EE-9 (装甲車)
ブラジルで1970年代に開発された装甲車
EE-9 カスカベル(ポルトガル語: EE-9 Cascavel、ガラガラヘビ)は、1970年代にブラジルのEngesa社が設計開発した、6輪式の偵察・火力支援用の装輪装甲車である。
エクアドル軍のEE-9 カスカベル Mk.IV | |
基礎データ | |
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全長 |
6.2m(砲身含む) 5.2m(車体のみ) |
全幅 | 2.64m |
全高 | 2.68m |
重量 |
10.9t(車体のみ) 13.4t(戦闘重量) |
乗員数 | 3名(車長、砲手、運転手) |
装甲・武装 | |
装甲 | 6 - 12mm |
主武装 | コッカリル Mk.3 90mm低圧砲(Mk.III) |
副武装 | 7.62mm機関銃x1丁(同軸) |
機動力 | |
速度 | 100km/h |
エンジン |
デトロイトディーゼル 6V-53N 6気筒液冷ディーゼル 212hp |
懸架・駆動 | 6x6 |
概要
編集EE-9の派生型で最も多数が生産されたカスカベル Mk.IIIは、Engesa社製の砲塔にベルギーのコッカリル Mk.3 90mm低圧砲をライセンス生産したものを搭載している。
EE-9は民生用の部品を多用しているのが特徴であり、EE-9のコンポーネントの多くは、派生型であるEE-11 ウルツ装甲兵員輸送車にも流用されている。
EE-9はラテンアメリカや中東、アフリカの第三世界諸国に広く輸出されている。イラン・イラク戦争においてはイランとイラクの双方がこれを購入・使用したほか、イラクは湾岸戦争においても使用している。イラクではまた、チェコスロバキアから輸入したOT-62装軌式装甲兵員輸送車にEE-9の90mm砲塔を搭載した改造車両を使用した。ほかにも、コロンビア軍がコロンビア革命軍(FARC)を筆頭とする左翼ゲリラ組織の掃討作戦に使用し、コロンビア最高裁占拠事件では人質を取って立てこもる武装勢力の排除に使用されるなど、それなりの実戦経験を有している。
派生型
編集- カスカベル Mk.I
- 初期型。M8 グレイハウンド装甲車の砲塔と主砲を搭載している。
- カスカベル Mk.II
- 砲塔をフランスのパナール社製H 90[1]に換装し、主砲もフランス製DEFA D921 90mm砲を搭載している。
- カスカベル Mk.III
- 砲塔をEngesa社製のものに換装し、主砲にコッカリル Mk.3 90mm低圧砲をEngesa社でライセンス生産した砲を搭載している。
- カスカベル Mk.IV
- エンジンとトランスミッションを新型に換装し、ランフラットタイヤを装備。また、砲塔には昼夜兼用の光学照準器とレーザーレンジファインダーを装備。
- カスカベル Mk.V
- Engesa社が開発した最後のカスカベルの改良型。エンジンをメルセデス・ベンツ社製OM52A ディーゼルエンジン(190馬力)に換装。
- カスカベル Mk.VI
- カスカベル Mk.Vのエンジンをメルセデス・ベンツ社製OM352A ディーゼルエンジンに換装。
- カスカベル Mk.VII
- カスカベル Mk.IVとカスカベル Mk.Vのギアボックスを換装。
運用国
編集- ブラジル: 600両
- イラン: 189両(それらのほとんどは、イラン・イラク戦争中に取得)
- コロンビア: 180両
- キプロス: 124両。2023年時点では、キプロス国家守備隊が79両を保有している[2]。
- ジンバブエ: 90両
- チリ: 80両(すでに退役)
- リビア: 70両
- エクアドル: 50両
- スリナム: 45両
- イラク: 35両(それらのほとんどは、イラン・イラク戦争中に失った)
- カタール: 30両
- パラグアイ: 28両
- ボリビア: 24両
- ドミニカ共和国: 20両
- ウルグアイ: 15両
- ガイアナ: 6両
- ブルキナファソ: 2両
- ミャンマー: 150両( 第三国であるイスラエルが国際市場より調達した物をミャンマーが購入。シャン州に集中配備され、ミャンマー・タイ国境に配置されているともいわれる)
脚注
編集- ^ AML 90に装備されているものと同型
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 81. ISBN 978-1-032-50895-5
関連項目
編集外部リンク
編集- Military-today.com(英語)
- ArmyRecognition.com(フランス語)