犬鷲型ミサイル艇
犬鷲型ミサイル艇(コムドクスリかたミサイルてい、英: Gumdoksuri class patrol vessel、朝: 검독수리급 고속정)は、大韓民国海軍のミサイル艇の艦級。1番艇をネームシップとして尹永夏級(ユン・ヨンハ、朝: 윤영하급)と称されることもある。
犬鷲型ミサイル艇 | |
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基本情報 | |
艦種 | ミサイル艇(PKG) |
命名基準 | 戦死者、朝鮮戦争時の将軍や戦功者 |
建造所 |
韓進重工業 STX造船海洋 |
運用者 | 大韓民国海軍 |
建造期間 | 2005年 - 2018年 |
就役期間 | 2008年 - 現役 |
建造数 | 22隻 |
前級 | 大鷲型 (哨戒艇) |
要目 | |
基準排水量 | 440 t |
満載排水量 | 570 t |
全長 | 63 m |
最大幅 | 9 m |
吃水 | 3 m |
機関方式 | CODAG方式 |
主機 | |
推進器 | ウォータージェット推進器×3軸 |
最大速力 | 44 kt |
乗員 | 40人前後 |
兵装 |
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C4ISTAR |
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レーダー |
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電子戦・ 対抗手段 |
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概要
編集犬鷲型は、大鷲型の後継となる沿海哨戒用のミサイル艇である。計画では、高度な戦闘システムと対艦ミサイルと砲熕兵器が連接されたことにより、浦項級コルベットの任務の一部を代替することも可能になり、北朝鮮と武力衝突が繰り返されている北方限界線近くの西海五島付近の海域に仁川級フリゲートと共に投入される予定である。当初は24隻を建造する計画であり、これに10隻追加建造する構想もあったが[1]、最終的に当初の計画から6隻減じた18隻を建造する計画となった[2]。1隻あたりの建造費は850億ウォンである[2]。
1番艇は第2延坪海戦で戦死したチャムスリ級357番艇の尹永夏艇長から名付けられ、初代艇長には第1延坪海戦で活躍したアン・ジヨン少領が任命された[3]。
本級の初期型に関しては様々な欠陥が報道されていた。1番艇は就役前に、ウォータージェットエンジンから潤滑油が漏れる、ディーゼルエンジンのエアタンクから空気が漏れる、航海レーダーが消える等の理由で61件の改修を行い、さらに就役後2カ月間だけでも、ウォータージェットエンジンのタービン翼と冷却装置が腐食する、ディーゼルエンジンから潤滑油と燃料油が漏れる、磁気羅針盤に20度以上の誤差が出る、艦内通信システムの交信が不可能などの理由で95件の改修を余儀なくされた。その後もレーダーとエンジンに再び欠陥が発見されたことから改修の必要が生じ、大青海戦中も改修中で参戦できなかった[4]。これらの問題が完全に解決されていないため、1番艇は就役後も極めて運用が低調である。2番艇以降は外国製のウォータージェット推進装置に変えて新たに韓国の斗山が独自開発した推進装置を装備するが、これが原因で、高速走行時に直進できなかったり、推進軸のベアリングの問題により速度が急に落ちる等の新たな欠陥が発生し、戦力化が当初の2010年9月末から2012年8月以降に遅延していた[5]。
2014年現在、以上の問題は解決され[6]、同年4月1日には15番艇が就役しているが[7]、2015年には新たに現代WIA製76mm速射砲の欠陥が提起されている(#事件・事故)。
同型艇
編集末尾が4と0のPKG-714、PKG-720、PKG-724、PKG-730及びPKG-731は欠番。PKG-711~PKG-717は第2延坪海戦の戦死者、PKG-718~PKG-728とPKG-732は朝鮮戦争時の将軍や戦功者の名前、PKG-729とPKG-733はベトナム戦争での戦功者の名前である。
番号 | 艦名 | 建造 | 進水 | 就役 |
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PKG-711 | 尹永夏 (ユン・ヨンハ) |
韓進重工業 | 2007年 7月6日 |
2008年 12月17日 |
PKG-712 | 韓相国 (ハン・サングク) |
STX造船海洋 | 2009年 9月23日 |
2011年 9月14日 |
PKG-713 | 趙天衡 (チョ・チョニョン) | |||
PKG-715 | 黄道顯 (ファン・ドヒョン) |
2009年 12月11日 |
2012年 1月13日 | |
PKG-716 | 徐厚源 (ソ・フウォン) |
2011年 11月28日 | ||
PKG-717 | 朴東赫 (パク・ドンヒョク) |
韓進重工業 | 2010年 7月28日 | |
PKG-718 | 玄時学 (ヒョン・シハク) |
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PKG-719 | 鄭兢謨 (ジョン・グンモ) |
2010年 11月2日 |
2011年 12月19日 | |
PKG-721 | 池徳七 (チ・ドクチル) |
2011年 12月23日 | ||
PKG-722 | 林炳来 (イム・ビョンネ) |
STX造船海洋 | 2012年 11月20日 |
2013年 9月3日 |
PKG-723 | 洪時旭 (ホン・シウク) |
2013年 10月10日 | ||
PKG-725 | 洪大善 (ホン・デソン) |
2013年 11月4日 | ||
PKG-726 | 韓文植 (ハン・ムンシク) |
韓進重工業 | 2013年 4月24日 |
2014年 1月28日 |
PKG-727 | 金昌学 (キム・チャンハク) |
2014年 3月4日 | ||
PKG-728 | 朴東鎭 (パク・トンジン) |
2014年 4月1日 | ||
PKG-729 | 金寿鉉 (キム・スヒョン) |
STX造船海洋 | 2014年 4月30日 |
2014年 9月30日 |
PKG-733 | 李秉哲 (イ・ビョンチョル) |
2014年 11月28日 | ||
PKG-732 | 全炳翼 (ジョン・ビョンイク) |
2016年 6月24日 |
2018年 1月11日 |
事件・事故
編集- 2013年11月25日未明、韓国慶尚南道昌原市鎮海区のSTX造船海洋造船所岸壁で艤装中の本艇1隻が、波浪により水没する事故が発生した。死傷者はなかったが[9]水没艇は修復不可能となったため放棄し、2015年1月末から新たに新造することになった。STX側は天災による事故を理由に納期延長を申請したが、軍側はこれを認めず遅滞賠償金の支払いを求めて紛糾している[10]。
- 2015年1月22日、「PKG-715黄道顯」で76mm速射砲の暴発事故が発生、一等兵が頭部に重傷を負い、同年7月17日に死亡した[12]。本級の現代WIA製76mm速射砲は、退役艦に装備されていたオート・メラーラ製の76mm速射砲に対して韓国が独自に改良を施して転用したものであり[13]、オート・メラーラは特許侵害により営業損害を受けたとして訴訟を起こしたが、大法院に退けられていた[14]。2014年10月に北方限界線を侵犯した北朝鮮艦艇に警告射撃を行った際に、「PKG-713趙天衡」の現代WIA製76mm速射砲が突然作動を停止したことは判明していたが、この事故を受けて、北方限界線での不発事案発生直後に2度行われた発射試験でも不発弾が発生していたことを韓国海軍が隠蔽していたことが判明した。またこれらに先立つ2014年4月にも、「PKG-716徐厚源」の現代WIA製76mm速射砲が異常動作していたことが判明した[15]。これら5件の事案により、現代WIA社が行った76mm速射砲事業に根本的に欠陥があった疑いが提起されている[16]。
出典
編集- ^ 軍“서해 방어 유도탄고속함 10대 더 도입”、東亜日報 2011年7月13日
- ^ a b “차기고속정 30여척 건조“、naeil.com 2011年8月31日
- ^ “Navy launches high-speed patrol boat”. JoongAng Daily (2007年6月29日). 2016年6月7日閲覧。
- ^ "걸핏하면.." 최신예 고속함 '하자투성이'、SBSニュース 2009年11月13日
- ^ "欠陥だらけ"高速艦‥西海戦力化、また遅延、MBCニュース 2011年8月28日
- ^ 열 번째 유도탄고속함 ´임병래함´ 해군에 인도
- ^ 해군 15번째 유도탄 고속함 '박동진함' 취역、連合ニュース 2014年04月1日
- ^ 韓国軍 ミサイル艇20隻建造へ=最前線での機動力向上 聯合ニュース 2016年3月21日
- ^ “強風により建造中の海軍高速艇1隻沈没”. 聯合ニュース. (2013年11月25日)
- ^ “‘건조중 침수’ 유도탄고속함 대체 함정 건조” (朝鮮語). 世界日報. (2015年1月24日)
- ^ “韓国原発、「欠陥・事故」続出の恐ろしき実態…偽造部品納入は当たり前、放射能漏れ数値は18倍増に修正”. 産経新聞社. (2015年1月2日) 2015年1月2日閲覧。
- ^ “韓国海軍の高速艦が故障で誤射、水兵の頭に直撃し死亡=韓国ネット「就役から3年もたってないのに…」「海軍のほぼすべての事業に不正が絡んでいる」”. record china. (2015年7月28日)
- ^ “함정 ‘함포 오작동’ 포탄 발사 사고…병사 1명 중상” (朝鮮語). KBS. (2015年1月22日)
- ^ “西海英雄達が先端高速艇となって西海を守る”. 朝鮮日報. (2009年9月24日)
- ^ “76㎜ 함포에서 오작동 불발탄…책임 주체는 불분명” (朝鮮語). KBS. (2015年2月19日)
- ^ “76mm 함포, 시험 사격서도 이상..해군 '쉬쉬'” (朝鮮語). KBS (daum). (2015年2月12日)
関連項目
編集- 同時期に建造された、諸外国のミサイル艇
外部リンク
編集- コムドクスリ型ミサイル艇(PKG) - 日本周辺国の軍事兵器