1,3,5-トリオキサン (1,3,5-trioxane) は有機化合物の一種で、炭素と酸素が3個ずつ環状に並んだ構造を持つアセタールである。別名としてメタホルムアルデヒド (metaformaldehyde) とも呼ばれる通り、3分子のホルムアルデヒドが酸の作用により結合してできる化合物である。分子式は C3H6O3クロロホルムのような臭いを持つ。

1,3,5-トリオキサン
Trioxane molecule
識別情報
CAS登録番号 110-88-3 チェック
PubChem 8081
ChemSpider 7790 チェック
UNII 46BNU65YNY チェック
EC番号 203-812-5
国連/北米番号 1325
ChEBI
ChEMBL CHEMBL1495792
RTECS番号 YK0350000
バイルシュタイン 102769
Gmelin参照 2230
特性
化学式 C3H6O3
モル質量 90.08 g mol−1
外観 白色の結晶性固体
密度 1.17 g/cm3 (65 °C)[1]
融点

62 °C, 335 K, 144 °F [1]

沸点

115 °C, 388 K, 239 °F [1]

への溶解度 221 g/L[1]
危険性
GHSピクトグラム 可燃性急性毒性(低毒性)経口・吸飲による有害性
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H228, H335, H361d
Pフレーズ P201, P202, P210, P240, P241, P261, P271, P280, P281, P304+340, P308+313, P312, P370+378, P403+233
NFPA 704
2
2
0
引火点 45[1] °C (113 °F; 318 K)
関連する物質
関連物質
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

パラホルムアルデヒド (paraformaldehyde) と呼ばれることもあるが、この呼称は本来ポリマー(ポリオキシメチレン、POM、[−CH2O−]nポリアセタールの一種)を指すもので、パラアルデヒドアセトアルデヒドの3量体、C6H12O3)との混同による誤用である[2]

性質と用途

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酸による 1,3,5-トリオキサンの生成は可逆反応であるため、酸性水溶液中では分解してホルムアルデヒドに戻る。ここからさらに重合させ、ポリオキシメチレンとされることもある。

 

有機合成においてホルムアルデヒドが必要な場合、それは気体であるため取り扱いが難しい。また、市販品の多くは水溶液(ホルマリン)であり、水を嫌う反応に用いることはできない。1,3,5-トリオキサンは安定で扱いやすく、無水のホルムアルデヒド等価体として利用できる。例えば、有機リチウム化合物と反応してリチウムアルコキシドを与える。

 

“トリオキサン”の名称で野外で使う固形燃料として用いられる他、ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン)と合わせて棒状に固めたものとしても固形燃料として用いられ、特に“エスビット”の製品名で製造・販売されているものが著名である。

参考文献

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  1. ^ a b c d e Record 労働安全衛生研究所(IFA)英語版発行のGESTIS物質データベース
  2. ^ Merck Index 12th ed., 7158.