浮気娘
「浮気娘」(うわきむすめ、原題 : Run for Your Life)は、ビートルズの楽曲である。1965年に発売された6作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、主にジョン・レノンによって書かれた楽曲。作者であるレノンは、本作について「ビートルズ時代で最も嫌いな曲」と語っている。後にナンシー・シナトラ、ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズらによってカバーされた。
「浮気娘」 | ||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『ラバー・ソウル』 | |||||||||
英語名 | Run for Your Life | |||||||||
リリース | 1965年12月3日 | |||||||||
録音 |
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ジャンル | ||||||||||
時間 | 2分18秒 | |||||||||
レーベル | パーロフォン | |||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||
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歌詞
編集歌詞は、彼女を「自分の所有物」と捉える嫉妬深い男性の心情を主題としたもので、冒頭の「I'd rather see you dead little girl, than to be with another man(他の男に取られるくらいなら、死んでくれた方がマシさ)」というフレーズは、エルヴィス・プレスリーの初期の楽曲「ベイビー・レッツ・プレイ・ハウス」から引用したものである[3][4][5]。歌詞についてレノンは、1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューで、「プレスリーの曲から歌詞を拝借した。『I'd rather see you dead little girl, than to be with another man(他の男といっしょにいる君を見るくらいなら、君の死んだ姿を見たほうがいいよ、ぼくのかわい娘ちゃん)』というラインはプレスリーが歌ってた古いブルースの一節だよ」と語っている[6][7]。
レノンは、ビートルズ解散後の1971年に嫉妬深い自身の性格を詫びる歌詞が付けられた楽曲「ジェラス・ガイ」をソロ名義で発表した。
レコーディング
編集「浮気娘」のレコーディングは、1965年10月12日にEMIレコーディング・スタジオで行われた。この日はアルバム『ラバー・ソウル』のためのレコーディング・セッションの初日にあたり、本作は同セッションで最初にレコーディングされた楽曲となり、同日に「ノルウェーの森」のレコーディングも行われた[8]。
本作は、ブルースの要素を取り入れた6小節のギターのデュエットや、ヴァースとリフレインで構成されている[4]。リフレイン部分は3声コーラスとなっており、これを取り入れた他の『ラバー・ソウル』収録曲と同様にマッカートニーが高音部を歌っている[4]。
リリース・評価
編集「浮気娘」は、1965年12月3日にパーロフォンより発売されたオリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』を締めくくる楽曲として収録された[4]。レノンは1970年の『ローリング・ストーン』誌のインタビューで「『浮気娘』を好きだったことはない。途中で作るのをやめてしまった曲だから[5]」と語っていて、1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューではジョージ・ハリスンのお気に入りの楽曲の1つであったことも明かしている[7]。
音楽評論家のイアン・マクドナルドは、本作におけるボーカルを否定的に見ていて、ギターの演奏について「ところどころ音を外れていて、同様に粗いが、鋭くもシンプルなブルース調のソロは、ハリスンではなくレノン自身が弾いていることを示唆している」と評している[9] 。『オールミュージック』のトーマス・ワードは、「間違いなく『ラバー・ソウル』で最も弱い」「レノン=マッカートニーの全作品の中で劣っている楽曲」とし、歌詞については「古くさい」、メロディについては「当たり障りがなくつまらない」と批判している。また、レノンのボーカルとハリスンのギター・パートを称賛する一方で、「ビートルズの最も不要な楽曲で救いようがない」と評している[10]。
クレジット
編集※出典[9]
- ジョン・レノン - ボーカル、12弦アコースティック・ギター、スライドギター
- ポール・マッカートニー - ハーモニー・ボーカル、ベース
- ジョージ・ハリスン - ハーモニー・ボーカル、エレクトリック・ギター(リズムギター)、リードギター
- リンゴ・スター - ドラム、タンバリン
カバー・バージョン
編集- ナンシー・シナトラ - 1966年に発売されたアルバム『Boots』に収録[11]。
- ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズ - 1966年に発売されたアルバム『She's Just My Style』に収録[12]。
- ジョニー・リヴァース - 1966年に発売されたライブ・アルバム『...And I Know You Wanna Dance』に収録[13]。
- カウボーイ・ジャンキーズ - 2005年に発売されたトリビュート・アルバム『This Bird Has Flown – A 40th Anniversary Tribute to the Beatles' Rubber Soul』に収録[14]。
脚注
編集出典
編集- ^ Hamelman, Steven L (2004). But is it Garbage?: On Rock and Trash. University of Georgia Press. p. 11. ISBN 0-8203-2587-2
- ^ Terence John O'Grady (1975). The Music of the Beatles from 1962 to Sergeant Peper's Lonely Hearts Club Band. University of Wisconsin.. p. 283
- ^ Wenner, Jann (1972). Lennon Remembers: The "Rolling Stones" Interviews with John Lennon and Yoko Ono. Harmondsworth, England: Penguin. p. 128. ISBN 0-9007-3510-4
- ^ a b c d Everett 1999, p. 312.
- ^ a b NME Japan 2019.
- ^ 『ジョン・レノンPlayboyインタビュー』集英社、1981年、175頁。ASIN B000J80BKM。
- ^ a b Sheff 1981.
- ^ Everett 1999, p. 308.
- ^ a b MacDonald 2005, p. 162.
- ^ Ward, Thomas. Run For Your Life - The Beatles | Song Info - オールミュージック. 2020年10月27日閲覧。
- ^ Unterberger, Richie. Boots - Nancy Sinatra | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年10月27日閲覧。
- ^ Eder, Bruce. She's Just My Style - Gary Lewis & the Playboys | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年10月27日閲覧。
- ^ Ward, Thomas. And I Know You Wanna Dance - Johnny Rivers | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年10月27日閲覧。
- ^ This Bird Has Flown - Various Artists | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年10月27日閲覧。
参考文献
編集- Everett, Walter (2001). The Beatles as Musicians: The Quarry Men Through Rubber Soul. US: Oxford University Press. ISBN 0-19-514105-9
- MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). ISBN 1-84413-828-3
- “ジョン・レノン、ビートルズで最も好きになれなかった楽曲が明らかに”. NME Japan (BandLab UK Limited). (2019年10月12日) 2020年10月27日閲覧。
- Sheff, David (1981). The Playboy Interviews With John Lennon and Yoko Ono. New York: Playboy Press. ISBN 0-8722-3705-2
外部リンク
編集- Run for Your Life - The Beatles