道下美里

日本の女性陸上競技選手 (1977-)

道下 美里(みちした みさと、1977年1月19日[1][2] - )は、日本陸上競技選手(女子マラソンブラインドマラソン)。山口県下関市出身[2]。既婚者、旧姓は中野[3]福岡県太宰府市在住[3][4]

道下美里 Portal:陸上競技
選手情報
フルネーム 道下美里
愛称 みっちゃん
国籍 日本の旗 日本
種目 マラソン
所属 三井住友海上
生年月日 (1977-01-19) 1977年1月19日(47歳)
生誕地 山口県下関市
身長 144cm
自己ベスト マラソン:2時間54分13秒(2020年, 防府)
獲得メダル
陸上競技
パラリンピック
2020 東京パラリンピック 女子 マラソン T12
2016 リオデジャネイロパラリンピック 女子 マラソン T12
2024 パリパラリンピック 女子 マラソン T12
編集 テンプレートのヘルプを表示する

2016年リオデジャネイロパラリンピック 陸上 女子マラソンT12 銀メダリスト。
2021年開催の東京パラリンピック 陸上 女子マラソンT12 金メダリスト。
2024年開催のパリパラリンピック 陸上 女子マラソンT12 銅メダリスト。

経歴・人物

編集

小学校4年の時に膠様滴状角膜ジストロフィーを発病し中学生になって角膜移植手術を受けたが右目を失明、短大卒業後、地元山口で働きながら調理師の免許を取得、これからというときに、左目も発症し失明。26歳から盲学校に通いダイエットを兼ねて走り始める[4][3]

その後、中距離ランナーとして地元の大会に出るようになり好成績を残していたが、タイムに伸び悩みフルマラソンに転向した[4]

2013年、日本盲人マラソン協会の強化指定選手となり、2014年の防府読売マラソンで2時間59分21秒でT12クラス(重度弱視)で世界新記録を樹立[2]

2016年、リオデジャネイロパラリンピックの女子マラソンT12に出場し、3時間6分52秒で準優勝、銀メダルを獲得[5]

2017年、防府読売マラソンで、それまでの世界記録を2分9秒更新する2時間56分14秒で優勝。

2020年、別府大分毎日マラソンで、自身の持つ世界記録を破る2時間54分22秒で2年連続・通算3度目の優勝を果たした。その功績からスポーツニッポンフォーラム制定「FOR ALL 2020」グランプリを受賞した[6][7]

2021年9月、東京パラリンピックの女子マラソンT12に出場し、3時間0分50秒のパラリンピック記録で初優勝、金メダルを獲得[8]。同年、紫綬褒章受章[9]

東京パラリンピック 陸上 女子マラソンT12において金メダルを獲得した功績をたたえ、2021年11月6日、山口県下関市の下関中之町郵便局前に記念のゴールドポスト(第7号)が設置された(ゴールドポストプロジェクト[10])。

2022年、2月の別府大分毎日マラソンの女子の部で2時間57分20秒のタイムで初優勝。併せて視覚障がい者部門では、中止となった前年を挟み、3大会連続・通算4度目の優勝を飾り、2冠を達成した。10月に開かれた東京レガシーハーフマラソンでは、1時間23分34秒でフィニッシュしたが、伴走者が道下より先にゴールしたために失格となった[11]。1時間31分41秒(2番手)でフィニッシュした井内菜津美が優勝となり、これが世界新記録となった[11]

2024年9月、パリパラリンピックの女子マラソンT12に出場し、3時間04分23秒でゴール。4着でゴールするも3着のスペイン選手が失格となり、繰り上げで銅メダルを獲得。3大会連続のメダル獲得となった。[12]

逸話

編集

道下が2017年の皇室園遊会に招待され参列した時に、当時まだ皇太子であった徳仁親王から「園遊会会場(赤坂御用地)をジョギングしている」ことを聞き、道下が「機会があったら一緒に走ってみたい」旨を答えたところ、2018年6月に道下が徳仁親王の伴走サポートを受けて赤坂御用地でトレーニングの一環で走った。後に徳仁親王は記者会見の席で道下の伴走を務めたことについて「実際に伴走の方がどのように選手をリードして走っているかなど、(視覚障害者マラソンについて)良く知ることが出来、良い経験になった」旨語っている[13]

主な戦績

編集
2006年
2007年
  • IBSA World GAMES ブラジル 1500m 5位(5分15秒32)[1]
2009年
2010年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
  • 別府大分毎日マラソン フルマラソン(視覚障がい者の部・女子) 優勝(3時間3分42秒)[1]
  • リオデジャネイロパラリンピック フルマラソン 2位・銀メダル(3時間6分52秒)
  • 防府読売マラソン フルマラソン(女子IPC登録の部) 7位(3時間25分13秒)
2017年
2018年
2019年
2020年
2021年
  • 東京パラリンピック フルマラソン 優勝・金メダル(3時間0分50秒)※パラリンピック新記録
2024年
  • パリパラリンピック フルマラソン 3位・銅メダル(3時間4分23秒)

著作

編集

道下美里『いっしょに走ろう= Let's run together.』(芸術新聞社、2015年)ISBN 9784875864349

脚註

編集
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 日本盲人マラソン協会. “日本盲人マラソン協会(JBMA) » Blog Archive » 道下 美里日本盲人マラソン協会(JBMA)”. 2016年9月30日閲覧。
  2. ^ a b c 日本財団パラリンピックサポートセンター. “道下 美里”. 2016年9月30日閲覧。
  3. ^ a b c gooテレビ番組. “[NNNドキュメント 【50センチの温もり ブラインドランナー 道下美里】 の番組概要ページ - gooテレビ番組(関西版)]”. 2016年9月30日閲覧。
  4. ^ a b c NETIB-NEWS. “福岡からパラリンピック選手を!マラソンを通して感動を分ち合いたい|データ・マックス NETIB-NEWS”. 2016年9月30日閲覧。
  5. ^ 毎日新聞. “パラ陸上:女子マラソン、道下美里が銀 - 毎日新聞”. 2016年9月30日閲覧。
  6. ^ スポーツニッポン. “佐藤琢磨 17年以来グランプリ、インディ500連覇へ金言「常に限界に挑む」”. 2020年12月8日閲覧。
  7. ^ 毎日新聞. “スポニチフォーラム 佐藤と道下、グランプリ”. 2020年12月8日閲覧。
  8. ^ "つかんだ「5年前の忘れ物」 道下、うれし涙の金メダル―陸上〔パラリンピック〕". 時事ドットコム. 時事通信社. 2021年9月5日. 2021年9月5日閲覧
  9. ^ 『官報』第250号、令和3年11月4日
  10. ^ ゴールドポストプロジェクト”. 首相官邸 オリンピック・パラリンピックレガシー推進室. 2022年6月9日閲覧。
  11. ^ a b “道下美里が失格 ハーフマラソン 世界記録上回るタイムも”. 日本放送協会. (2022年10月16日). オリジナルの2022年10月24日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20221020151514/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221016/k10013860441000.html 2022年10月21日閲覧。 
  12. ^ "繰り上げで「銅」のマラソン道下美里「神様が見てくれていたのかな」…努力と粘りが呼び込んだ幸運". 読売新聞オンライン. 読売新聞. 2024年9月9日. 2024年11月18日閲覧
  13. ^ "満面の笑みで陛下とジョギングを楽しむ金メダリスト道下選手 「共に生きる社会」がはっきり見えた!". FNNプライムオンライン. フジニュースネットワーク. 2021年9月10日. 2024年9月8日閲覧

関連項目

編集

外部リンク

編集

日本ブラインドマラソン協会 (JBMA) 》Blog Archieve 》 道下 美里日本ブラインドマラソン協会 (JBMA)