萌黄
#A9D159
(萌葱から転送)
萌黄(もえぎ、萌葱、萌木)とは鮮やかな黄緑色系統の色。春に萌え出る草の芽をあらわす色[1]。若草色とも呼ばれる[注釈 1][2]。桃色が補色となる[3]。
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16進表記 | #A9D159 |
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RGB | (170, 207, 83) |
CMYK | (38, 0, 84, 0) |
HSV | (78°, 59%, 81%) |
マンセル値 | 4GY 6.5/9 |
表示されている色は一例です |
萌黄とその派生色について
編集「萌黄」は、「萌葱」「萌木」とも書かれることがあるが、一般的には「萌黄」を用いる[1]。黄色を加えた鮮やかな緑が「萌黄」、暗い緑が「萌葱」、青みがかった緑は「萌木」と以下のように分類される[2][4]。以下がその3色の違い
萌黄 | 萌葱 | 萌木 |
#A9D159 | #006C4F | #A7BD00 |
色的にはフランスのヴェール・シャルトルーズと類似しているほか[2]、萌黄色をかなり淡くすれば若菜色や若芽色と呼ばれる色となる[5]。
この萌黄から更に黄色みが強まると、鶸色に近い鶸萌黄になる。鶸萌黄は着物にもよく用いられ、和を象徴する色の一つとなっている[6]。萌黄が後述のように平安時代からあったのに対し、鶸萌黄は江戸時代に誕生したものとされる[7]。
用途
編集若者の象徴として使われるパターンが多く、「平家物語」における平敦盛(小説においては17歳)や那須与一(小説においては20歳)も若者を表すために萌黄の鎧を着ているとされている[1]。その他、『栄花物語』や『紫式部日記』の他、室町時代までの軍記にはよく登場していた色である[8][4]。
平安時代では有職装束に萌黄色を基調とする「萌黄の匂」があった。「萌黄の匂」ではより淡萌黄、淡萌黄、萌黄、濃萌黄、紅単から成る[9]。また、有職装束において、春の部では萌黄色と白色を合わせて使い、秋の部では黄色や蘇芳色を混ぜて、季節の表現に用いていた[3]。
脚注
編集注釈
編集- ^ 若草色と萌黄色は別の色であるという意見もある(『日本の色図鑑』吉田雪乃著 p.41より)
出典
編集- ^ a b c 日本色彩研究所、福田 邦夫 2023, p. 152.
- ^ a b c 木村 2001, p. 23.
- ^ a b “萌黄色(もえぎいろ)とは?~日本の伝統色 Japanese Traditional Colors~”. マイナビ子育て|夫婦一緒に子育て. 2024年7月6日閲覧。
- ^ a b 三浦 1984, pp. 66–67.
- ^ 吉田 2018, p. 41.
- ^ ポーポー・ポロダクション、今日マチ子 2023, p. 157.
- ^ 日本色彩学会 2021, p. 187.
- ^ ポーポー・ポロダクション 2018, p. 68.
- ^ 八條 2018, p. 263.
- ^ マニマニ 2019, p. 95.
参考文献
編集- 八條忠基『有職装束大全』平凡社、2018年。ISBN 978-4582124323。
- 三浦寬三『色の和名抄』創文社、1984年。ISBN 978-4423130049。
- 木村孝『和の彩りにみる色の名の物語』淡交社、2001年。ISBN 978-4473018564。
- ポーポー・ポロダクション、今日マチ子『美しい彩りが伝わる 色ことば辞典』日本文芸社、2023年。ISBN 978-4537221145。
- ポーポー・ポロダクション『色と性格の心理学』日本文芸社、2018年。ISBN 978-4537216264。
- 日本色彩研究所、福田 邦夫『増補改訂版 色の名前事典519: データ、由来など豊かなる色の魅力がすべてわかる』主婦の友社、2023年。ISBN 978-4074531158。
- 吉田雪乃『日本の色図鑑』マイルスタッフ、2018年。ISBN 978-4295401759。
- 日本色彩学会『散歩が楽しくなる 日本の色手帳』東京書籍、2021年。ISBN 978-4487814923。
- マニマニ『マニマニ 神戸(2020年版)』JTBパブリッシング、2019年。ISBN 4533109411。