鋼鉄の騎士 (小説)
『鋼鉄の騎士』(こうてつのきし)は、藤田宜永による小説。1994年に新潮社のレーベルである"新潮ミステリー倶楽部"の収録作として書き下ろし長編で刊行された。1995年、第48回日本推理作家協会賞受賞(長編部門)[1]、同年『このミステリーがすごい! '96年版』第2位[2]。
鋼鉄の騎士 | |
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作者 | 藤田宜永 |
国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
ジャンル | 冒険小説 |
発表形態 | 書き下ろし |
刊本情報 | |
刊行 | 四六上製本 |
出版元 | 新潮社 |
出版年月日 | 1994年11月 |
受賞 | |
1995年 第48回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞 | |
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大作がいくつも発表された当時としても、単行本で上下2段組み800ページ超は偉容であった、あとがきによると作中で行われるグランプリ レースは、実際に行われたレースと年月日と場所を合わせてあるという[3]。続編である『廃墟の騎士』は雑誌連載が中断したまま、作者の死去により未完となった[4]。
あらすじ
編集1930年代後半のパリが主な舞台である。日本での左翼運動に挫折した千代延義正は、陸軍軍人である父親のフランス赴任により家族と渡仏する。無気力な日々を送る義正であったが、父親の友人とトリポリでのグランプリレースを観戦してから、止まっていた歯車が動き出す。カーレーサーを目指して駆ける若者の情熱と、第二次世界大戦前夜の緊張感が漲るヨーロッパでの諜報戦が交錯する。1938年4月に南仏ポーで行われる決勝レース当日までの、足かけ4年の軌跡を描いた大河小説である。
主な登場人物
編集- 千代延義正 千代延子爵家の次男
- 千代延義親 義正の兄
- 千代延宗平 義親・義正兄弟の父 帝国陸軍フランス駐在武官
- 千代延寿子 宗平の妻 義親・義正兄弟の母
- 北島恭子 千代延家の女中
- 有馬正二 有馬家の次男 左翼運動時代の義正の先輩
- 有馬小百合 正二の腹違いの妹
- 須崎進太郎 ホテル"ネアン"の経営者
- ゲーリー水島 アメリカ在住の骨董商
- 高石三郎 パリ在住の遊民
- シャルル・ド・トゥルニエ伯爵 千代延宗平の友人
- アルド・ベルニーニ イタリア人レーサー
- ギィ・ディアメル フリージャーナリスト
- ジェルメール・ブルグラン 帝国陸軍武官室秘書
- セルジュ・ゴテック 自動車修理工場の経営者
- ジャン・ルイ・ゴテック その息子 父親の工場で働く
- マルセル・カシニョール ERAを操る初老のドライバー
- クラウス・シュミット ドイツ人レーサー
- エリカ・グッドマン ユダヤ係科学者
- 弓王子 パリの盗賊団の首魁
- ドンジョン 弓王子の情婦
- ニコライ・ブルガーコフ ツァーリ軍人会会長
- フィヨドール・プーシキン ツァーリ軍人会書記
作中に登場する主なレースカー
編集書籍
編集未完の続編
編集- 『廃墟の騎士』2004年8月~2007年3月「小説新潮」連載 新潮社