道銀ビルディング(どうぎんビルディング)は、かつて北海道札幌市中央区に所在した建築物である。大通公園札幌駅前通の交わる南西角に位置し、2024年4月まで北海道銀行が本店を置いていた。

道銀ビルディング
道銀ビルディング、2010年撮影。右奥の赤レンガの建物は、一体で建て替えられる新大通ビル。
情報
用途 銀行、オフィス
設計者 山下壽郎設計事務所
田上建築制作事務所[1]
施工 竹中工務店
建築主 北海道銀行
管理運営 平和不動産
構造形式 鉄骨鉄筋コンクリート構造[1]
延床面積 28,793.47 m² [1]
状態 解体予定
階数 地下3階、地上12階、塔屋3階[2]
エレベーター数 乗用5基、業務用1基[1]
駐車台数 60台[1]
竣工 1964年8月[1]
解体 2024年秋
所在地 北海道札幌市中央区大通西4丁目1番
座標 北緯43度3分35.3秒 東経141度21分6.2秒 / 北緯43.059806度 東経141.351722度 / 43.059806; 141.351722 (道銀ビルディング)座標: 北緯43度3分35.3秒 東経141度21分6.2秒 / 北緯43.059806度 東経141.351722度 / 43.059806; 141.351722 (道銀ビルディング)
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歴史

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1951年3月に営業を開始した北海道銀行[注釈 1]は、札幌駅周辺に移転予定であった鉄道弘済会の建物(札幌市南2条西2丁目)を譲り受け、本店店舗とした[3]。だが、業務の進展とともに手狭となり、隣接建物を買収または賃借するなどして急場をしのいでいたため、本店新築を望む声が次第に高まっていった[4]。創業当初から候補地の選定が進められ、将来の移転が決まっていた日本銀行札幌支店の跡地(札幌市大通西4丁目)取得について、1951年11月には日銀の内意を得、その後順次隣接地の買収を進めた[4]

1959年4月に発足した本店建築委員会では、建設地が札幌市の中心地に位置することから高層ビルとする方針を固めた[4]。当時は建築基準法の軒高制限が31m以内とされていたが、札幌市建築部との間で協議を重ねた結果、通行スペース確保などの条件が付されたものの、最終的には地上12階40m(塔屋含め50m)と当時東北以北で最も高いビルが実現することになった[4]

1964年8月に竣工した本店社屋は区分所有による共同ビルとし[4]、「道銀ビルディング」(以下、道銀ビル)と命名された[4]。営業室は三方ガラス張りとし、営業室内の後方壁面には[4]、北海道出身の彫刻家本郷新山内壮夫佐藤忠良の3氏合作による、幅41メートル、高さ3.3メートルのレリーフ『大地』が飾られた[5]。通行料の多い北側および東側の歩道には当時としては珍しいロードヒーティングを敷設したほか、道内で初めて地下水による冷房装置を採用するなど多くの工夫が施された[4]1979年には、西側隣接地に新大通ビルディングが完成。札幌銀行[注釈 2]本店のほか、道銀のローンプラザ・保険プラザが入居した[6]。両ビルの間は、屋上の渡り廊下で結ばれている[7]

売却

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2002年9月、道銀は不良債権処理の一環で平和不動産所有権を売却した[8]。ビルの底地と地下3階から6階までが道銀の区分所有、7階から上は竹中工務店の子会社タックプロパティが区分所有していたが、タックプロパティと協議の上で、一緒に売ることになった[9]。以後、道銀はテナントとして入居した[10]2008年には平和不動産がモルガン・スタンレー系の特定目的会社から新大通ビルの持ち分を取得している[11]

2018年10月からは、公益財団法人道銀文化財団が主催し、窓口業務終了後の営業部ロビーにて定期的にコンサートが開かれていた[12]

再開発

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大通公園札幌駅前通の交わる、札幌の中心地に位置する。北東角の旧北海道拓殖銀行本店跡には2010年北洋大通センターが竣工、2013年には北西角の札幌秋銀ビルが札幌大通西4ビルに建て替えられ、2015年には南東角の明治安田生命札幌大通ビルの建て替えが完了した。4隅のうち3棟が2010年代に建て替えられた。

南西角にあたる道銀ビルの再開発については、2006頃より関係者間で検討が重ねられ、翌年には「大通交流拠点まちづくりガイドライン」の策定および「大通交流拠点地区地区計画」が決定した[13]。これを受け、2022年12月に都市計画決定告示[14]。新たなビルは道銀ビルと新大通ビルの敷地に一体で建設され、高さ185m、地上34階・地下3階で、低層部には商業施設、中層部はオフィス、高層階にはハイグレードホテルが入居する予定である。地下では札幌市営地下鉄大通駅と接続し、さらにその下の階には地域熱供給プラントが整備される。完成は2028年度を見込んでいる[13]。建物のデザイン監修には隈研吾が招聘された[14]

道銀ビルの建て替えに先立ち、およそ300m東側の、ほくほくフィナンシャルグループ傘下の北陸銀行札幌支店の跡地に建設された「ほくほく札幌ビル」が2024年2月に竣工[15]。3月に、道銀ローンプラザ大通・どうぎん保険プラザ大通が新大通ビルから再開発対象外の道銀ビル別館に移転。本店法人営業部は、4月12日金曜日に道銀ビルでの営業を終了し、同15日月曜日からほくほく札幌ビルで営業を再開した。本店営業部・中央支店は、4月19日金曜日に道銀ビルでの営業を終了、同22日よりほくほく札幌ビルから南に下った中央区南二条西2丁目14番地の札専会館ビルで営業を開始した[6]。道銀ビルは2024年秋より解体されるが[16]、レリーフ『大地』の移設先は決まっておらず、道銀の施設で保管されている[5]

脚注

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注釈

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  1. ^ 以下、道銀と記す。第二次世界大戦以前の、旧北海道銀行とは別法人。
  2. ^ 2008年に北洋銀行と経営統合。

出典

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  1. ^ a b c d e f 道銀ビルディング ビル賃貸物件”. 平和不動産. 2024年7月13日閲覧。
  2. ^ 道銀ビルディング 空室概況” (pdf). 平和不動産. 2024年7月13日閲覧。
  3. ^ 北海道銀行六十年史 2011, p. 9.
  4. ^ a b c d e f g h 北海道銀行六十年史 2011, p. 22.
  5. ^ a b “道銀ビルの大型レリーフどこに 建て替えに伴い分割、一時保管 新たな展示先は未定”. 北海道新聞. (2024年3月5日). オリジナルの2024年3月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240308041713/https://www.hokkaido-np.co.jp/article/983538/ 2024年7月13日閲覧。 
  6. ^ a b "「本店営業部・中央支店」「本店法人営業部」「道銀ローンプラザ大通」「どうぎん保険プラザ大通」「本部機能」の移転について" (pdf) (Press release). 北海道銀行. 29 November 2023. 2024年7月13日閲覧
  7. ^ “まるで天空の渡り廊下! 大通公園から南のビルを見上げると…<なんだこれ?珍札景2>”. 北海道新聞. (2023年4月25日). https://www.hokkaido-np.co.jp/article/836507/ 2024年7月14日閲覧。 ( 要購読契約)
  8. ^ “札幌・大通で大型再開発、道銀ビル30年建て替えへ”. 日本経済新聞. (2020年9月10日). オリジナルの2024年6月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240615210942/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63675600Q0A910C2L41000/ 2024年7月13日閲覧。 
  9. ^ “道銀・堰八義博特別顧問が語る「さようなら道銀ビル」”. リアルエコノミー. (2024年5月23日). https://hre-net.com/keizai/kinyu/74893/ 2024年10月12日閲覧。 
  10. ^ 北海道銀行六十年史 2011, p. 190.
  11. ^ “平和不動産 札幌市・大通り角地のオフィスモルスタのSPCより一部取得 札幌エリアにおける賃貸事業拡大はかる”. 週刊ビル経営. (2008年6月2日). https://www.biru-mall.com/attention/2008060201_02/ 2024年7月13日閲覧。 
  12. ^ 巨大レリーフが見守る最後の道銀本店ロビーコンサート”. リアルエコノミー (2024年3月17日). 2024年7月14日閲覧。
  13. ^ a b 大通西4南地区関連について” (PDF). 札幌市まちづくり政策局都市計画部都市計画課 (2022年12月16日). 2024年7月13日閲覧。
  14. ^ a b 札幌再開発”. 平和不動産. 2024年7月13日閲覧。
  15. ^ "「ほくほく札幌ビル」の竣工について" (pdf) (Press release). ほくほくフィナンシャルグループ. 26 February 2024. 2024年7月13日閲覧
  16. ^ “ピヴォ跡地・道銀ビル跡地…再開発次々札幌大通エリア“次のランドマーク”が徐々に見えてきた!”. STVニュース. (2024年7月12日). https://www.stv.jp/news/stvnews/kiji/st9fcce761dd79451eba762aca4feaa22b.html 2024年7月14日閲覧。 

参考文献

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  • 北海道銀行経営企画部60周年記念誌編纂室編『北海道銀行六十年史』北海道銀行、2011年11月。