阿部 (企業)
概要
編集1896年に阿部平助と光之助によって「阿部合名会社」として設立。阿部平助は1894年に今治で最初のタオルづくりを始めた人物である[1]。綿布織機を設備すると同時に打出式タオル織機30台を据えつけ、綿ネルとタオルの兼営工場を建設した[2]。
しかし、タオルは製造技術が大阪に比べて劣り、生産コストもかさんで利潤は少なかったので、好調であった綿ネルに主力を注ぐこととなり、1916年にはタオル製織を一時中止した[2]。第二次世界大戦中は軍服用の綿織物を生産し、戦後は東南アジアを中心に広幅綿織物の輸出を拡大した[3]。1960年には綿織物用の織機を改造してタオルの製造を再開[4]。
1960年代末になると、市内の騒音問題や公害問題に直面し、1970年に東予市三芳に15,000坪の土地に織物工場13,500坪とタオル工場1,500坪を併設した 大工場を建設した[4]。しかし、繊維不況で主力の綿織物の輸出が低迷し経営が悪化。
1980年に和議を申請し、旭染織に織物工場、旭染織が設立したトウヨテリーにタオル部門の80名の従業員と三芳工場を譲渡した[5]。1983年には今治造船傘下の今治産業に43億円の債務と土地建物の資産を譲渡[5]。阿部(株)の染晒工場があったところには、今治造船傘下の今治国際ホテルが立地している[3]。
沿革
編集- 1890年 - 阿部平助が紀州綿ネルの製造開始。
- 1894年 - 阿部平助が4台の織機でタオル製造開始。
- 1896年 - 「阿部合名会社」設立。
- 1913年 - 「阿部株式会社」に改組。
- 1916年 - 広幅綿織物と綿ネルの製造に特化しタオルの製造を中止。
- 1960年 - 綿織物用の織機をタオル用に改造してタオルの製造を再開し、 手捺染によるプリントタオルの製造開始。
- 1972年 - 三芳工場の操業開始。
- 1980年 - 和議申請。旭染織(株)が設立したトウヨテリー(株)にタオル部門、旭染織に残りの織物工場を譲渡。
- 1983年 - 今治造船(株)傘下の今治産業(株)に43億円の債務と土地建物の資産を譲渡。
脚注
編集- ^ 今治タオルプロジェクト人材育成委員会(2013)『タオル読本』、10頁。
- ^ a b 四国経済連合会「4.今治タオルの創業者 阿部平助」『四経連』、2007年6月号、6頁。
- ^ a b 今治市立図書館(2014)『タオルびと』、2014年10月号(中谷稔氏編③)、4頁。
- ^ a b 今治市立図書館(2014)『タオルびと』、2014年10月号(中谷稔氏編③)、5頁。
- ^ a b 今治市立図書館(2014)『タオルびと』、2014年11月号(中谷稔氏編④)、1頁。
- ^ タオル製品製造、靴下販売(愛媛)/トウヨテリー(株) - ネットアイビーニュース(2008年5月29日)、2021年5月5日閲覧。