FERMドメイン: FERM domain、Fはバンド4.1英語版、Eはエズリン、Rはラディキシン、Mはモエシンに由来する)は、タンパク質細胞膜への局在に関与しているモジュールの1つである[1]。FERMドメインは、細胞膜と細胞骨格との相互作用面においてさまざまなタンパク質と結合する、細胞骨格結合タンパク質に多くみられる。こうしたタンパク質の大部分では、FERMドメインはN末端に位置している[1][2]

FERM N-terminal domain
マーリン英語版タンパク質のFERMドメインの結晶構造
識別子
略号 FERM_N
Pfam PF09379
Pfam clan CL0072
InterPro IPR018979
SCOP 1gc7
SUPERFAMILY 1gc7
OPM superfamily 49
OPM protein 1gc6
Membranome 161
利用可能な蛋白質構造:
Pfam structures
PDB RCSB PDB; PDBe; PDBj
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FERM central domain
バンド4.1タンパク質の膜結合ドメインの結晶構造
識別子
略号 FERM_M
Pfam PF00373
InterPro IPR019748
SCOP 1gc7
SUPERFAMILY 1gc7
CDD cd14473
利用可能な蛋白質構造:
Pfam structures
PDB RCSB PDB; PDBe; PDBj
PDBsum structure summary
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FERM C-terminal PH-like domain
ネプリライシンの細胞質テールと複合体を形成したラディキシンFERMドメインの結晶構造
識別子
略号 FERM_C
Pfam PF09380
Pfam clan CL0266
InterPro IPR018980
SCOP 1ef1
SUPERFAMILY 1ef1
CDD cd00836
利用可能な蛋白質構造:
Pfam structures
PDB RCSB PDB; PDBe; PDBj
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構造と機能

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エズリン、モエシン、ラディキシンは高度に関連したタンパク質(ERMファミリー)であるが、FERMドメインを有する他のタンパク質ではこのドメイン以外に類似性がみられる領域は存在しない。ERMファミリーのタンパク質は、N末端のFERMドメイン、中央部のヘリカルドメイン、そしてF-アクチンに結合するC末端のテールドメイン、という3つのドメインから構成される。ERMファミリータンパク質ではFERMドメインのアミノ酸配列は高度に保存されており、膜内在性タンパク質英語版の細胞質ドメインまたはテール領域に直接結合することで膜への結合を担う。ERMファミリータンパク質は、FERMドメインとC末端テールドメインとの間の分子内結合によって他の分子への結合部位を覆い隠すことで調節が行われている。細胞骨格と膜を架橋する過程においては、不活性状態の分子は活性化されると、FERMドメインが膜タンパク質に特異的に結合することで膜へ接着し、一方で34残基からなるテール領域はアクチンフィラメントに結合する。ERMファミリータンパク質の活性化されたFERMドメインは膜への結合以外にも、RhoファミリーGTPアーゼに対するグアニンヌクレオチド解離阻害因子英語版(RhoGDI)とも結合し、このことはERMファミリータンパク質が架橋分子としての機能に加えて、Rhoを介したシグナル伝達経路にも影響を及ぼしている可能性を示唆している。FERMドメインの結晶構造からは、3つの構造モジュール(F1、F2、F3)がコンパクトなクローバー型構造を形成していることが明らかにされている[3]

FERMドメインは、他にもthe amino-terminal domain、the 30kDa domain、4.1N30、the membrane-cytoskeletal-linking domain、the ERM-like domain、the ezrin-like domain of the band 4.1 superfamily、the conserved N-terminal region、the membrane attachment domainといった名称で言及されている場合がある[1]

出典

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  1. ^ a b c “The FERM domain: a unique module involved in the linkage of cytoplasmic proteins to the membrane”. Trends Biochem. Sci. 23 (8): 281–2. (August 1998). doi:10.1016/S0968-0004(98)01237-7. PMID 9757824. 
  2. ^ “Structure of the ERM protein moesin reveals the FERM domain fold masked by an extended actin binding tail domain”. Cell 101 (3): 259–70. (April 2000). doi:10.1016/S0092-8674(00)80836-3. PMID 10847681. 
  3. ^ “Structural basis of the membrane-targeting and unmasking mechanisms of the radixin FERM domain”. EMBO J. 19 (17): 4449–62. (September 2000). doi:10.1093/emboj/19.17.4449. PMC 302071. PMID 10970839. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC302071/.