欧州政治共同体 (2022年)
欧州政治共同体(おうしゅうせいじきょうどうたい、European Political Community, EPC)は、ヨーロッパの将来について政治的・戦略的に議論するため2022年に設立された政府間組織である[1]。2022年10月にチェコのプラハで初めて会合を開き、欧州44か国の代表者と、欧州理事会議長および欧州委員会委員長が出席した[2]。
European Political Community | |
参加国の地図 | |
略称 | EPC |
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設立 | 2022年 |
設立者 | エマニュエル・マクロン |
目的 | ヨーロッパの将来についての政治的・戦略的な議論 |
会員数 | 47か国 |
歴史
編集本共同体は、ロシアによるウクライナ侵攻のさなかであった2022年5月に、フランス大統領のエマニュエル・マクロンによって提案され[3]、同年6月23日 - 24日の欧州理事会会議でマクロンが正式に発表した[4]。参加する44か国の代表者は2022年10月6日にプラハに招集され、第1回目の会合を開いた。ロシアとその同盟国であるベラルーシは意図的に参加国から除外された[5]。
目的
編集本共同体の目的は、特にロシアのウクライナ侵攻に伴うヨーロッパのエネルギー危機に関して[6]、欧州大陸の安全、安定、繁栄を強化するために、大陸全域の欧州諸国のための政策調整プラットフォームを提供し、共通の関心事に対処するための政治対話と協力を促進することである[4]。本共同体には、欧州連合 (EU) の加盟国に加えて、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、アイスランド、モルドバ、トルコ、ウクライナ、イギリスなどの非EU加盟国も含まれる[1]。
サミット
編集EU諸国と非EU諸国が交互に、毎年2回のサミットを開催することが想定されている[1]。第1回サミットは、2022年10月6日 - 7日にプラハで開催され[7]、ユーロビジョン・ネットワークによって生中継された[8]。
2022年9月29日、イギリスは第1回サミットに出席することを発表し、次回のサミットを主催することを申し出た[9]。またモルドバも、次回のサミットを開くことを申し出た[10]。
日付 | 開催国 | 開催都市 | |
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1 | 2022年10月6日 - 7日 | チェコ | プラハ プラハ城 |
2 | 2023年6月1日 | モルドバ | キシナウ ミミ城 |
3 | 2023年10月5日 | スペイン[2] | グラナダ アルハンブラ宮殿[11] |
4 | 2024年7月18日 | イギリス[2] | ウッドストック ブレナム宮殿 |
5 | 2024年11月7日 | ハンガリー | ブダペスト |
6 | 2025年春 | アルバニア | ティラナ |
7 | 2025年秋 | デンマーク | 未定 |
参加国
編集本共同体に参加している国と国際機関は次のとおり[12]。欧州評議会非加盟国であるコソボが参加しているため、46か国が参加する欧州評議会に対し欧州政治共同体は47か国の参加となっている。
EU加盟国
編集その他の参加国
編集国際機関
編集批判と論争
編集AP通信は、「本共同体はEUの拡大にブレーキをかける試みであると評論家は述べている。おそらく年に1 - 2回開催するだけで、本当の影響力や内容を欠いたものになるのではないかと危惧している者もいる」と報道し[5]、「EUの資金やプログラムは提供されておらず、サミット後に正式な宣言が発行されることもない。2回目の会議が実際に行われるかどうかで、本共同体が成功であるかが決まる可能性が高い」と結論づけた[5]。
本共同体の創設は、欧州評議会を「困惑させた」と伝えられており、同評議会の広報担当者は「人権、民主主義、法の支配の分野では、欧州評議会という汎欧州共同体がすでに存在している」と発言した[5]。本共同体の特徴は、ロシアとベラルーシが意図的に除外されていること[5]だが、それは必ずしも本共同体を新たに創設する必要性の説明にはならない。ロシアは欧州評議会を脱退しており、ベラルーシは非加盟国として部分的な参加しかしていない。
脚注
編集- ^ a b c Tidey, Alice (2022年10月5日). “What we know and don't know about the new European Political Community” (英語). euronews 2022年10月6日閲覧。
- ^ a b c “Meeting of the European Political Community, 6 October 2022” (英語). www.consilium.europa.eu. (2022年10月6日) 2022年10月6日閲覧。
- ^ Brzozowski (2022年5月9日). “Macron teases alternative to EU enlargement” (英語). www.euractiv.com. 2022年9月8日閲覧。
- ^ a b “Conclusions du Conseil européen, 23 et 24 juin 2022 - Présidence française du Conseil de l'Union européenne 2022” (フランス語). Présidence française du Conseil de l'Union européenne. 2022年9月20日閲覧。
- ^ a b c d e Lorne Cook; Karel Janicek; Sylvie Corbet (2022年10月6日). “Europe holds 44-leader summit, leaves Russia in the cold”. AP通信 2022年10月6日閲覧。
- ^ Cohen, Roger (2022年10月6日). “Macron’s New Europe Debuts in the Shadow of War” (英語). ニューヨーク・タイムズ. ISSN 0362-4331 2022年10月6日閲覧。
- ^ “Informal meeting of heads of state or government, Prague, 6-7 October 2022” (英語). www.consilium.europa.eu. 2022年9月8日閲覧。
- ^ “Eurovision Services: Informal EU 27 Summit and Leaders Meeting within the European Political Community” (英語). www.eurovision.net (2022年7月10日). 2022年9月8日閲覧。
- ^ “Brexit Britain wants to come back” (英語). POLITICO (2022年9月29日). 2022年9月30日閲覧。
- ^ “What is the European Political Community?” (英語). House of Commons Library (2022年10月6日). 2022年10月8日閲覧。
- ^ “Granada será 'capital de Europa' con dos cumbres los días 5 y 6 de octubre” (スペイン語). IDEAL. (2023年2月15日) 2023年10月5日閲覧。
- ^ “European Political Community”. Czech Presidency of the Council of the European Union. 2022年10月7日閲覧。