醜いアメリカ人』(みにくいアメリカじん、英語: The Ugly American)は1958年に出版されたアメリカ合衆国政治小説である。架空国家「サルカン」を中心とした東南アジアを舞台に、アメリカの外交政策の失敗を描いている。

醜いアメリカ人
The Ugly American
作者

ウィリアム・J・レデラー

ユージン・バーディック
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
ジャンル 政治小説
刊本情報
出版元 WW Norton & Company
出版年月日 1958年
作品ページ数 285
日本語訳
訳者 細貝宰市(1960年)
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この小説はアメリカの外交に大きな衝撃を与え、ジョン・F・ケネディによる平和部隊はこの本の影響で設立された。今なおアメリカではベストセラーとして読まれ続けており、アメリカの外交政策に多大な影響を与えている[1]

背景

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著者のウィリアム・レデラー、ユージン・バーディックは共に第二次世界大戦で従軍経験があり、この小説は実際の従軍経験に基づき執筆された。

1958年、冷戦が本格化し、米ソによる第三世界代理戦争が激化する中、アメリカは多大な資金と労力を投入しているにもかかわらず、成果を上げられずにいた。同著は原因を上から目線で独善的なアメリカの外交政策だとする。

1958年に出版された後、たちまちベストセラーとなり、最終的に400万部を売り上げた。大統領のジョン・F・ケネディは米国上院議員の同僚全員にこの本のコピーを送っている。

この本の人気により、「醜いアメリカ人」は傲慢で、独善的で、無配慮、民族中心的なアメリカ人を指す英語となった。

あらすじ

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この物語は、事実に基づいたフィクションとして、前後に繋がりのある全二十二話の短編小説集として描かれている[2]

題名の醜いアメリカ人は、主人公のホーマー・アトキンスを指している。彼は他文化を理解し、現地の人と共に、自ら汚しながら働くことのできる「醜い」アメリカ人だった。

第一話 ラッキー旦那

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第二話 続・ラッキー旦那

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第三話 九人の友人たち

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第四話 ジョー・ビングは人気者

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第五話 大使の便り

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第六話 海外就職の好機

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第六話  海外就職の好機

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第七話 応募した若い女性

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第八話 大使と新聞

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第九話 壁に耳あり

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第十話 ラグタイム・キッド

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第十一話 戦いの鉄則

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第十二話 戦争の教訓

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第十三話 もしも大統領だったら

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第十四話 下級官吏対処法

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第十五話 サバンナ生まれの六尺男

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第十六話 ボーニング米国海軍大佐

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第十七話 醜いアメリカ人

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第十八話 醜いアメリカ人と醜いサルカン人

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第十九話 チャン・ドンの腰曲がり

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第二十話 上院議員閣下

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第二十一話 総決算

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第二十二話 事実に基づいたエピローグ

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映画

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この小説は、1963年に主演マーロン・ブランドで映画化された。同年には日本でも「侵略」というタイトルで公開されている。

脚注

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  1. ^ Hellmann, John (1983-07). “Vietnam as Symbolic Landscape: The Ugly American and the New Frontier” (英語). Peace & Change 9 (2-3): 40–54. doi:10.1111/j.1468-0130.1983.tb00494.x. ISSN 0149-0508. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1468-0130.1983.tb00494.x. 
  2. ^ 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2024年4月8日閲覧。