長良川鉄道ナガラ2形気動車
長良川鉄道ナガラ2形気動車 (ながらがわてつどうナガラ2がたきどうしゃ)は、1994年(平成6年)に1両[8]が製造された長良川鉄道の気動車である[9]。ナガラ200形と表記されることもある[10]。
長良川鉄道ナガラ2形気動車 | |
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ナガラ201(2009年8月) | |
基本情報 | |
運用者 | 長良川鉄道 |
製造所 | 富士重工業[1] |
製造初年 | 1995年[1] |
製造数 | 1両[2] |
運用開始 | 1995年1月1日[3] |
運用終了 | 2019年 |
主要諸元 | |
編成 | 両運転台付単行車 |
軌間 | 1,067 mm |
車両定員 |
103名 (座席44名)[4] |
自重 | 26.7 t [4] |
全長 | 16,500[4] mm |
車体長 | 16,000 mm |
全幅 | 3,090[4] mm |
車体幅 | 2,700 mm |
全高 | 4,025[4] mm |
車体高 | 3,700 mm |
車体 | 普通鋼[7] |
台車 |
枕ばね:上枕空気ばね 軸箱支持:軸ばね式 FU34DD/DT[5][4] |
車輪径 | 762 mm[6] |
固定軸距 | 1,800 mm[6] |
台車中心間距離 | 11,000 mm |
機関 | 日産ディーゼル製PE6HT03Aディーゼルエンジン[4][6] |
機関出力 | 184 kW (250 PS) / 1,900 rpm[4][6] |
変速機 | 液体式(SCAR0.91B)[4][6] |
変速段 | 変速1速、直結2速[7] |
制動装置 | SME[4] |
概要
編集1986年(昭和61年)12月に国鉄越美南線を第三セクター鉄道に転換して開業した長良川鉄道では、配置12両、使用11両の体制で運用を続けてきたが、開業後約10年を経て、車両の老朽化による保守時間の増大、踏切が多い路線形態による踏切事故による休車などが発生し、予備車1両では運用に支障をきたすおそれがあり、予備車確保のため1994年(平成6年)12月に前面貫通、両運転台、トイレなし、セミクロスシートのナガラ2形1両が富士重工業で製造された[7]。
構造
編集車体
編集開業時から使用されていたナガラ1形は、富士重工業製のレールバスLE-Car IIをベースとしていた[11]。LE-Car IIでは製造コスト低減のためバス用の部品を多用していた[12]が、モノコック構造のバスが製造されなくなったことから、鉄道車両の構造をもつLE-DCと呼ばれるやや大型の車両に移行しており、ナガラ2形もLE-DCの派生形と位置付けられる[13]。
車体長は16,000 mm、乗務員室は左隅で、乗務員室がある部分のみ乗務員扉が設けられた[7]。客用扉の引き戸が片側2か所、両車端に設けられた[7]。扉間に上段固定、下段上昇の窓6組が設置された[7]が、北濃向きを向いて右側面の北濃方運転台寄りの1枚は窓幅が狭い。車体外部は沿線市町村の一般公募で選ばれた長良川の四季をテーマにしたものになった[3]。
車内はセミクロスシート[3]でトイレは設置されなかった。北濃方を向いて右側は2人掛け、左側は4人掛けで各3組が設けられ、車椅子スペースも設置された[3]。
走行装置
編集エンジンは日産ディーゼル製PE6HT03Aディーゼルエンジン(定格出力184 kW / 1,900 rpm)を1基搭載、動力はSCAR0.91B液体変速機を介して台車に伝達される[6]。1速から2速へは自動で変速される[14]。
抑速用として機関ブレーキと排気ブレーキを備える[15]。前位側台車は2軸駆動の動台車FU34DD、後位側は付随台車FU34DT[4]で、いずれも枕ばねが上枕式の空気ばね、軸箱支持は軸ばね式である[5]。制動装置はSME三管式直通ブレーキが採用された[4]。
空調装置
編集暖房装置はエンジン排熱を利用した温風式である[7]。能力27.6 kW(24,000 kcal/h)のIBCU-50が1基搭載された[15]。
車歴
編集形式 | 車両番号 | 製造 | 廃車 |
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ナガラ2 | 201 | 1994年12月[1] | 2019年 |
運用
編集長良川鉄道開業後約10年を経て、車両の老朽化による保守時間の増大・踏切が多い路線形態による踏切事故による休車などが発生し、予備車1両では運用に支障をきたすおそれがあることから、ナガラ2形1両が製造された[7]。
1995年(平成7年)1月1日から運用を開始し、長良川鉄道で初めてのセミクロスシート車であることからイベント列車に優先的に使用された[3]。
出典
編集- ^ a b c 『新車年鑑1995年版』p187
- ^ 『私鉄気動車30年』p169
- ^ a b c d e 『鉄道ジャーナル』通巻342号p96
- ^ a b c d e f g h i j k l 『新車年鑑1995年版』p182
- ^ a b 『鉄道ピクトリアル』通巻515号p15
- ^ a b c d e f 『鉄道ピクトリアル』通巻658号p52
- ^ a b c d e f g h 『新車年鑑1995年版』p124
- ^ 『新車年鑑1995年版』p94
- ^ 『レイルマガジン』通巻250号p29
- ^ 『車両のご紹介』
- ^ 『新車年鑑1987年版』p16
- ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻658号p43
- ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻658号p30
- ^ 『私鉄気動車30年』p102
- ^ a b 『レイルマガジン』通巻230号付録p17
- ^ 社員Twitter:2019年10月26日のつぶやき
参考文献
編集書籍
編集- 寺田 祐一『私鉄気動車30年』JTBパブリッシング、2006年。ISBN 4-533-06532-5。
雑誌記事
編集- 『鉄道ピクトリアル』通巻515号「<特集> 台車」(1989年8月・電気車研究会)
- 吉川文夫「日本の鉄道車両 台車の歴史過程」 pp. 10-15
- 『鉄道ジャーナル』通巻342号(1995年4月・鉄道ジャーナル社)
- 徳田 耕一「長良川鉄道に新型軽快気動車 – ナガラ2形が登場」 pp. 96
- 『鉄道ピクトリアル』通巻612号「新車年鑑1995年版」(1995年10月・電気車研究会)
- 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 86-101
- 長良川鉄道(株)検修区長 坂井 忠義「長良川鉄道 ナガラ2形」 pp. 124
- 「民鉄車両諸元表」 pp. 182-184
- 「1994年度車両動向」 pp. 184-196
- 『鉄道ピクトリアル』通巻658号「<特集> レールバス」(1998年9月・電気車研究会)
- 「第三セクター・私鉄向け 軽快気動車の発達 富士重工業」 pp. 28-31
- 高嶋修一「第三セクター・私鉄向け軽快気動車の系譜」 pp. 42-55
- 『レイルマガジン』通巻230号付録(2002年11月・ネコ・パブリッシング)
- 岡田誠一「民鉄・第三セクター鉄道 現有気動車ガイドブック2002」 pp. 1-32
- 『レイルマガジン』通巻250号(2004年7月・ネコ・パブリッシング)
- 寺田 祐一「私鉄・三セク気動車 141形式・585輌の今!」 pp. 4-50
Web資料
編集- “車両のご紹介”. 長良川鉄道. 2017年10月15日閲覧。