石森大誠

日本のプロ野球選手

石森 大誠(いしもり たいせい、1997年12月3日 - )は、石川県羽咋郡宝達志水町出身の元プロ野球選手投手)。左投左打。

石森 大誠
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 石川県羽咋郡宝達志水町
生年月日 (1997-12-03) 1997年12月3日(27歳)
身長
体重
178 cm
83 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り KAL / 2021年
NPB / 2021年 ドラフト3位
初出場 KAL / 2021年3月27日
最終出場 KAL / 2021年9月26日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴

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プロ入り前

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宝達志水町立相見小学校2年生の時に軟式野球を始めると、4年生から投手を務め、宝達志水町立押水中学校(現:宝達志水町立宝達中学校)でも軟式野球部で投手を務めた[1]

遊学館高等学校に進学し、投手外野手を兼任した。3年夏は背番号10でベンチ入りし、同学年の小孫竜二とともに第97回全国高等学校野球選手権大会に出場。村上宗隆擁する九州学院との初戦(2回戦)では登板がなくチームは勝利[2]小笠原慎之介吉田凌豊田寛擁する東海大相模との3回戦では大量リードを許した8回途中から救援登板したが、チームは敗れた[3][4]。1学年下に保科広一がいた。

東北公益文科大学に進学し、1年春からベンチ入り。2年春には外野手として南東北大学野球春季1部リーグ戦ベストナインに選出された[5]。3年時から投手と野手を兼任[1]。4年時には主将を務め、エースとして春には優秀選手賞選出、秋はリーグ優勝に貢献した。プロ志望届を提出したが、2019年のドラフト会議では指名がなかった[6]

卒業後は熊本ゴールデンラークスに入団[6]。1年目から公式戦に登板し、Honda熊本の補強選手として都市対抗野球大会に出場したが、登板はなかった[7]

KAL・熊本時代

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その後、熊本ゴールデンラークスを母体とする九州アジアリーグ火の国サラマンダーズに入団。同球団のピッチングGMを務める馬原孝浩から指導を受け、フォークを習得した[7]。主に救援登板し、2021年5月に行われた福岡ソフトバンクホークス三軍との練習試合では自己最速を更新する155km/hを記録した[7]。この年は19セーブを挙げて、リーグの最多セーブのタイトルを獲得し[8]、リーグ初年度のMVP(最優秀選手)にも選出された[9]

10月11日のNPBドラフト会議で、中日ドラゴンズから3巡目で指名を受けた[10]。九州アジアリーグから初めての指名であると共に、この年のドラフトでは独立リーグから支配下に指名された唯一の選手となった[11]。11月24日に、契約金5000万、年俸1000万円で契約した(金額は推定)[12]。背番号は26[13]

中日時代

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2022年の春季キャンプは一軍メンバーに入る[14]。3月13日のオリックス・バファローズとの試合でオープン戦初登板。8回から投げ、3四死球で無死満塁のピンチを招くも、1イニングを無安打無失点で抑え込んだ[15]。即戦力と期待されながらも開幕は二軍で迎え、ウエスタン・リーグ公式戦17試合の登板で防御率6.33と、成績は芳しくないものであった。さらには上半身のコンディション不良(左肘痛)が発生し、6月中旬から公式戦に出場せずにリハビリ生活を送った[16]。また、6月11日、9月2日の2度、新型コロナウイルス陽性判定を受けた[17]。11月4日、屋内練習場で離脱後初となるブルペン投球を行った[18]。11月15日、100万円減となる推定年俸900万円で契約を更改した[19]

2023年の春季キャンプは二軍スタートとなる[20]。この年も一軍登板は果たせず、独立リーグや三軍相手には自身で納得のいく投球ができているものの、二軍戦では先頭打者に四球を与えてしまうような登板を繰り返した[21]。最終的にウエスタン・リーグ公式戦22試合の登板で与四球33、防御率10.53と、前年を下回る成績に終わった[22]。シーズン終了後はみやざきフェニックス・リーグに参加し[23]、ここでは7試合に登板して、計8回を被安打6、奪三振7、2失点(自責点1)で、与四球は2と、課題の制球が改善傾向に思える投球を見せた[24]。11月19日に臨んだ契約更改交渉では120万円減となる推定年俸780万円で契約を更改し、「翌年が最後の年、勝負の年と考えて頑張ってほしい」と告げられたことを会見の場で明かした[25]

2024年も春季キャンプは二軍スタートとなる[26]。ウエスタン・リーグ公式戦26試合の登板で与四球25、防御率4.15の成績で[27]、8月9日の対阪神戦では、先発登板で7回途中にヨハン・ミエセスに2点本塁打を打たれるまで無安打無失点の好投を見せ、公式戦初勝利を挙げた[28](シーズンを通じてはこの1勝のみ[27])。しかし、3年連続で一軍昇格の機会は得られなかった[26]。シーズン終了後はフェニックス・リーグに参加していたが、10月29日、球団から翌年の契約を結ばないことを通告された[26]。「正直のところ、ドラゴンズでもっと野球をしたかった。1軍で一度も登録されなかったことが悔い。」とコメントした[26]

現役引退後

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現役引退後は中日に残って球団職員となり、広報を担当[29]

選手としての特徴

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左腕から最速155km/hの直球を投げる。火の国サラマンダーズで指導をした馬原孝浩はこの直球を「打者の手元でホップする、回転数もある、誰もまねできない直球」と評する[30]。変化球は130km/h台後半のツーシームカットボール、130km/h台半ばのフォークを投げる[31]。中日ドラゴンズの担当スカウトである三瀬幸司は「ボールが速くて、変化球もいい。空振りが取れるのが持ち味」と石森を称した[32]

NPB入り後は制球力不足が露呈し、1年目はウエスタン・リーグでの登板で21回1/3の投球回に対して、与四球20を記録。二軍投手コーチの小笠原孝は「悪いときは体が横振りになる」とフォームの乱れを指摘する[16]。制球力改善のため、2年目は投球時のテイクバックを小さくしたショートアームに取り組み、春季キャンプ時には手応えをつかむも、疲れが出てからは手投げになってしまうことから、元のフォームに戻した[21]。結果、同年も制球力は改善せず、19回2/3の投球回に対して、与四球33、与死球3、暴投11を記録した[22]

目標としていた投手は則本昂大[31]

人物

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火の国サラマンダーズ時代は後輩の捕手・深草駿哉に2人分の食費を渡し、朝と夜の炊事を担当してもらい、グラウンド内外で女房役をしてもらっていた[33][34]。それまではコンビニ中心の食生活であったが、深草のおかげでバランスの良い食事を摂れるようになり、急成長の要因にもなったという[34][35]

石川県宝達志水町にある実家は2024年1月1日に発生した能登半島地震で被災したが、家族は全員無事だった。石森は2日に帰省予定だったが「自分はプレーで石川の家族や友達を元気づけることしかできない」とこれを取りやめ、同日からナゴヤ球場での自主トレに励んだ[36]

詳細情報

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NPB年度別投手成績

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  • 一軍公式戦出場なし

独立リーグでの年度別投手成績

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W
H
I
P
2021 熊本 36 0 0 0 0 2 1 19 3 .667 144 36.1 19 0 15 - 0 63 2 0 9 7 1.73 0.94
通算:1年 36 0 0 0 0 2 1 19 3 .667 144 36.1 19 0 15 - 0 63 2 0 9 7 1.73 0.94
  • 各年度の太字はリーグ最高

独立リーグでのタイトル・表彰

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タイトル
  • 最多セーブ投手賞:1回(2021年)[8]
表彰
  • MVP:1回(2021年)

背番号

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  • 47(2021年)
  • 26(2022年 - 2024年)

脚注

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  1. ^ a b 独立リーグ「火の国」の最速155キロ左腕、12球団から調査書 「師匠」は鷹の元守護神」『西日本スポーツ』2021年10月9日、2頁。2021年10月18日閲覧
  2. ^ 遊学館が逆転勝ち ファーストストライク狙った - 高校野球」『日刊スポーツ』2015年8月12日。2021年10月10日閲覧
  3. ^ 東海大相模が大勝で遊学館下し5年ぶり8強進出 - 高校野球」『日刊スポーツ』2015年8月15日。2021年10月10日閲覧
  4. ^ 東海大相模 対 遊学館 - スコア速報 - 第97回高校野球選手権(2015)」『日刊スポーツ』2015年8月15日。2021年10月10日閲覧
  5. ^ <硬式野球部>南東北大学野球春季1部リーグ戦において、石森大誠さんがベストナインに選出されました!!」『東北公益文科大学』。2021年10月11日閲覧
  6. ^ a b 東北公益文科大・石森、熊本ゴールデンラークス内定 - アマ野球」『日刊スポーツ』2019年10月29日。2021年10月10日閲覧
  7. ^ a b c 火の国サラマンダーズ・石森大誠 最速155キロ「熊本のドクターK」」『スポニチ Sponichi Annex』2021年10月6日。2021年10月10日閲覧
  8. ^ a b 「2021 ヤマエ久野 九州アジアリーグ 個人賞」について (PDF)」『一般社団法人九州アジアプロ野球機構』2021年10月18日。2021年10月26日閲覧
  9. ^ 中日ドラ3石森が九州アジアリーグ初代MVP「新人王を目標に」」『西日本スポーツ』2021年10月28日。2021年10月28日閲覧
  10. ^ NPBドラフト会議 指名選手のお知らせ - 九州アジアプロ野球機構(2021年10月11日)2021年10月12日閲覧。
  11. ^ 【指名サプライズ】本指名独立L唯一!史上2位タイ上位の中日3位!「火の国サラマンダーズ」石森大誠」『スポーツニッポン』2021年10月11日。2021年10月12日閲覧
  12. ^ 中日3位石森大誠と仮契約 「実感湧いて」馬原イズム胸に炎のストッパーへ」『日刊スポーツ』2021年11月24日。2022年11月13日閲覧
  13. ^ 【中日】新入団発表 ドラフト1位・ブライト健太は背番号「42」、鵜飼航丞は「4」全6選手が決意」『スポーツ報知』2021年12月17日。2021年12月18日閲覧
  14. ^ 中日、春季キャンプメンバー発表 ドラ1・ブライト、44歳・福留、4年目・根尾が1軍」『Full-Count』2022年1月20日。2022年3月16日閲覧
  15. ^ ルーキー石森がガチガチ…マウンド向かった中日・落合ヘッドの“緊張をほぐす術” 肩を抱いてかけた魔法の言葉とは」『中日スポーツ』2022年3月14日。2022年3月16日閲覧
  16. ^ a b 中日・石森大誠 制球力を磨いて一軍デビューへ/即戦力と言われて」『週刊ベースボールONLINE』2022年9月6日。2022年9月8日閲覧
  17. ^ 【中日】石森大誠が2度目のコロナ陽性」『中日スポーツ』2022年9月2日。2022年9月8日閲覧
  18. ^ 左肘痛の中日・石森大誠がブルペン投球を再開 捕手立たせ20球「問題なかった」」『中日スポーツ』2022年11月4日。2022年11月14日閲覧
  19. ^ 【中日】1軍登板なし石森大誠、100万減の900万円で更改「自分の気持ちの弱い面が出てしまった1年」」『スポーツ報知』2022年11月15日。2024年1月3日閲覧
  20. ^ 根尾は二軍スタート 中日が春季キャンプ参加メンバー発表」『DAZN News JP』2023年1月8日。2024年10月30日閲覧
  21. ^ a b 石森大誠 (9 July 2023). "⑥石森大誠投手(石川県宝達志水町出身) 抑えをやる気持ちで頑張る <逞しく 昇竜の志>". 中日新聞Web (Interview). Interviewed by 小坂亮太. 中日新聞社. 2023年10月4日閲覧
  22. ^ a b 2023年度 中日ドラゴンズ 個人投手成績(ウエスタン・リーグ)」『NPB.jp』日本野球機構。2023年10月4日閲覧
  23. ^ みやざきフェニックス・リーグ2023 参加選手のお知らせ」『中日ドラゴンズ オフィシャルウェブサイト』2023年10月5日。2023年10月11日閲覧
  24. ^ 中日・石森大誠、目指すは藤川球児さんばりの「火の玉ストレート」 球速よりも球質にこだわり握り改良」『中日スポーツ』2023年11月15日。2023年11月20日閲覧
  25. ^ 【中日】2年連続1軍登板なしの石森大誠、120万減の780万円で更改「やるせない。悔しい」」『スポーツ報知』2023年11月19日。2023年11月20日閲覧
  26. ^ a b c d 中日、石森大誠に戦力外通告「ドラゴンズでもっと野球をしたかった」ドラフト3位で2022年入団 今後については「家に持ち帰って考える」」『中日スポーツ』2024年10月29日。2024年10月29日閲覧
  27. ^ a b 2024年度 中日ドラゴンズ 個人投手成績(ウエスタン・リーグ)」『NPB.jp』日本野球機構。2023年10月4日閲覧
  28. ^ 【ハイライト】8/9(金) 神2-8中(鳴尾浜)』(YouTube)阪神タイガース 公式、阪神鳴尾浜球場、2024年8月9日https://www.youtube.com/watch?v=whFzycr-KNo2024年10月30日閲覧 
  29. ^ メ〜テレニュース (31 January 2025). 沖縄キャンプ直前! 開幕投手狙う髙橋宏斗投手らブルペン入り 井上監督の意気込みは (YouTube). 2025年1月31日閲覧
  30. ^ 今年開幕の九州独立リーグからドラフト指名 夢は「160キロ」」『毎日新聞』2021年10月12日。2021年10月1日閲覧
  31. ^ a b 広尾晃「〈中日ドラフト3位〉石森大誠が“独立Lで155kmサウスポー”に化けた、馬原孝浩コーチの助言「お前の球を投げていれば」」『Number Web』2021年10月11日、3頁。2021年10月1日閲覧
  32. ^ 【中日】3位石森大誠と契約金5000万円、年俸1000万円で仮契約 「最初から力が出せるように」」『中日スポーツ』2021年11月24日。2024年5月10日閲覧
  33. ^ バッテリーの絆深く 石森投手(火の国)ドラフト指名 食生活支えた深草捕手」『熊本日日新聞』2021年10月12日。2021年12月4日閲覧
  34. ^ a b 独立リーグからプロ入り「1%の狭き門」挑んだ ダルも注目した逸材・植田拓と155キロ左腕・石森大誠」『Sponichi Annex』2021年10月16日。2021年12月4日閲覧
  35. ^ 速報ドラフト会議 THE運命の1日 2021/10/11(月)19:00 の放送内容 ページ1」『TVでた蔵』。2021年12月4日閲覧
  36. ^ 石川県出身の中日・石森大誠「プレーで元気づけることしかできない」能登半島地震で苦渋の帰省取りやめ、名古屋で自主トレ」『中日スポーツ』2024年1月5日。2024年1月26日閲覧

関連項目

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外部リンク

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