2台のピアノのための協奏曲 (プーランク)
2台のピアノのための協奏曲 ニ短調 FP.61(仏: Concert en ré mineur pour 2 pianos et orchestre )は、フランシス・プーランクが作曲したピアノ協奏曲である。プーランクが様々な鍵盤楽器のために作曲した5曲の協奏曲のうち3作目にあたる。
音楽・音声外部リンク | |
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Poulenc Concerto for 2 Pianos&Orchestra - マルタ・アルゲリッチおよびTheodosia Ntokouの独奏P、リカルド・カストロ(Ricardo Castro)指揮Youth Orchestra of Bahiaによる演奏。当該P独奏者(Theodosia Ntokou)自身の公式YouTube。 | |
Francis Poulenc:Concerto for Two Pianos - Pianoduo Mephistoの2台P、Benjamin Haemhouts指揮Casco Phil (Chamber Orchestra of Belgium)による演奏。Pianoduo Mephisto公式YouTube。 |
概要
編集この曲は、エドモン・ド・ポリニャック公妃[1]の委嘱によって1932年に作曲された。プーランクの評伝を書いたアンリ・エルによると、「ストラヴィンスキーのエコーの幾つかが、冒頭のアレグロ楽章の力強いリズムに聴かれるだろう。同時に1931年の植民地博覧会で、作曲者が聴いたバリ島の音楽のエコーである。ラルゲットは、モーツァルトのアンダンテのスタイルに基づいているが、中間部は速いワルツのテンポによっていて、終楽章では作曲者自身の心から決して遠くない、熟考された精神的な主題の一つが戯れている。このいくらか技巧的な二重協奏曲は、愉快な気晴らし以上のことを狙っていない作品である」と述べていた。
この協奏曲はプーランクの多くの曲と同様、美しく魅力的な旋律に溢れていて、洒落た和声の取り扱いや調の自由さと、ニュアンスの豊かさにも決して不足せず、愉悦に満ちたエスプリが聴き手の心を捉えて離さなくしている。
1932年9月5日にヴェネツィア国際音楽祭において、作曲者自身とジャック・フェヴリエのピアノ、デジレ・デフォー指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団によって初演された。
楽器編成
編集- 独奏ピアノ2(蓋は除去する)
- フルート2(1はピッコロ持ち替え)
- オーボエ2(1はコーラングレ持ち替え)
- クラリネット2
- ファゴット2
- ホルン2
- トランペット2
- トロンボーン2
- テューバ1
- 打楽器(スネアドラム、響き線のない小太鼓(大小2種)、バスドラム、カスタネット、タンブリン、トライアングル)
- 第1ヴァイオリン8
- 第2ヴァイオリン8
- ヴィオラ4
- チェロ4
- コントラバス4
(弦楽器は数が指定されており、数を変更してはいけない。)
スコアには楽器配置が指定されており、中央の左に第1ピアノ、右に第2ピアノが向かい合う。その左側に第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンが平行して並び、右側前列がヴィオラとチェロ、後列がコントラバス、中央ピアノの後ろに管楽器が並び、その後ろに打楽器が並ぶことになっている。
楽曲の構成
編集全3楽章構成で、全体の演奏時間は約18分である。
- 第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ
ソナタ形式。かなり長い導入部を持っているが、リズムのきびきびした第1主題、リズミックな第2主題が提示され、トッカータ風の展開部を経て、2台のピアノが全く新しい旋律を出し、再現部に入って行く。
- 第2楽章 ラルゲット
変ロ長調。典型的な緩徐楽章で、個性的な旋律とファンタジー豊かな和声に溢れた音楽である。
- 第3楽章 フィナーレ、アレグロ・モルト
冒頭の鋭いニ短調の不協和音で始まるが、ニ長調に戻ってピアノがトッカータ風に飛び跳ねて、変ロ短調の第1主題がピアノで示される。また、1927年に10人で合作した子供のためのバレエ音楽「ジャンヌの扇」の中で、プーランクが書いた「田園詩曲」の終末の旋律が顔を出す。
脚注
編集- ^ この後に作曲された『オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲 ト短調』(1938年)も彼女の委嘱による。