量子力学において、行列表示(ぎょうれつひょうじ)とは、演算子行列状態ベクトルを縦ベクトルとして計算する方法である。

実際に計算機を用いて計算を行う場合は、微積分などの演算子を使う形式よりも行列表示の方が扱いやすい。

演算子の行列要素

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任意の完全正規直交系 をひとつ選ぶと、これを用いて演算子と状態ベクトルは以下のように展開できる。

 

この を「演算子 行列要素」と呼ぶ。

行列表示での計算

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このように行列表示をすれば、「状態ベクトル に演算子 を作用して、新たな状態ベクトル を得た」

 

ということは、「行列 と縦ベクトル のかけ算で、新たな縦ベクトル を得た」

 

あるいは

 

と表現できる。

参考文献

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  • Attila Szabo; Neil S. Ostlund 著、大野公男; 望月祐志; 阪井健男 訳『新しい量子化学―電子構造の理論入門』東京大学出版会、1987年。ISBN 978-4130621113 
  • 清水明『新版 量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために―』サイエンス社、2004年。ISBN 4-7819-1062-9