6-ノネナール(6-Nonenal)は、化学式C2H5CH=CH(CH2)4CHOの有機化合物である。2-ノネナール等の他の異性体も天然に存在することが知られている。cis型の6-ノネナールは、マスクメロンの果実の香りの主成分であると言われる[1]trans型はミルクフォームオフフレーバーと言われる[2]

6-ノネナール

cis-6-ノネナール
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trans-6-ノネナール
識別情報
CAS登録番号 6728-35-4 チェック, 2277-20-5 (E) チェック, 2277-19-2 (Z) チェック
PubChem 167785283338 (E)5362720 (Z)
ChemSpider 15903
4446459 (E)
4515200 (Z)
特性
化学式 C9H16O
モル質量 140.22 g mol−1
外観 無色液体
密度 0.841 g/cm3
沸点

62 - 63 °C, 272 K, -19 °F (at 2 mmHg)

への溶解度 0.63 g/L
危険性
主な危険性 刺激性
引火点 113 °C (235 °F; 386 K)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

生合成

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6-ノネナールはリポキシゲナーゼ触媒作用により、γ-リノレン酸から生合成されると考えられている。リポキシゲナーゼアルケン基をヒドロペルオキシドに変換し、ヒドロペルオキシドはヒドロペルオキシドリアーゼにより切断され、対応するcis-アルデヒドになる[3]。このメカニズムのため、マスクメロンの香りは酸素に晒されることが必要である。熟したものの空気に触れていない果実は、cis-6-ノネナールは低濃度でのみ存在する。細胞が溶解し、空気に晒されると、6-ノネナールの濃度が急激に上昇することが知られている。

この上昇は、ヒドロペルオキシドが急速に生成するためである。trans,cis-2,6-ノナジエナールは、同様の経路で生成する関連の香りである。

研究室での合成

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この化合物の幾何異性体は、5-オクテン-1-オール臭素化の後、適切なグリニャール試薬で処理することで合成される。オルトギ酸トリエチルをこのグリニャール試薬で処理した後に加水分解すると、6-ノネナールを与える[4]

出典

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  1. ^ Hong, S.J.; Lee, S.K.; Oh, S.H. (2011). “Aroma Volatile Changes of Netted Muskmelon (Cucumis melo L.) Fruit during Developmental Stages”. J. Hort. Environ. Biotechnol. 52 (6): 590–595. doi:10.1007/s13580-011-0090-z. 
  2. ^ Allen, C.A.; Parks, O.W.; Schwartz, D.P.; Wong, N.P. (1969). “6-trans-Nonenal: an off-flavor component of foam spray-dried milks”. Journal of Dairy Science 52 (7): 953–956. doi:10.3168/jds.S0022-0302(69)86673-7. 
  3. ^ Harada, T.; Hatanaka, A.; Kajiwara, T. (1975). “Biosynthetic Pathway of Cucumber Alcohol: trans-2,cis-6-nonadienol via cis-3,cis-6-nonadienal”. Phytochemistry 14 (12): 2589–2592. Bibcode1975PChem..14.2589H. doi:10.1016/0031-9422(75)85230-7. 
  4. ^ Seifert, R.M. (1981). “Synthesis, Spectra, Odor Properties, and Structural Relationship of (Z)-6-Nonenal and (Z)-5-Octen-l-ol to Fruit Fly Attractants”. J. Agric. Food Chem. 29 (3): 647–649. doi:10.1021/jf00105a053.