野尻 あずさ(のじり あずさ、1982年6月6日 - )は、日本の元陸上競技選手。専門は長距離走マラソン富山県富山市(旧上新川郡大山町)出身[4]クロスカントリースキー選手としてユニバーシアード2大会に出場後、マラソンに転向した異色の選手[3][6]

野尻 あずさ Portal:陸上競技
選手情報
フルネーム 磯野あずさ[1]
(旧姓・野尻あずさ)[2]
国籍 日本の旗 日本
種目 長距離走マラソン
所属 にこあーずランニングファミリー(代表)[2][3]
生年月日 (1982-06-06) 1982年6月6日(42歳)
生誕地 富山県上新川郡大山町[4]
身長 155cm[5]
体重 43kg[5]
自己ベスト マラソン:2時間24分57秒(2012年[5]
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2019年11月22日に、ブラインドマラソンの伴走家磯野茂と結婚し、戸籍名を磯野 あずさ(いその あずさ)に改姓した[1]。現在は、自身が代表を務めるランニングクラブ「にこあーずランニングファミリー」で指導者として活動している[2][3]

人物・経歴

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大山町立上滝中学校(現・富山市立上滝中学校[6]富山県立雄山高等学校を経て、日本大学卒業。上滝中学校在学時からスキーと陸上を始め[6]、日本大学在学中にクロスカントリースキーで2003年冬季ユニバーシアードに出場、5kmクラシカル28位、個人スプリント45位、15kmフリー22位[7]。2年後の2005年冬季ユニバーシアードでは15kmクラシカルと5kmフリーに出場し、それぞれ21位と35位になった[8]。また同年2月の国民体育大会成年女子A組で優勝した。しかし、トリノオリンピック代表を逃したため、25歳でマラソンに転向しオリンピックを目指す[6][9]

2008年8月、山下佐知子率いる第一生命に入社、同女子陸上部に所属[6]。転向後初レースとして函館ハーフマラソンを1時間14分12秒で優勝。 翌年は全日本実業団ハーフマラソンを1時間10分53秒で10位、札幌国際ハーフマラソンで8位[10][11]全日本実業団対抗女子駅伝競走大会にも出場し、3位に貢献[12]

初のフルマラソンは2010年大阪国際女子マラソン。2時間29分12秒で8位[13]。札幌国際ハーフマラソンでは2位[14]世界ハーフマラソン選手権大会は13位ながら尾崎好美木崎良子とともに日本チームで銅メダルを獲得[15]。全日本実業団女子駅伝では5区を走り2位[16]

2011年は世界陸上選手権選考を兼ねた名古屋国際女子マラソンにエントリーしていたが、東日本大震災のため中止。その代替として選ばれたロンドンマラソンにエントリー[17]。当時の自己記録を更新する2時間25分29秒の第12位、日本人2着(日本人1着は既に内定済だった赤羽有紀子の6位)でゴールした[18][19]。この結果を受け、世界選手権出場が決まった[20]。世界選手権本大会は19位[6][21]という結果に終わった。

この年より仙台に移された全日本実業団女子駅伝では5区を走り第一生命の優勝に貢献[22]

2012年、大阪国際女子マラソンでは自己ベスト記録となる2時間24分57秒を叩き出すが[5]、優勝した重友梨佐に1分34秒遅れの2位[23]に甘んじ、ロンドンオリンピック・女子マラソン日本代表の出場権を逃す[24]。2012年3月限りで、所属の第一生命を退社した[6][25]

2013年、東京マラソンに出場し、2時間31分15秒で9位。横浜国際女子マラソンでは2時間28分47秒で準優勝[9][26]

2014年8月に行われた北海道マラソン・女子の部において、2時間30分台のゴールタイムでフルマラソン初優勝を果たした[27]

2015年11月開催の第1回富山マラソンでは、記録は2時間46分台に留まるも同大会女子の部で初代王者に輝き、通算2回目のマラソン優勝を達成した[28]

2017年10月開催の第3回富山マラソン(女子の部)では、大雨が降り続く悪天候の中自身の持つ大会記録を8分近く更新する、2時間38分台のゴールタイムで、当大会では2年ぶり2度目(自身通算3回目)のマラソン優勝を成し遂げた[29]

2019年12月8日に行われたさいたま国際マラソンを最後に現役を引退[6]。同年11月22日に結婚した夫の磯野茂とともにフルマラソンを完走した[1]

主な戦績

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大会名 開催国 距離/区間 戦績 記録
2010年 大阪国際女子マラソン   日本 マラソン 8位 2時間29分12秒
2011年 ロンドンマラソン   イギリス マラソン 12位 2時間25分29秒
世界陸上選手権大邱大会   韓国 マラソン 19位[6] 2時間33分42秒[21]
2012年 大阪国際女子マラソン   日本 マラソン 2位[23] 2時間24分57秒[5]
2013年 東京マラソン   日本 マラソン 9位 2時間31分15秒
横浜国際女子マラソン   日本 マラソン 2位 2時間28分47秒[26]
2014年 北海道マラソン   日本 マラソン 優勝 2時間30分26秒[30]
2015年 富山マラソン   日本 マラソン 優勝 2時間46分39秒[28]
2016年 富山マラソン   日本 マラソン 79位 3時間40分25秒
2017年 富山マラソン   日本 マラソン 優勝 2時間38分46秒[29]
2017年 大阪マラソン   日本 マラソン 4位 2時間36分53秒
2018年 大阪国際女子マラソン   日本 マラソン 22位 2時間42分16秒
2019年 さいたま国際マラソン   日本 マラソン 12位 2時間53分37秒[6]

自己ベスト

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脚注

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  1. ^ a b c “野尻あずさラストラン「磯野あずさ」で第2の人生”. 日刊スポーツ. (2019年12月8日). https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201912080000341.html 2020年2月2日閲覧。 
  2. ^ a b c “常願寺川マラソンリニューアル、磯野さん(旧姓野尻)引き継ぐ 3月29日号砲”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北日本新聞). (2020年2月2日). https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000023041 2020年2月2日閲覧。 
  3. ^ a b c “国際的ランナーが「ブラインド伴走」に参戦 その魅力とは?”. Yahoo!ニュース個人(若林朋子). (2019年5月25日). https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/6f11c2bc5674a678e3b43f264888e28909507325 2020年2月2日閲覧。 
  4. ^ a b 小林淳子ブログ 野尻あずささんと立山”. 北日本放送 (2019年4月16日). 2020年2月2日閲覧。
  5. ^ a b c d e “【大阪国際女子マラソン・注目選手(2)】野尻あずさ…孤高のランナー、五輪へのこだわり”. 産経WEST. (2015年1月20日). https://www.sankei.com/west/news/150120/wst1501200040-n1.html 2020年2月2日閲覧。 
  6. ^ a b c d e f g h i j “11年大邱世陸代表の野尻あずさが引退レース「これからは伴走家」 ノルディックスキーからマラソン転向の異色ランナー”. スポーツ報知. (2019年12月8日). https://hochi.news/articles/20191208-OHT1T50153.html 2020年2月2日閲覧。 
  7. ^ FIS公式
  8. ^ Resultsbook: Cross Country Skiing 2005年冬季ユニバーシアード 2013年11月30日閲覧
  9. ^ a b Fourth Japanese Marathon victory for Mayorova in Yokohama 国際陸上競技連盟 2013年11月29日閲覧
  10. ^ Azusa Nojiri Tilastopaja. 2013年11月30日閲覧
  11. ^ Ngatuny and Nakamura take Sapporo Half Marathon titles 国際陸上競技連盟 2013年11月30日閲覧
  12. ^ Nakamura, Ken (2009-12-13). Team Mitsui-Sumitomo wins seventh title in Gifu 国際陸上競技連盟 2013年11月30日閲覧
  13. ^ With late race charge Gobena triumphs in Osaka 国際陸上競技連盟 2013年11月30日閲覧
  14. ^ Njui and Kano take Sapporo Half Marathon titles 国際陸上競技連盟 2013年11月30日閲覧
  15. ^ Results Half Marathon - Women 国際陸上競技連盟 2010年10月23日閲覧
  16. ^ Tenmaya team wins Japanese Corp Women's Ekiden Champs 国際陸上競技連盟 2013年11月30日閲覧
  17. ^ Japanese women added to London Marathon field 国際陸上競技連盟 2013年11月30日閲覧
  18. ^ Best Time For Place- Marathon Association of Road Racing Statisticians. 2013年11月30日閲覧
  19. ^ Virgin London Marathon Results 2011 ロンドンマラソン 2013年11月30日閲覧
  20. ^ Japanese World Championships Marathon squad selected – Daegu 2011 国際陸上競技連盟 2013年11月30日閲覧
  21. ^ a b “キプラガト金!ケニア勢、史上初のメダル独占!”. スポーツニッポン. (2011年8月28日). https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2011/08/28/kiji/K20110828001500320.html 2020年2月2日閲覧。 
  22. ^ Recovering from earthquake and tsunami, Sendai stages Ekiden Championships 国際陸上競技連盟 2013年11月30日閲覧
  23. ^ a b 当初は3着でゴールした野尻だったが、同レース後に当初2着だったタチアナ・ガメラ  ウクライナ)がドーピング違反により、野尻は2位に繰り上がった。
  24. ^ Shigetomo takes Osaka as favourite Fukushi falters 国際陸上競技連盟 2013年11月30日閲覧
  25. ^ Marathoner Nojiri Leaves National Champion Team Daiichi Seimei Japan Running News. 2013年11月30日閲覧
  26. ^ a b “マヨロワが優勝、野尻は2位 横浜国際女子マラソン”. AFPBB News. (2013年11月18日). https://www.afpbb.com/articles/-/3003445 2020年2月2日閲覧。 
  27. ^ “男子は辻茂樹、女子は野尻あずさが初優勝 北海道マラソン”. 北海道新聞. (2014年8月31日). http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sports/560059.html 2014年8月31日閲覧。 [リンク切れ]
  28. ^ a b “男子は藤原(ミキハウス)、女子は野尻(ヒラツカ・リース)が優勝 富山マラソン”. 北日本新聞. (2015年11月2日). https://webun.jp/item/7226618 2020年2月2日閲覧。 
  29. ^ a b “男子は藤原新、女子は野尻あずさV 富山マラソン”. 北日本新聞. (2017年10月30日). https://webun.jp/item/7411569 2020年2月2日閲覧。 
  30. ^ 大会の歴史(第26回~第30回) - 北海道マラソン公式サイト

外部リンク

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