素源氏
概要
編集平安時代中期に成立した源氏物語は、長く写本のみによって人々に伝えられてきたが、江戸時代に入ってから版本による源氏物語の出版が始まり、それによってそれまでとは比べものにならない数量の「源氏物語の本」が裕福な庶民にまで普及することになった。
このような源氏物語の版本は、初期には源氏物語の本文のみを内容としていたが、次第に「絵入源氏物語」、「首書源氏物語」、「源氏物語湖月抄」といった本文だけでなく注釈[1]や挿絵、さらには源氏物語の補作である山路の露や雲隠六帖といったものを含むものが現れてそちらが主流になっていった。その後さかのぼって挿絵や注釈を持たない初期の版本を「素源氏」と呼ぶようになった。これらは「注釈を持たない」という意味で「無注本(源氏物語)」とも呼ばれることもある。
主な素源氏
編集翻刻本
編集寛永年間の刊行と見られる無跋無刊記整版本の翻刻。
- 齋木泰孝編『安田女子大学言語文化研究叢書 3 安田女子大学蔵無刊記本源氏物語書入注 上 』安田女子大学言語文化研究所、1998年3月
- 齋木泰孝編『安田女子大学言語文化研究叢書 日本・東洋研究部門 9 安田女子大学蔵無刊記本源氏物語書入注 中 』安田女子大学言語文化研究所、2004年3月
参考文献
編集- 清水婦久子『源氏物語版本の研究』研究叢書292 、和泉書院、2003年3月1日。 ISBN 978-4-7576-0201-4