甲賀西国三十三所(こうかさいごくさんじゅうさんしょ)とは、滋賀県甲賀地域にある33か所の観音霊場のこと。

甲賀郡志によると、1772年安永2年)に北土山村の永雲寺の容堂禅師の創始とされている[1]。しかし、1734年享保19年)の近江輿地志略には甲賀西国の記述があり、さらに前から成立していた模様[1]

霊場一覧

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No. 山号 寺号 所在地 備考
1 福生山 櫟野寺 甲賀市甲賀町櫟野 日本最大の十一面観音坐像や薬師如来坐像、聖観音など多数が安置。
2 福応山 常光寺 甲賀市甲賀町大原上田 本尊は重要文化財の木造十一面観音立像。
3 東谷山 仏性寺 甲賀市甲賀町神 1897年に火災のため延命寺に合祀。現在、観音堂のみが再建。
4 円通山 善応寺 甲賀市甲賀町油日 646年開基と伝わる。本尊は十一面千手観音菩薩。
5 万年山 龍泉寺 甲賀市甲賀町上野 阿波の国で弘法大師作の十一面観音菩薩像を受け、安置する。
6 花厳山 最法寺 甲賀市甲賀町和田 1576年に僧 満誉が開基。一旦、廃絶するが1772年に僧信随が中興。本堂と庫裏が消失するが再建。
7 遊住山 長福寺 甲賀市甲賀町田堵野 806年開基と伝わる。本尊は弥陀如来坐像で重要文化財の聖観音坐像あり。
8 慈雲山 元龍寺 甲賀市甲賀町滝 1284年に移住した多喜家継の孫、来峰和尚が開山と伝わる。本尊は木造十一面観音菩薩坐像。
9 別府山 補陀楽寺 甲賀市甲賀町大原市場 本尊は木造十一面観音立像。境内周囲に補陀楽寺跡とされる土塁が残る。
10 如意山 後生寺 甲賀市甲賀町高野 西福寺と合併し、1878年に福正寺となる。木造如意輪観音坐像や南北朝時代の六角形石灯籠がある。
11 補陀落山 檜尾寺 甲賀市甲南町池田 本尊は重要文化財の木造千手観音立像で、そのほか木造釈迦如来立像がある。
12 天満山 福龍寺 甲賀市甲南町下馬杉 重要文化財の木造十一面観音立像がある。
13 鶏足山 伊勢廻寺 甲賀市甲南町野川 もと観音寺と称した。重要文化財の本尊の木造十一面観音立像と木造不動明王立像、木造毘沙門天立像がある。
14 霊花山 円通寺 甲賀市甲南町柑子
15 寿亀山 正福寺 甲賀市甲南町杉谷 世継観音という本尊の木造十一面観音立像、半丈六の木造釈迦如来坐像は重要文化財。南北朝時代初期の意匠を備えた石造宝篋印塔が建つ。
16 金光山 浄福寺 甲賀市甲南町深川 峯の堂と呼ばれる。本尊は重要文化財の木造十一面千手観音坐像。矢川寺(廃寺)の大般若経も伝わる。中世から伝わるオコナイが行われる。
17 杣大山 最勝寺 甲賀市水口町岩坂 本尊の木造十一面観音立像、県内2番目に古い石造宝塔がある。2016年の土砂崩れにより廃寺となった。
18 華蔵山 園養寺 湖南市三雲 最澄開基と伝わる。牛の寺と呼ばれる。
19 観音山 上乗寺 湖南市三雲 仏燈国師が開山したと伝わる。本尊は木造十一面観音立像。
20 雲照山 妙感寺 湖南市三雲 南北朝時代に藤原藤房が出家して開山したと伝わる。南北朝時代の磨崖地蔵菩薩がある。
21 岩根山 善水寺 湖南市岩根 本堂は国宝。重要文化財の木造薬師如来坐像等が多数ある。
22 龍王山 大岡寺 甲賀市水口町水口 686年に創建と伝わる。木造千手観音立像、木造阿弥陀如来立像が重要文化財に指定。
23 楊柳山 千光寺 甲賀市水口町嶬峨 行基の開基と伝わる。甲賀六大寺の一つ。重要文化財の木造十一面千手観音立像がある。
24 笠間山 妙音寺 甲賀市甲賀町小佐治 小佐治観音と呼ばれる。1490年に佐治為高が建立と伝わる。重要文化財の木造聖観音立像がある。
25 香林山 長福寺 甲賀市水口町和野 廃寺となった。本尊等は同区の修善寺に移された。
26 福恵山 地安寺 甲賀市土山町前野 1699年に勅許を得て後水尾上皇の画・位牌等を安置。林丘寺宮へ明治維新まで茶等を献上。
27 円通山 白毫寺 甲賀市土山町野上野 本尊は県指定文化財の木造十一面観音立像。
28 牛頭山 天秀寺 甲賀市土山町平子
29 稲荷山 妙楽寺 甲賀市土山町瀬ノ音
30 宝積山 清涼寺 甲賀市土山町青土 本尊は重要文化財の木造釈迦如来坐像。
31 祥雲山 太平寺 甲賀市土山町鮎河 国宝の大般若経が伝わる。
32 龍雲山 長松寺 甲賀市土山町黒川 大日寺(廃寺)の本尊と伝わる木造大日如来坐像は重要文化財。
33 高座山 永雲寺 甲賀市土山町北土山 本尊は県指定文化財の木造聖観音立像。木造十一面千手観音立像も安置される。土山茶の発祥地と伝わる。

脚注

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  1. ^ a b 『甲賀市史 第8巻 甲賀市事典』甲賀市、2016年12月12日、428-429頁。 

関連項目

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