柴朴湯
柴朴湯(さいぼくとう)は漢方処方 の一つ。小柴胡湯と半夏厚朴湯の合方[注釈 1]で、小柴胡湯合半夏厚朴湯とも称した[3]。
効果・効能
編集いずれも気滞[注釈 2]に効果がある小柴胡湯と半夏厚朴湯を合わせた処方で、のど、胸部、脇腹と守備範囲が広いことが特徴である[5]。体力中程度の者に対し[6]のど・食道の異物感、慢性の咳による息苦しさ、去痰に有効で、気管支喘息による胸部の不快感に補助的に用いることも可能である[5]。
同様に気滞に効く合方には、小柴胡湯と香蘇散を合わせた柴蘇飲がある[5]。小柴胡湯と五苓散の合方である柴苓湯が明の時代に著された『万病回春』を出典とするのに対し[3]、柴朴湯と柴蘇飲は『本朝経験方』、すなわち日本で経験的に用いられてきた処方である[7]。
組成
編集柴胡7、半夏5-8、生姜1-2(ヒネショウガを使用する場合3-4)、黄芩3、大棗3、人参3、甘草2、茯苓4-5、厚朴3、蘇葉2-3
副作用
編集胃の不快感、膀胱炎様症状、発疹・発赤・かゆみが生じることがある。重い副作用として間質性肺炎[注釈 3]や、甘草が含まれることから偽性アルドステロン症が生じる場合がある[9]。
製薬会社
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 漢方薬の話:合方(ごうほう、がっぽう)について(ひらやま脳神経外科)
- ^ 早坂正孝、片山潤、猪岡京子、村井ユリ子、斎藤邦人、水柿道直「漢方エキス製剤の合方に関する調査」(PDF)『病院薬学』第17巻第5号、日本医療薬学会、1991年10月20日、361-365頁、2024年7月1日閲覧。
- ^ a b “第79回 漢方処方解説(40)柴朴湯”. 名城大学 (2021年5月17日). 2024年7月1日閲覧。
- ^ 気滞タイプ(クラシエ漢方セラピー)
- ^ a b c (田中 2020, p. 203)
- ^ “一般用漢方製剤製造販売承認基準について” (PDF). 厚生労働省医薬・生活衛生局長 (2017年3月28日). 2024年6月21日閲覧。
- ^ “漢方医学を伝えてきた文献 (2)”. 一般社団法人 女性とこどもの漢方学術院. 2024年7月1日閲覧。
- ^ “医薬品等安全性情報 No.146”. 厚生省医薬安全局 (1998年3月). 2024年7月1日閲覧。
- ^ a b “柴朴湯”. おくすり110番. 2024年7月1日閲覧。
参考文献
編集- 田中耕一郎『生薬と漢方薬の事典』日本文芸社、2020年、203頁。ISBN 978-4-537-21780-3。