路地尊
概要
編集施設近傍の家屋の屋根に降った雨水を集め、地下の貯留槽に溜めておき、手押しポンプで汲み出す仕組みとなっている[1][2]。貯留槽の容量は様々で、3トンや9トンのものがある[3]。
路地尊の水は、消毒されておらず飲用にはできないが、生活用水に利用されており[1]、3号基が置かれている民有地は、路地尊の水を利用した家庭菜園となっている[4]。また、実際に近くでボヤが発生した際に住民たちによる路地尊からのバケツリレーで消火した例もあるという[3][5]。
路地尊は、1980年代から1990年代にかけて、墨田区内の各所に、行政と住民組織が協力して実施する事業として整備が進められた[6]。当初から雨水利用施設として構想されたわけではなく、1987年に完成した1号基は、江戸時代の天水桶を模した屋根付掲示板を備えた防災用具等の収納施設として設置されたが[7]、2号基から貯留槽とポンプが整備され、以降はもっぱらこの形態を意味するようになっている[1]。
路地尊という名称は、「地域のコミュニティの場であり、災害時には避難路になり、通常は地域の広場になる路地を尊ぼう」という趣旨から名付けられている[1][2]。
脚注
編集- ^ a b c d “路地尊”. 墨田区. 2018年10月10日閲覧。
- ^ a b “路地尊/ろじそん 土木用語集 ろ”. 宮原土木建設. 2018年10月10日閲覧。
- ^ a b “第63回「天からの恵みを暮らしの中に生かす ~墨田発、“雨水(あまみず)”活用の広がりをめざして(NPO法人雨水市民の会)」”. 公益財団法人特別区協議会 (2015年8月11日). 2018年10月10日閲覧。
- ^ “[わが街名物]向島有季園 防災貯水で野菜作り”. 読売新聞・東京朝刊: p. 29. (1990年6月23日) - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ “[となりとわたし]平成「町内、自治会」考(8)下町防火番「路地尊」(連載)”. 読売新聞・東京朝刊: p. 17. (1990年10月25日) - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ 山田岳之、大窪健之、小林正美「7038 雨水利用と持続可能な防災まちづくりへの課題:東京都墨田区における路地尊型雨水利用施設の事業経緯と維持管理について(都市計画)」『日本建築学会近畿支部研究報告集. 計画系』第44号、2004年5月24日、657-660頁。 NAID 110007052285
- ^ “[わが街名物]向島有季園 防災貯水で野菜作り”. 読売新聞・東京朝刊: p. 29. (1990年6月23日). "「路地尊」第一号が完成したのは三年前。江戸時代の防火用水「天水桶(おけ)」をモデルに屋根を付けた掲示板を設け、防災まちづくりかわら版をはった。" - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ 江口晋太朗 (2016年9月1日). “東京イチの危険地帯墨田区から考える東京の災害(後編)”. 東京ピストル. 2018年10月10日閲覧。