火山学(かざんがく、英語: volcanology)は、火山および火山活動を研究対象とする学問である[1]。『火山学は火山をよりよく知るための学問』とする考え方がある[2]

溶岩を採取する研究者

概要

編集

火山とそれに伴う地質学的現象を対象とする学問分野であり、様々な研究手法が用いられる。層序学、岩石学、地形学、年代学などの地質学的手法、地震学、地磁気学などの地球物理学的手法、火山ガスなどの地球化学的手法などが代表的であるが、水文学や歴史文献学的な手法も駆使され、用いられる学問分野は非常に広い。

火山学に期待されているテーマのひとつに、噴火予知がある。噴火を予測することは多くのを救うことにつながる。現在、予知のための正確な方法はないが、火山性地震や微動、地盤の傾斜、空振噴気火映、小規模噴火などの発生状況や、最先端技術であるミュオグラフィを使ってマグマの位置を調べ、その可能性を探っている。

 
アイスランドで地層を調べる研究者

研究者が大規模噴火の直前予測をすることができた場合もある。たとえば、有珠山三宅島など周期的な噴火の記録がある火山では、こうした予測を行いやすい。しかし、2015年の桜島では大正大噴火以来の大規模噴火を予測し、島民が避難するまでに至ったが噴火は起こらなかった。

地震ならば「プレート境界型の地震」というように、一括りに論じることもある程度可能だが、対する火山は、山ごとに特徴が異なるため、まずは火山現象の観測に努め、それをもとに研究を進めることが多い。火山観測所に観測員を常駐させるなどして、経験的・統計的に火山活動が論じられることが多い一方で、噴火活動を論ずるのに、1950年代に提唱された「茂木モデル」(茂木清夫) が現在でも主として用いられるなど、理論的には未成熟な部分が多い。

歴史

編集

火山学者

編集

火山学者(かざんがくしゃ、: volcanologist)は、火山の噴火を調査するため、しばしば活発に活動している火山に足を踏み入れ、テフラ岩石、溶岩のサンプルを採取する。火山学者は、調査中に突然の噴火が起こることから、最も危険な科学的な職業のうちの一つである。

フランスの火山学者カティアとモーリス・クラフト夫妻は、日本雲仙普賢岳で調査中に亡くなっている。

脚注

編集
  1. ^ 吉田ほか 2017, p. 2.
  2. ^ 岩崎岩次、「火山学とは何か」 『火山.第2集』 1965年 10巻 10Special号 p.15-20, doi:10.18940/kazanc.10.10Special_15

参考文献

編集
  • 吉田武義・西村太志・中村美千彦『火山学』共立出版〈現代地球科学入門シリーズ〉、2017年。ISBN 978-4-320-04715-0 

関連項目

編集

外部リンク

編集