ^ 「コード決済に関する統一技術仕様ガイドライン」「統一用語集」を策定しました。 - 一般社団法人キャッシュレス推進協議会
  4. ^ 利用者提示型コード決済におけるJPQRへの切替目標を「2019年8月1日(木)午前0:00」に設定いたしました - キャッシュレス推進協議会・2019年4月26日
  5. ^ 谷井将人 (2019年7月25日). “コード決済の統一規格「JPQR」、8月1日午前3時に各社が一斉導入 メルペイやLINE Pay、楽天ペイなど”. ITmedia. https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1907/25/news127.html 2019年7月26日閲覧。 
  6. ^ a b c 統一QRコードがうまく行かない本当の理由”. 週刊エコノミストOnline. 毎日新聞出版 (2020年8月27日). 2024年12月31日閲覧。
  7. ^ 統一QR、足並み乱れ PayPayが手数料で独自路線”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社 (2020年6月19日). 2024年12月31日閲覧。
  8. ^ a b 普及率1.5%の国策統一コード「JPQR」、PayPayの手数料格差で有名無実に”. 日経クロステック. 日経コンピュータ (2021年9月14日). 2024年12月31日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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