田舎荘子』(いなかそうじ[1])は、江戸時代佚斎樗山による戯作談義本の先駆[2]。『荘子』に似た内容を和文で説く。享保12年(1727年)刊[3]

背景

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背景として、当時の老荘思想の流行[4][5]享保改革期の庶民教化の風潮[5][6]熊沢蕃山荻生徂徠の思潮があった[7][8]

談義本」は、狭義には静観房好阿『当世下手談義』が初発だが、広義には本書が初発とも言える[3][2]

本書は刊行後幕末まで盛んに読まれた[9]。本書に続く形で信更生『都荘子』、田中友水子『面影荘子』、山崎北華『労四狂』など、老荘関係の談義本が多く出た[10]。樗山自身も『田舎荘子外篇』『雑篇田舎荘子』を出している[5]。「樗山」という号も『荘子』の「樗木」に由来する[11][12]

本書は同著者の『河伯井蛙文談』や『再来田舎一休』とともに「樗山七部の書」に数えられ[13]、その中心を担っている[14]

本書中の一篇『猫之妙術』は、同著者の『天狗芸術論』とともに、近現代では武道書として受容されている[13]

内容

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スズメチョウ哲学的な対話をするなど、『荘子』と同様の「寓言」の手法をとる[3]。内容も『荘子』に似るが、「造化」を天命的・知足安分的な庶民倫理として頻繁に説くなど、『荘子』と異なる要素も多い[15][16]儒教仏教神道武道の要素もある。林希逸『荘子鬳齋口義』[17][18]熊沢蕃山『集義和書』などの影響を受けている[19][20]

篇目

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巻上

巻中

巻下

巻之附録

脚注

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  1. ^ 中野 1990, p. 1.
  2. ^ a b 中野 1981, p. 78.
  3. ^ a b c 中野 1990, p. 2.
  4. ^ 中野 1990, p. 2;379.
  5. ^ a b c 日野 1984, p. 62.
  6. ^ 中野 1990, p. 2;362;379.
  7. ^ 中野 1990, p. 371.
  8. ^ 中野 1981, p. 134f.
  9. ^ 中野 1990, p. 377.
  10. ^ 日野 1984, p. 62;79-81.
  11. ^ 中野 1990, p. 40.
  12. ^ 大野 1997, p. 311.
  13. ^ a b c 石井 2014, p. 179.
  14. ^ 中野 1990, p. 378.
  15. ^ 日野 1984, p. 63.
  16. ^ 大野 1997, p. 296;310.
  17. ^ 中野 1990, p. 50.
  18. ^ 大野 1997, p. 303-305.
  19. ^ 中野 1990, p. 55.
  20. ^ 中野 1981, p. 153f.
  21. ^ 中野 1990, p. 31.
  22. ^ 中野 1990, p. 42.
  23. ^ 中野 1981, p. 136.
  24. ^ 大野 1997, p. 297.

現代語訳等

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  • 石井邦夫 訳注『天狗芸術論猫の妙術 全訳注』講談社〈講談社学術文庫〉、2014年。ISBN 978-4062922180 
  • 中野三敏 校注『新日本古典文学大系 81 田舎荘子 当世下手談義 当世穴さがし』岩波書店、1990年。ISBN 4002400816 

参考文献

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