アジェンダ設定
(議題設定効果から転送)
アジェンダ設定(アジェンダせってい、英語 agenda-setting)機能説とはマスメディア研究の用語で、あるテーマの重要性が報道での言及量・頻度により決定づけられること、ひいては、大衆や政治家の注目する議題(アジェンダ)を設定する影響力がマスメディアにあるという説を指す[1][2]。マクスウェル・マコームズとドナルド・ショーによって1972年に提唱され[1]、以後多くの派生研究を産んだ[3]。議題設定機能[4][5][6]、アジェンダセッティング[7]とも。
マコームズとショーの研究
編集マックスウェル・マコームズ[7][5](「マックウム」[4]などとも)とドナルド・ルイス・ショー[4][7](「ショウー」[5]などとも)は1972年の論文で「アジェンダ設定機能」の説を提唱した[1]。マコームズらは1968年アメリカ合衆国大統領選挙に際して調査を行い、マスメディアで強調される争点と投票先を決めていない有権者が考える争点との間に高い相関があることを見出した[6]。
支持先を決めていない層の支持先がマスメディアによって左右される傾向は、以後の研究でも示されている[7]。一方で、支持先がはっきりしている層は自分の支持する情報を優先して受容する(選択的受容)ため、マスメディアにより支持先を変えられることは少ない[7]。
因果の方向
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マコームズらのもともとの研究で示されたのは相関(因果の向きを特定しない関係)にとどまっていたが、マスメディアが原因となって世論形成が生じたことを示した例として、1980年代半ばのアメリカの反麻薬報道についての研究がある[7]。
出典
編集- ^ a b c 立石芳夫 アジェンダ構築とメディア機能-コブとエルダーの理論モデルを軸に- 立命館法学 一九九六年一号(二四五号)
- ^ 植村八潮 ジャーナリズムとメディアの現在 : 理念を駆動する社会的装置 情報の科学と技術Vol. 65 (2015) No. 1 p. 2-7
- ^ 八幡耕一 海後宗男著『テレビ報道の機能分析』 名古屋大学大学院国際言語文化研究科紀要『メディアと文化』. v.4, 2008, p.187-191
- ^ a b c 竹下俊郎「マス・メディアの議題設定機能 : 研究の現状と課題」新聞学評論 (30), 203-218, 1981-11-21
- ^ a b c 小川恒夫 受容効果研究の展開と今後の課題 マス・コミュニケーション研究 (53), 18-33, 215, 1998-07-31
- ^ a b TVメディアにおける議題設定の課題琉球大学法文学部紀要. 社会学篇 no.34 p.35 -69
- ^ a b c d e f 山田, 吉二郎 マスメディア研究序説 : 研究対象としての新聞 国際広報メディアジャーナル 2: 79-94