横浜野村ビル

横浜市西区のビル

横浜野村ビル(よこはまのむらビル)は、神奈川県横浜市西区みなとみらいにあるオフィスビル野村総合研究所(NRI)が横浜地区の拠点として、「横浜総合センター」を開設している[1]

横浜野村ビル
Yokohama Nomura Building
南西側(みなとみらい大通り側)外観
南西側みなとみらい大通り側)外観
横浜野村ビルの位置(横浜市内)
横浜野村ビル
情報
用途 オフィス店舗
設計者 清水建設株式会社一級建築士事務所
施工 清水建設株式会社
建築主 野村不動産株式会社
構造形式 鉄骨造免震構造)
敷地面積 8,962.40 m²
建築面積 5,573.97 m²
延床面積 81,546.99 m²
階数 地上17階
高さ 89 m
駐車台数 172台(時間貸機械式駐車場
着工 2015年3月
竣工 2017年1月
開館開所 2017年6月
所在地 220-0012
神奈川県横浜市西区みなとみらい4-4-1
座標 北緯35度27分34.1秒 東経139度37分38.4秒 / 北緯35.459472度 東経139.627333度 / 35.459472; 139.627333 (横浜野村ビル
Yokohama Nomura Building
)
座標: 北緯35度27分34.1秒 東経139度37分38.4秒 / 北緯35.459472度 東経139.627333度 / 35.459472; 139.627333 (横浜野村ビル
Yokohama Nomura Building
)
テンプレートを表示

概要

編集

当ビルはみなとみらい地区内主要幹線道路みなとみらい大通り沿い(同地区の46街区)に立地しており、同街区内のオフィスビル「横浜ブルーアベニュー」および「横浜アイマークプレイス」に隣接している(詳細は後節)。

国内最大級の基準階面積(4,000m2以上)を誇るオフィスビルとして開発され、2017年平成29年)1月に竣工、翌2月13日には竣工式が執り行われている[2][3]

当ビルは発電機の廃熱を空調に利用したコージェネレーションシステムを導入するなどその高い環境性能により[4]グリーンビルディングとしてCASBEEのSランクやLEED Gold、DBJ Green Building認証の5つ星、SEGESの認証を取得している[5]2022年令和3年)4月には三菱UFJ銀行によるグリーンローン(ノンリコースローン)を実行し、米モルガン・スタンレーの関連会社が組成する不動産私募ファンドにより設立されたピーピーエフエー・ジャパン・シックス特定目的会社野村不動産グループがステークホルダーとして関与)が当ビルを取得した[4][6]

計画の発表から着工、完成までの経緯

2007年(平成19年)、同街区を対象に実施された開発事業者の公募で、4件あった提案の中から野村不動産と野村ホールディングスによる当ビルの計画(NOMURA横浜プロジェクト46)が選定された[7]。この段階では2009年(平成21年)の着工、2011年(平成23年)の竣工および開業を予定しており、建物の高さも150m級(地上30階、外観のイメージパースも実際に完成したものと大きく異なる)の計画であった[8]。しかしその後もなかなか着工には至らず、幾度も工期の延期と開発規模を含む計画の見直しが行われることとなる。

2000年代末期のこの頃はリーマン・ショックによる世界的な景気後退などの影響もあり、みなとみらい地区においても2008年3月にセガ複合娯楽施設の計画(55〜58街区)を中止にした[9]ほか、開発事業者もしくは開発グループの一社の倒産により中止に追い込まれたモリモトによるオフィスビル開発(43街区南区画)[10][注 1]新港地区のアーバンリゾートホテル計画(4街区)[11][注 2]、更には当ビルの開発計画と同時に選定されたCSKグループの本社ビル開発計画(43街区北区画)[7]も2009年2月に中止となる[12]など、ちょうど計画・開発の中止が相次いだ時期に当たる[13](「横浜みなとみらい21#中止となった開発計画」も参照)。

当ビルの計画については中止となることはなかったが、2010年には2012年(平成24年)の着工予定に延期となり[14]、さらに2014年3月時点の情報[15]では同年(平成26年)の着工、2016年(平成28年)の竣工予定となっていた。また、建物の規模についても当初の高さ約150mから約130m(地上26階)、2010年時点で約109m(地上21階)と縮小発表が続き[14][16][17]、実際に開発された当ビルの高さは89m(地上17階)となっている[16][17]

選定されてから実に7年間計画が動き出すことはなかったが、当ビルの開発に向けた準備工事として2014年9月1日より清水建設の施工で地中障害等の撤去工事に着手し[18]、当ビルの建築計画に関する標識も設置された。そして当初の計画より約6年遅れとなる2015年(平成27年)3月に同社の施工[注 3]で当ビルの本着工に至り[19][20]、前述のとおり2017年(平成29年)1月には無事竣工を迎えている[2][3]

なお、竣工前の2016年12月には、清水建設がビル内の照明を使ったクリスマス窓文字演出を実施している[21][22]

災害対策・環境性能

編集

当ビルは以下のBCP性能や環境性能を備えており、CASBEE SランクやSEGESなどの認証を取得している[2]

主なテナント

編集

オフィスエリア

編集

冒頭の通り、野村総合研究所が横浜地区の拠点(オフィス)を中心として当ビル内に移転集約し[24]、「横浜総合センター」を開設している[1]。また同社の取り組みとして、社員が利用できる事業所内保育所(運営:テンプスタッフ・ウィッシュ)を当ビルの低層部テナントエリア(下記参照)にて2017年6月に開設している[25]

低層部テナント

編集

低層部(地上1階部)には7つの商業店舗テナント等が入居(上記の事業所内保育所を含む、当初の8つのテナントは2017年6月開業)している[2][3][26][27]。なお、北側と西側に4テナントずつ入居し、うち北側の1テナントは敷地内の別棟(当ビル屋外)に入っている。

テナントの詳細は公式サイトを参照
北側
西側
閉店

アクセス

編集
鉄道

ギャラリー

編集
ビルの外観(2017年5月)
低層部・オープンスペース(2017年5月〜6月)

その他

編集

みなとみらい地区の46街区は3区画に分かれており、当ビル(街区内の南西区画に位置する)の北側区画にはオフィスビル「横浜ブルーアベニュー」(2009年12月竣工/高さ84.3m)、東側区画(ジャックモール跡地)にはオフィスビル「横浜アイマークプレイス」(2014年3月竣工/高さ65.5m)が所在している[31]

また、みなとみらい大通りを挟んで向かい側の47街区(南区画)には村田製作所研究開発拠点「みなとみらいイノベーションセンター」(2020年10月竣工/高さ99.95m)があるが、当ビル付近から同拠点に先行整備された2階デッキまで歩行者横断デッキを整備する計画もあり、将来的には桜木町駅方面(動く歩道から分岐)からデッキレベルで接続される見込みである[31][32]

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ モリモトが2008年11月に民事再生法の適用を申請したため、建設途中のまま開発が中止された。なお、開発の中止とその後の経緯については「PRYME GALLERY みなとみらい」(跡地に開発された暫定商業施設)の項目も参照のこと。
  2. ^ 特別目的会社の一社であるパシフィックホールディングスが2009年3月に会社更生法の適用を申請し事業から撤退したため、共に事業を進めていた五洋建設が同年8月に計画の中止を決断した。
  3. ^ 設計・施工清水建設、建築主は野村不動産[2]

出典

編集
  1. ^ a b NRI国内拠点アクセスマップ:野村総合研究所 横浜総合センター(株式会社野村総合研究所)
  2. ^ a b c d e 国内最大級の基準階床面積 「横浜野村ビル」 竣工 (PDF) (野村不動産株式会社〈プレスリリース〉 2017年2月13日)
  3. ^ a b c みなとみらい21地区46街区に「横浜野村ビル」が完成 国内最大級のオフィスビル(ヨコハマ経済新聞 2017年2月14日)
  4. ^ a b モルガン・スタンレーが組成する不動産私募ファンドによる「横浜野村ビル」取得に係る「グリーンローン」を実行 (PDF) (株式会社三菱UFJ銀行 2022年4月8日)/ピーピーエフエー・ジャパン・シックス特定目的会社 グリーンローン・フレームワーク〈借入人であるピーピーエフエー・ジャパン・シックス特定目的会社とモルガン・スタンレー、モルガン・スタンレー・キャピタル、野村不動産グループ、野村不動産投資顧問の関係〉 (PDF) (モルガン・スタンレー 2022年4月5日)
  5. ^ NRIグリーンボンド(野村総合研究所 (NRI))
  6. ^ 日経不動産マーケット情報:【売買】みなとみらいの大型オフィスを取得、モルガン・スタンレー(2021年9月30日)/【売買】みなとみらいの大型オフィスを一棟所有に、モルガン・スタンレー(2022年5月18日)
  7. ^ a b みなとみらい21中央地区43街区、46街区の開発事業者募集の審査結果についてアーカイブ〉(横浜市経済局 平成19年 (2007年) 10月19日)
  8. ^ みなとみらい21中央地区46街区 情報先端企業の新戦略拠点 『横浜野村ビル』アーカイブ〉(横浜市都市整備局・港湾局 平成19年 (2007年) 10月19日)
  9. ^ セガの「みなとみらい21」大型娯楽施設、開発中止(ITmediaニュース 2008年3月28日)
  10. ^ 【市況】横浜・みなとみらいで開発の延期や凍結が相次ぐ(日経不動産マーケット情報 2009年7月29日)
  11. ^ みなとみらい21地区に日本初進出の「Wホテル」が開発中止に(ヨコハマ経済新聞 2009年8月10日)
  12. ^ CSK、みなとみらい21地区43街区の本社ビル建築計画を中止(ヨコハマ経済新聞 2009年2月14日)
  13. ^ MM21、開発失速、CSKも本社ビル建設中止――横浜市、違約金18億円徴収。(日本経済新聞 2009年2月14日/ 建築・建材展:ニュースより)
  14. ^ a b みなとみらい21中央地区46街区『横浜野村ビル』(仮称) 開発計画の変更についてアーカイブ (PDF) (横浜市都市整備局・港湾局 平成22年 (2010年) 3月26日)
  15. ^ 「みなとみらい21 Information」 vol.85 (PDF) (2014年3月発行 企画・発行元:横浜市都市整備局みなとみらい21推進課、横浜市港湾局資産活用課、一般社団法人横浜みなとみらい21
  16. ^ a b (仮称)横浜野村ビル計画は地上17階、高さ89mで2015年3月着工(超高層マンション・超高層ビル 2014年12月7日)
  17. ^ a b 横浜みなとみらい21地区 外観が完成したみなとみらいエリア最大級のオフィスビル「横浜野村ビル」(東京・大阪 都心上空ヘリコプター遊覧飛行 2016年10月13日)
  18. ^ MM21・46街区 開発に向け準備工事に着手(建通新聞〈電子版〉 2014年9月1日神奈川)
  19. ^ a b ~コージェネレーションシステムの採用等により、高い BCP 性能を実現~ みなとみらいエリア最大級 『横浜野村ビル』着工 (PDF) (野村不動産株式会社〈プレスリリース〉 2015年2月27日)
  20. ^ MM46街区横浜野村ビル 清水で3月着工(建通新聞〈電子版〉 2014年11月10日神奈川)
  21. ^ 建設中ビルに赤鼻のトナカイ 横浜みなとみらい(神奈川新聞〈カナロコ〉 2016年12月22日)
  22. ^ ビル内照明で描いたクリスマスデザインに感激!細部まで工夫を凝らした傑作(横浜野村ビル)(はまこれ横浜 2016年12月4日)
  23. ^ 野村不動産、みなとみらいでエリア最大級のオフィスビル「横浜野村ビル」を着工(財経新聞 2015年3月2日)
  24. ^ 横浜のオフィス賃料、名古屋抜く 6年ぶり(日本経済新聞 2016年10月25日)
  25. ^ 横浜みなとみらい21地区に事業所内保育所を開設(株式会社野村総合研究所〈ニュースリリース〉 2016年10月31日)
  26. ^ 横浜野村ビルに飲食店がオープン | テナント・店舗情報をまとめました(人生メンテナンす 2017年6月18日)
  27. ^ 横浜野村ビル(みなとみらい)にオープンした飲食店一覧 全5店舗!(はまこれ横浜 2017年6月17日)
  28. ^ 女性専用フィットネス、横浜MM21に(神奈川新聞〈カナロコ〉 2017年5月3日)
  29. ^ 「餃子の王様 龍吟 みなとみらい店」が横浜野村ビルにオープン予定!リーズナブルな中華(はまぴた 2021年5月1日)
  30. ^ ジープ、横浜みなとみらいに新店舗オープン ヘグストロム社長が未発表の新型モデル年内デビューを予告(Car Watch, 2022年7月29日)
  31. ^ a b 「みなとみらい21 Information」 vol.92 (PDF) (2021年3月発行 企画・発行元:横浜市都市整備局みなとみらい21推進課、横浜市港湾局管財第一課、一般社団法人横浜みなとみらい21
  32. ^ 桜木町駅からどこまでデッキが伸びる!? 「ウェスティンホテル横浜」がまもなく着工~みなとみらいレポートはまれぽ.com 2019年1月22日)

参考文献・情報

編集

関連項目

編集

外部リンク

編集