翻訳教室 (柴田元幸)
『翻訳教室』(ほんやくきょうしつ)は、柴田元幸の著書。2006年2月20日、新書館より刊行された[注 1]。2013年4月、朝日文庫として文庫化された。
翻訳教室 Lectures on Literary Translation from English to Japanese | ||
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著者 | 柴田元幸 | |
訳者 | 柴田元幸、ジェイ・ルービン、ウィリアム・ウィーヴァー、藤本和子 | |
発行日 | 2006年2月20日 | |
発行元 | 新書館 | |
ジャンル | 語学書、文学研究 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語、英語 | |
形態 | 並製本 | |
ページ数 | 334 | |
コード | ISBN 978-4403210884 | |
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2004年10月から2005年1月にかけて東京大学文学部で行われた「西洋近代語学近代文学演習第1部 翻訳演習」の授業内容を、「ほとんどそのまま文字化したもの」[2]である。
内容
編集作者 | 作品 | 備考 |
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スチュアート・ダイベック | Hometown | 小冊子『The Story of Mist』(State Street Press、1993年)に収められた作品。 |
バリー・ユアグロー | Carp | 『I-Mode Stories』(2004年)より。 |
レイモンド・カーヴァー | Popular Mechanics | 短編集『愛について語るときに我々の語ること』(クノップフ社、1981年4月)に収められた作品。 柴田の訳例のほかに、村上春樹のもともとの翻訳[注 2]も併せて授業で用いられた。 |
村上春樹 | かえるくん、東京を救う | 短編集『神の子どもたちはみな踊る』(新潮社、2000年2月)に収められた作品。英訳版 "Super-Frog Saves Tokyo" がテキスト[注 3][注 4]。 作品を翻訳したジェイ・ルービンがゲストとして参加している。 |
特別講座 村上春樹さんを迎えて | 本書に掲載された柴田の自筆メモによれば、村上春樹の参加日は2004年11月15日[注 5]。 「僕は文章の書き方を誰にも習わなかった。だから、文章は音楽からしか学んでないです」と村上は述べている[3]。 | |
イタロ・カルヴィーノ | Invisible Cities (Le città invisibili) |
イタリアの小説家イタロ・カルヴィーノの "Le città invisibili" の英訳版がテキスト。翻訳はWilliam Weaver。 |
アーネスト・ヘミングウェイ | In Our Time | 1924年にパリで出版された、タイトルがすべて小文字の超短編 "in our time" がテキスト[注 6]。ヘミングウェイは1925年にこれを元に短編集『In Our Time』を刊行している。 |
ローレンス・ウェシュラー | Inhaling the Spore | ジャーナリストのローレンス・ウェシュラーが1995年に刊行した『Mr. Wilson's Cabinet of Wonder』[注 7]の一節がテキスト。 |
リチャード・ブローティガン | Pacific Radio Fire | 短編集『Revenge of the Lawn』(Simon & Schuster、1971年)に収められた作品。 ブローティガンの作品のほとんどを訳した藤本和子について、柴田はこう述べている。「ブローティガンは、日本の翻訳史上でも大きな存在だと思います」「この藤本さんの翻訳がすごかった。とにかく翻訳でこんな活きた言葉があるのかと思いました。このあとに出てきたアメリカ文学の翻訳者というと、青山南さん、斎藤英治さん、岸本佐知子さん、それからもちろん村上春樹さんなどになると思います。そういった人たちがみんな、藤本さんの訳文の影響下にあると言って間違いないですね」[5] |
レベッカ・ブラウン | Heaven | 短編集『The End of Youth』(City Lights、2003年)に収められた作品。 |
脚注
編集注釈
編集- ^ 新書館の公式サイトによる[1]。なお奥付の発行日は2006年3月5日となっている。
- ^ 村上は "Popular Mechanics" を「ある日常的力学」という題で訳した。『THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER 2 愛について語るときに我々の語ること』(中央公論社、1990年8月)に収録されている。
- ^ 英訳版 "Super-Frog Saves Tokyo" は『GQ』2002年6月号に掲載され、それから間もなくして2002年8月刊行の短編小説集『after the quake』(Knopf)に収められた。
- ^ また、"Super-Frog Saves Tokyo" はNHKラジオ第2の語学番組「英語で読む村上春樹」の教材に用いられた。
- ^ 村上春樹は、1996年11月に東京大学教養学部で行われた柴田の翻訳ワークショップにも参加している。このときの柴田と村上の対談は『翻訳夜話』(文藝春秋、2000年10月)に収録されている。
- ^ 柴田は2010年5月、"in our time" をヴィレッジブックスから翻訳出版した[4]。
- ^ 同書は『ウィルソン氏の驚異の陳列室』(みすず書房、1998年11月、大神田丈二訳)という題で邦訳が出ている。
出典
編集- ^ 新書館 | 書籍 詳細ページ | 翻訳教室
- ^ 本書、単行本、5頁。
- ^ 本書、単行本、164頁。
- ^ in our time | ヴィレッジブックス
- ^ 本書、単行本、276-277頁。