74億分の1の君へ
「74億分の1の君へ」(ななじゅうよんおくぶんのいちのきみへ)は、日本の女性アイドルグループ・HKT48の楽曲。作詞は秋元康、作曲は斉門が担当した。2016年4月13日に、HKT48の7作目のシングルとしてユニバーサル ミュージック(EMI RECORDS)から発売された。楽曲のセンターポジションは兒玉遥が務めた[5]。
「74億分の1の君へ」 | ||||||||
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HKT48 の シングル | ||||||||
初出アルバム『092』 | ||||||||
B面 |
Chain of love タブーの色 HKT城、今、動く アインシュタインよりディアナ・アグロン 図々しさを貸してちょうだい | |||||||
リリース | ||||||||
規格 |
シングル デジタル・ダウンロード | |||||||
ジャンル | J-POP | |||||||
時間 | ||||||||
レーベル | EMI RECORDS/UNIVERSAL MUSIC | |||||||
作詞・作曲 |
秋元康(作詞) 斉門(作曲) | |||||||
プロデュース | 秋元康 | |||||||
ゴールドディスク | ||||||||
チャート最高順位 | ||||||||
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HKT48 シングル 年表 | ||||||||
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背景とリリース
編集前作「しぇからしか!」から約5か月ぶりのシングル。Type-A、Type-B、Type-C、劇場盤の4形態。「74億分の1の君へ」は2016年3月30日にマリンメッセ福岡で行われた春のライブツアー『サシコ・ド・ソレイユ 2016』で初披露された[12]。
選抜メンバーおよびセンターポジションは2016年2月28日、マリンメッセ福岡で行われた「しぇからしか! 発売記念 全国握手会」イベント中に発表された[13]。初選抜メンバーは田中菜津美、松岡はなの2名[13]。前作シングル「しぇからしか!」選抜メンバーとの比較では、1stシングル「スキ!スキ!スキップ!」から全てのシングルで選抜メンバー入りしていた本村碧唯のほか、山下エミリーが本作では選抜メンバーから外れた。
音楽性と批評
編集表題曲「74億分の1の君へ」は、HKT48としては初のウエディングソングである[12]。
Type-Bに収録された、プラチナガールズの楽曲「HKT城、今、動く」はHKT48の劇場移転をテーマとした楽曲で[15]、歌詞には新劇場である西鉄ホールの所在地「天神」が使用されている[16]。
アインシュタインよりディアナ・アグロン
編集Type-Cに収録された、なこみく&めるみおの楽曲「アインシュタインよりディアナ・アグロン」については、その歌詞をめぐってインターネット上で批判がある。その内容は、曲の主人公が「女の子」にとって大切なことは「可愛い」ことで、メイクの技術や肌の美しさこそが最も重要であるから、勉強して知性を磨くことなど必要なく「頭からっぽ」の「バカでいい」と表明するもので、女性に対する偏見との指摘が起こった。またこの表現に、可愛いものの象徴として、アメリカのテレビドラマシリーズ『Glee/グリー』およびその登場人物クイン・ファブレー(Quinn Fabray)役の女優ディアナ・アグロンを持ち出した件は、実際のドラマ上では美しいが決して知性に欠けるキャラクターではない彼女を反知性の象徴にしたことに対し、同ドラマのファンから批判を受けた[17]。
コラムニストの勝部元気はハフィントン・ポストで同様の指摘をし、この歌詞の時代錯誤なメッセージは女性から力を取り上げようとする女性差別温存の常套手段として用いられてきたもので、そのような歌詞が21世紀にもなってトップアイドルから発信され、クールジャパンの代表ともてはやされることは「異常事態」であると述べた。またこういった指摘に対し「所詮サブカルチャー」「批判するほうがおかしい」と容認する意見に対しても、解決するべき差別の現状肯定であり、日本にメインストリームの差別的カルチャーに対抗して女性への自立を訴えることができるスターやオピニオンリーダーがいない現状では「ガラパゴスセクシズム」にすぎず間違いであると論じた[18]。また、この問題は、2016年5月18日付の毎日新聞でも報じられた[19]。
精神保健福祉士及び社会福祉士の斉藤章佳は自身の著書内でこの楽曲の歌詞を取り上げており、「21世紀にもなってまだこうした価値観が堂々とメディアを通して拡散されることに驚きつつ、男尊女卑依存症社会ではこうしたことが起きるのも当然だという思いもある」[20]「(本楽曲は)女性アイドルが歌っているが、これは明らかに男性側が固執している価値観である」[20]「女性はかわいく、未熟で、自分たちより劣っている…つまり男性のアイデンティティを脅かさない存在でいてほしい、いえ、いるべきだという強いメッセージを、男性も女性もこうして人生の早いうちから刷り込まれる」[20]「日本社会では男性が成熟した女性と対等に関係を築くのを苦手としていることの表れであるように見える」[20]などと論じている。
アートワーク
編集Type-A 表 | 多田愛佳、兒玉遥、指原莉乃、松岡菜摘、松岡はな、宮脇咲良、森保まどか |
Type-B 表 | 穴井千尋、神志那結衣、兒玉遥、坂口理子、指原莉乃、田中菜津美、渕上舞、宮脇咲良 |
Type-C 表 | 兒玉遥、指原莉乃、田島芽瑠、田中美久、朝長美桜、宮脇咲良、矢吹奈子 |
劇場盤 表 | 兒玉遥、指原莉乃、宮脇咲良 |
チャート成績
編集「74億分の1の君へ」のシングルCDは、2016年4月25日付のオリコン週間CDシングルランキングで初登場1位を獲得し、女性アーティスト歴代1位記録を持つ「デビューからのシングル連続1位獲得作品数」を7作連続に更新した[5]。初動売上は23万9000枚。
ミュージック・ビデオ
編集「74億分の1の君へ」のミュージックビデオは、静岡県富士宮市にある休暇・宿泊施設『ふもとっぱら』で「HKT48 LOVE Fes in FUMOTOPPARA」という架空の野外音楽フェスを舞台に、1000人のエキストラも参加して撮影が行われた[21]。
メディアでの使用
編集74億分の1の君へ
Chain of love
シングル収録トラック
編集Type-A
編集# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「74億分の1の君へ」 | 秋元康 | 斉門 | 野中“まさ”雄一 | |
2. | 「Chain of love」 | 秋元康 | 後藤康二 | 生田真心 | |
3. | 「タブーの色」(サクラハルカ) | 秋元康 | 近藤圭一 | 近藤圭一 | |
4. | 「74億分の1の君へ (Instrumental)」 | 斉門 | 野中“まさ”雄一 | ||
5. | 「Chain of love (Instrumental)」 | 後藤康二 | 生田真心 | ||
6. | 「タブーの色 (Instrumental)」 | 近藤圭一 | 近藤圭一 | ||
合計時間: |
# | タイトル | 監督 |
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1. | 「74億分の1の君へ (Music Video)」 | 丸山健志 |
2. | 「タブーの色 (Music Video)」 | 土屋隆俊 |
3. | 「日本一スポット ミステリーバスツアー Vol.1」 |
Type-B
編集# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
---|---|---|---|---|---|
1. | 「74億分の1の君へ」 | 秋元康 | 斉門 | 野中“まさ”雄一 | |
2. | 「Chain of love」 | 秋元康 | 後藤康二 | 生田真心 | |
3. | 「HKT城、今、動く」(プラチナガールズ) | 秋元康 | 篤永猛彦 | 武藤星児 | |
4. | 「74億分の1の君へ (Instrumental)」 | 斉門 | 野中“まさ”雄一 | ||
5. | 「Chain of love (Instrumental)」 | 後藤康二 | 生田真心 | ||
6. | 「HKT城、今、動く (Instrumental)」 | 篤永猛彦 | 武藤星児 | ||
合計時間: |
# | タイトル | 監督 |
---|---|---|
1. | 「74億分の1の君へ(Music Video)」 | 丸山健志 |
2. | 「HKT城、今、動く(Music Video)」 | 戸塚富士丸、土屋隆俊 |
3. | 「日本一スポット ミステリーバスツアー Vol.2」 |
Type-C
編集# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「74億分の1の君へ」 | 秋元康 | 斉門 | 野中“まさ”雄一 | |
2. | 「Chain of love」 | 秋元康 | 後藤康二 | 生田真心 | |
3. | 「アインシュタインよりディアナ・アグロン」(なこみく & めるみお) | 秋元康 | FIREWORKS | FIREWORKS | |
4. | 「74億分の1の君へ (Instrumental)」 | 斉門 | 野中“まさ”雄一 | ||
5. | 「Chain of love (Instrumental)」 | 後藤康二 | 生田真心 | ||
6. | 「アインシュタインよりディアナ・アグロン (Instrumental)」 | FIREWORKS | FIREWORKS | ||
合計時間: |
# | タイトル | 監督 |
---|---|---|
1. | 「74億分の1の君へ(Music Video)」 | 丸山健志 |
2. | 「アインシュタインよりディアナ・アグロン(Music Video)」 | 中村太洸 |
3. | 「日本一熱いガチンコ サバイバルゲーム」 |
劇場盤
編集# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「74億分の1の君へ」 | 秋元康 | 斉門 | 野中“まさ”雄一 | |
2. | 「Chain of love」 | 秋元康 | 後藤康二 | 生田真心 | |
3. | 「図々しさを貸してちょうだい」(ダイヤモンドガールズ) | 秋元康 | フジノタカフミ | 若田部誠 | |
4. | 「74億分の1の君へ (Instrumental)」 | 斉門 | 野中“まさ”雄一 | ||
5. | 「Chain of love (Instrumental)」 | 後藤康二 | 生田真心 | ||
6. | 「図々しさを貸してちょうだい (Instrumental)」 | フジノタカフミ | 若田部誠 |
選抜メンバー
編集脚注
編集出典
編集- ^ 日本レコード協会 認定作品 2016年4月度認定作品を閲覧。 2016年6月11日閲覧。
- ^ “J-POP最強カウントダウン50 2016/4/17(日) オンエア”. MUSIC ON! TV. エムオン・エンタテインメント (2016年4月17日). 2016年9月29日閲覧。
- ^ “HKT48「74億分の1の君へ」初動29万枚で初登場1位、宇多田新曲2曲がトップ10に同時チャートイン”. Billboard Japan. 阪神コンテンツリンク,プランテック,Prometheus Global Media (2016年4月20日). 2016年9月29日閲覧。
- ^ “HKT48 29万枚セールスで6度目のビルボード初登場1位、アイドル独占TOP5はたこ虹や原駅ステージA&ふわふわも”. Billboard JAPAN (阪神コンテンツリンク,プランテック,Prometheus Global Media). (2016年4月18日) 2016年9月29日閲覧。
- ^ a b c d e “【オリコン】HKT48、デビューから7作連続シングル首位”. ORICON STYLE (oricon ME). (2016年4月19日) 2016年5月21日閲覧。
- ^ “SUPER HITS PERFECT RANKING 50 ON AIR: 2016/05/01”. SPACE SHOWER TV. スペースシャワーネットワーク (2016年5月1日). 2016年9月29日閲覧。
- ^ オリコン月間CDシングルランキング 2016年4月度 2016年5月2日閲覧。
- ^ “【2016年上半期ランキング】音楽シーンをけん引する三大勢力に新たな潮流”. ORICON STYLE. oricon ME (2016年6月24日). 2016年9月29日閲覧。
- ^ “Billboard Japan Hot 100 Year End 2016/01/01 付け”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク,プランテック,Prometheus Global Media (2016年12月). 2016年12月23日閲覧。
- ^ “Billboard Japan Top Singles Sales Year End 2016/01/01 付け”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク,プランテック,Prometheus Global Media (2016年12月). 2016年12月23日閲覧。
- ^ “【2016年 年間音楽&映像ランキング】嵐が前人未到の記録達成!AKB48がシングル年間V7!! 年間シングルランキング 1位〜25位”. ORICON STYLE. oricon ME (2016年12月24日). 2016年12月24日閲覧。
- ^ a b “HKT48ツアーファイナルで、研究生昇格&夏のツアー発表!新曲初披露も”. エンタメNEXT (徳間書店). (2016年3月31日) 2016年12月24日閲覧。
- ^ a b “HKT48・7thシングル選抜メンバー決定!なつみかん&研究生・松岡はなが初選抜”. エンタメNEXT (徳間書店). (2016年2月29日) 2016年6月23日閲覧。
- ^ “平成28年熊本地震における被災者および被災地支援のための緊急支援募金にご協力のお願い”. HKT48オフィシャルブログ. CyberAgent (2016年4月17日). 2016年8月13日閲覧。
- ^ 駒田京伽 (2016年4月28日). “こんばんわ(。・ω・。)♪”. Google+. 2016年5月21日閲覧。
- ^ a b c HKT48 2016b。
- ^ この段落の出典。小浦大生 (2016年4月14日). “HKT48新曲の歌詞「頭からっぽでいい」に批判が集中”. R25. リクルート. 2016年4月15日閲覧。
- ^ この段落の出典。勝部元気、「女の子は頭からっぽでいい」がクールジャパンなのか?(2016年4月20日)、ハフィントン・ポスト、2016年4月22日閲覧。
- ^ “HKT48 新曲に「女性蔑視」批判 ♪女の子は可愛くなきゃね 学生時代はおバカでいい♪”. 毎日新聞 (2016年5月18日). 2016年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年9月7日閲覧。
- ^ a b c d 斉藤 2019, pp. 253–254.
- ^ “HKT48 “愛を奏でた”「74億分の1の君へ」ミュージックビデオ解禁!”. Billboard Japan. (2016年4月5日) 2016年4月5日閲覧。
- ^ “NMB48「道頓堀よ、泣かせてくれ!」HKT48「尾崎支配人が泣いた夜」どっちが泣けるか徹底比較”. エキサイトレビュー (エキサイト). (2016年2月4日) 2016年5月21日閲覧。
- ^ a b HKT48 2016a。
- ^ a b HKT48 2016c。
- ^ HKT48 2016d。
参考文献
編集- HKT48『74億分の1の君へ』(Type-A)Universal Music、2016年4月13日。ASIN B01CC85JJY。UPCH-80428。
- HKT48『74億分の1の君へ』(Type-B)Universal Music、2016年4月13日。ASIN B01CC85JEY。UPCH-80429。
- HKT48『74億分の1の君へ』(Type-C)Universal Music、2016年4月13日。ASIN B01CC85JNU。UPCH-80430。
- HKT48『74億分の1の君へ』(劇場盤)Universal Music、2016年4月13日。ASIN B01E4Y1T98。PRON-5009。
- 斉藤章佳『「小児性愛」という病 ―それは愛ではない』ブックマン社、2019年。
外部リンク
編集- 74億分の1の君へ - HKT48 OFFICIAL WEB SITE
- ユニバーサル・ミュージックによる紹介ページ
- ミュージック・ビデオ