ボックス・セット
ボックス・セットは、録画された映像作品(ビデオソフト)、録音された音楽作品(アルバム)などの、複数の記録媒体を、ひとつの特別な箱(ボックス)に梱包した形態で販売する商品。
記録媒体には、DVD・Blu-ray Disc・コンパクトディスクなどのディスク、レコード、その他磁気テープ、書籍など様々な形態がある。
録画作品
編集DVD-BOX
編集DVDのボックス・セット。
映画やテレビ番組などで連続作品となっているものは、作品をシリーズとしてひとつにまとめるか、あるいはクール(シーズン)ごとにまとめて発売する傾向にある。特に監督など著名な人物ごとのボックスとして発売される場合や、その他にも独自のコンピレーションによるボックス・セットもある。
劇場用映画作品においても、『スター・ウォーズ』などのようにシリーズ化した人気作品は、各作品を全て収録したボックス・セットが後に発売されることがある。
BD-BOX
編集Blu-ray Disc (BD) のボックス・セット。ハイビジョン画質での映像記録が可能である。
フィルムで制作された映画・アニメーション作品などであれば、ハイビジョンあるいは4K解像度でのスキャン及びレストアが行われ、画質が向上している場合が多い。
テレビ番組などビデオ撮影の作品であれば、アップコンバート処理を行い収録されるが、基本的にはただ拡大するだけのため、それほど画質は向上しない。また、アップコンバート処理を行わず収録する場合もあり(ハイレートSD)、この場合はデータ圧縮方式の違いからDVDより圧縮ノイズが生じづらい上に長時間(1枚あたり10時間程度)収録できる。
LD-BOX
編集レーザーディスク (LD) のボックス・セット。DVDの普及以前に販売され、LDの衰退後も、1990年代後半まではLD-BOX形態の新作が供給された。
日本国内では、1987年5月にキティ・フィルムから発売されたテレビアニメ『うる星やつら』LD-BOXが、アニメ作品のボックス・セット第1号とされており、『うる星やつら』のLD-BOXは全50枚で33万円の価格にもかかわらず、予約限定の初回分3,000セットが完売する成功を見せ、以後のテレビアニメや特撮テレビ番組のボックス・セット化の道を開いた[1]。
ビデオBOX
編集ビデオテープのボックス・セット。DVD・LDの普及以前に販売されていた。現在は中古市場で流通するのみで新作の供給はない。
日本国内では主流を占めたVHS規格の作品が多かったが、ベータマックス規格のビデオ・ボックスも存在した。
VCD-BOX
編集ビデオCD (VCD) のボックス・セット。
中国市場向けに、VCD-BOX形態の作品が販売される。
録音作品
編集CD-BOX
編集コンパクトディスク (CD) のボックス・セット。
音楽CD-BOXでは、アルバムのボックス・セットが多数を占めるが、シングルのボックス・セットも存在する。またシングル曲(およびそのB面曲)をボックス・セットにした「シングル・コレクション」もしばしば販売される。
音楽CD-BOXの収録曲は様々で、たとえば単独ミュージシャンの音源コレクション、あるレコード会社が原盤権を保有する楽曲のみを集めた作品集、レコード会社の枠を超えて特定時代の流行歌を集めた作品集などがある。
オムニバスCD-BOXの場合、例えば演歌やムード歌謡、戦前・戦中・戦後の歌謡曲、軍歌、フォークソング、アイドル歌謡曲、ニューミュージック、J-POP、唱歌・童謡、オールディーズなどのジャンルごとに分類したものや、廃盤音源を集めたものなどがある。そのほか、流行歌をボーカルなしの演奏(インストゥルメンタル・カラオケ)で収録したものや、リラクゼーションのためのBGMのCD-BOXも存在する。
また音楽作品以外の録音作品、たとえば落語や漫才などの全集や、名作本の朗読集などのCD-BOXも制作されている。
レコードBOX
編集レコードのボックス・セット。
音楽CDの普及以前には、複数のレコードをボックス・セットにしたレコードBOXも販売された。近年、アナログレコードが再評価されるにつれて、新たにレコードBOXが発売されるようになっている[2]。
脚注
編集- ^ 増田弘道『アニメビジネスがわかる』p.130。
- ^ ロック&ポップス アナログレコードBOXセット特集 HMV
参考文献
編集- 増田弘道『アニメビジネスがわかる』NTT出版、2007年7月25日。ISBN 978-4-7571-2200-0