柳町 (鹿児島市)
柳町(やなぎまち[3])は、鹿児島県鹿児島市の町[4]。旧薩摩国鹿児島郡鹿児島城下上町柳町、地蔵町。郵便番号は892-0819[5]。人口は1,397人、世帯数は880世帯(2020年10月1日現在)[6]。
柳町 | |
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町丁 | |
多賀山公園から望む柳町 | |
北緯31度36分13秒 東経130度33分51秒 / 北緯31.603639度 東経130.564278度座標: 北緯31度36分13秒 東経130度33分51秒 / 北緯31.603639度 東経130.564278度 | |
国 | 日本 |
都道府県 | 鹿児島県 |
市町村 | 鹿児島市 |
地域 | 中央地域 |
地区 | 上町地区 |
人口情報(2020年(令和2年)10月1日現在) | |
人口 | 1,397 人 |
世帯数 | 880 世帯 |
郵便番号 | 892-0819 |
市外局番 | 099 |
ナンバープレート | 鹿児島 |
運輸局住所コード[2] | 46500-0091 |
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1967年(昭和42年)より柳町の全域で住居表示を実施している[7][8]。また、住居表示実施に伴う町の再編により町の全部が廃止され、柳町・浜町の一部となっている栄町(さかえまち[9])についても本項で述べる。
地理
編集鹿児島市の中部、稲荷川の下流域に位置する。町域の北方には大竜町、北方から東方にかけて春日町、南方には浜町、西方には上本町にそれぞれ接している。
鉄道は町域の南端に鹿児島駅に接しており、北方向には日豊本線、西方向には鹿児島本線がそれぞれ通っている。道路は町域の北部を国道10号が東西に通っている。
地名の由来
編集柳町という町名は現在の浜町や祇園之洲が埋立てられる前はこの付近が海岸となっており、海岸線の堤防に柳を植えていたことに由来する[4]。
歴史
編集江戸時代
編集柳町及び栄町は江戸時代から見える地名であり、薩摩国鹿児島郡鹿児島城下上町のうちであった[10][9]。江戸時代の栄町は地蔵町と称していた[11]。
柳町と築地(現在の浜町の一部)との間は運河となっており、船溜となっていた[10]。薩摩藩の国学者である白尾国柱によって著された「倭文麻環」によると柳町について以下のように記されており、漁港の様相を呈していたという[10]。
今の蛭児社の辺を築島と称ふ、是より浜つづきに堤ありて、柳を植られぬる程に、そが町となりしをば柳町と名け、後又魚屋立て小魚屋と呼べり、蛭児祠の後ろの小路を苙口といふ、是も本は卸口にて海に下るの卸門なり—倭文麻環
明治時代から住居表示実施まで
編集明治時代前期の柳町は平民が多く住んでおり、町人街であった[12]。明治4年に江戸時代から明治時代初期までの地蔵町は、「栄町」に改称した[11]。栄町という町名については港町の更なる繁栄を願って命名された[13]。
1888年(明治21年)に公布された市制(明治21年法律第1号)に基づき、1889年(明治22年)2月2日に官報に掲載された「 市制施行地」(内務省告示第1号)によって鹿児島が市制施行地に指定された[14]。3月5日には鹿児島県令第26号によって鹿児島郡のうち50町村が市制による鹿児島市の区域と定められ[15]、4月1日に市制が施行されたのに伴い、鹿児島郡50町村(山下町、平之馬場町、新照院通町、長田町、冷水通町、上竜尾町、下竜尾町、池之上町、鼓川町、稲荷馬場町、清水馬場町、春日小路町、車町、恵美須町、小川町、和泉屋町、浜町、向江町、栄町、柳町、易居町、中町、金生町、東千石馬場町、西千石馬場町、汐見町、泉町、築町、生産町、六日町、新町、松原通町、船津町、呉服町、大黒町、堀江町、住吉町、新屋敷通町、加治屋町、山之口馬場町、樋之口通町、薬師馬場町、鷹師馬場町、西田町、上之園通町、高麗町、下荒田町、荒田村、西田村、塩屋村)の区域より鹿児島市が成立した[15]。柳町、栄町はそれぞれ鹿児島市の町となった[4][9]。
1910年(明治43年)3月5日には柳町で火災が発生し、柳町において57戸が全焼する被害があった[16]。大正時代に栄町に大蔵省専売局鹿児島製造所が置かれた[13][9]。
第二次世界大戦中の1945年(昭和20年)7月27日には、アメリカ軍の爆撃機によって鹿児島駅周辺一帯に対しての爆撃が行われ、鹿児島駅に停車中の列車に爆弾が直撃したほか、柳町に加えて近隣の車町、恵美須町、和泉屋町にも被害が及び死者420名、負傷者650名を出す惨事となった(鹿児島大空襲)[17]。
第二次世界大戦後の1947年(昭和22年)に日本国有鉄道九州地方自動車部鹿児島自動車営業所が柳町に営業所を設置した[18]。また、1951年(昭和26年)には鹿児島市電上町線は柳町電停から春日町電停まで延伸した[18]。
住居表示実施と町の再編
編集1962年(昭和37年)に住居表示に関する法律が施行されたのに伴い、鹿児島市は鹿児島市街地域の住居表示に着手した[7]。1967年(昭和42年)11月1日に上町地区の一部において住居表示が実施され、住居表示の実施に伴い町の再編が行われた[19][7]。栄町のうち一部が柳町に、それ以外は浜町に編入された[9]。また柳町に春日町の一部を編入し、同時に柳町の一部を春日町に編入した[4]。これにより栄町が廃止された[19][7]。
町域の変遷
編集分割・統合実施後 | 分割・統合実施年 | 分割・統合実施前 |
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柳町(一部) | 1967年(昭和42年) | 栄町(一部) |
春日町(一部) | ||
春日町(一部) | 柳町(一部) | |
浜町(一部) | 栄町(残部) |
人口
編集資料情報
編集明治時代初期から昭和時代初期にかけての柳町の人口は以下のとおりである。但し現在の柳町とは1967年(昭和42年)に町の区域の再編が行われているため、区域が異なる。
統計年次〔年〕 | 世帯数〔世帯〕 | 総人口〔人〕 | 備考 |
---|---|---|---|
1881年(明治14年) | 490 | - | [20] |
1908年(明治41年) | 222 | 1,007 | [4] |
1922年(大正11年) | 152 | 1,266 | [4] |
1935年(昭和10年) | 131 | 661 | [4] |
国勢調査
編集以下の表は国勢調査による小地域集計が開始された1995年以降の人口の推移である。
年 | 人口 |
---|---|
1995年(平成7年)[21] | 1,045
|
2000年(平成12年)[22] | 919
|
2005年(平成17年)[23] | 1,182
|
2010年(平成22年)[24] | 1,532
|
2015年(平成27年)[25] | 1,421
|
2020年(令和2年)[6] | 1,397
|
施設
編集公共
編集教育
編集その他
編集教育
編集小・中学校の学区
編集市立小・中学校に通う場合、学区(校区)は以下の通りとなる[31]。
町丁 | 番・番地 | 小学校 | 中学校 |
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柳町 | 全域 | 鹿児島市立清水小学校 | 鹿児島市立清水中学校 |
交通
編集道路
編集鉄道
編集町域の南端から東端にかけて九州旅客鉄道の鹿児島本線及び日豊本線が南北に通っており、町の境界は鹿児島駅の構内に接している。
1929年(昭和4年)から1985年(昭和60年)まで鹿児島市電上町線が町域の北端の道路上を東西に通っており、町域内には柳町電停が所在していた。
脚注
編集- ^ “日本 町字マスター データセット”. デジタル庁 (2022年3月31日). 2022年4月29日閲覧。
- ^ “自動車登録関係コード検索システム”. 国土交通省. 2021年4月26日閲覧。
- ^ “鹿児島市の町名”. 鹿児島市. 2020年7月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 1983, p. 631-632.
- ^ “鹿児島県鹿児島市柳町の郵便番号”. 日本郵便. 2020年8月4日閲覧。
- ^ a b “国勢調査 令和2年国勢調査小地域集計 (主な内容:基本単位区別,町丁・字別人口など)46:鹿児島県”. 総務省統計局 (2022年2月10日). 2022年2月10日閲覧。
- ^ a b c d 鹿児島市史編さん委員会 1970, p. 742.
- ^ “住居表示実施区域町名一覧表”. 鹿児島市 (2020年2月3日). 2020年6月28日閲覧。
- ^ a b c d e 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 1983, p. 303.
- ^ a b c 芳即正 & 五味克夫 1998, p. 162-163.
- ^ a b 芳即正 & 五味克夫 1998, p. 162.
- ^ 鹿児島市史編さん委員会 1969, p. 771.
- ^ a b 山下悟 2011.
- ^ 市制施行地(明治22年内務省告示第1号、明治22年2月2日、 原文)
- ^ a b 鹿児島市史編さん委員会 1970, p. 3.
- ^ 鹿児島市史編さん委員会 1970, p. 770.
- ^ 鹿児島市史編さん委員会 1970, p. 778.
- ^ a b 鹿児島市史編さん委員会 1970, p. 576.
- ^ a b “かごしま市政だより(昭和42年12月号)” (PDF). 鹿児島市 (1967年12月5日). 2020年7月26日閲覧。
- ^ 県地誌
- ^ “国勢調査 / 平成7年国勢調査 小地域集計 / 小地域集計 46鹿児島県”. 総務省統計局. 2021年1月31日閲覧。
- ^ “国勢調査 / 平成12年国勢調査 / 小地域集計 46鹿児島県”. 総務省統計局. 2021年1月31日閲覧。
- ^ “国勢調査 / 平成17年国勢調査 / 小地域集計 46鹿児島県”. 総務省統計局. 2021年1月31日閲覧。
- ^ “国勢調査 / 平成22年国勢調査 / 小地域集計 46鹿児島県”. 総務省統計局. 2021年1月31日閲覧。
- ^ “国勢調査 / 平成27年国勢調査 / 小地域集計 46鹿児島県”. 総務省統計局. 2021年1月31日閲覧。
- ^ “柳町福祉館”. 鹿児島市. 2020年8月4日閲覧。
- ^ 南日本新聞 2015, p. 646.
- ^ “ひとり親家庭なのですが、病気等で一時的に介護等が必要となった場合に支援を受けることはできますか。”. 鹿児島市. 2020年8月4日閲覧。
- ^ “園の紹介”. 社会福祉法人鹿児島県社会福祉事業団. 2020年8月4日閲覧。
- ^ “会社概要”. JR九州バス株式会社. 2020年8月4日閲覧。
- ^ “小・中学校の校区(学区)表”. 鹿児島市役所. 2020年9月26日閲覧。
参考文献
編集- 鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅰ』 1巻、鹿児島市、1969年2月28日 。, Wikidata Q111372666
- 鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅱ』 2巻、鹿児島市、1970年3月25日 。, Wikidata Q111372706
- 南日本新聞『鹿児島市史Ⅴ』 5巻、鹿児島市、2015年3月27日 。, Wikidata Q111372912
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 46 鹿児島県」『角川日本地名大辞典』第46巻、角川書店、日本、1983年3月1日。ISBN 978-4-04-001460-9。, Wikidata Q111291392
- 芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。ISBN 978-4582910544。
- 山下悟「373ワイド 鹿児島市の消えた13町を訪ねなさい 地域の歴史今も刻む」『南日本新聞』2011年9月9日、15面。