東山洪積世植物遺体包含層

東山洪積世植物遺体包含層(ひがしやまこうせきせいしょくぶついたいほうがんそう)は、京都府京都市東山区にある更新世の植物化石を含んだ地層露頭である[1]

東山洪積世植物遺体包含層。2018年9月9日撮影。

本露頭の地層は更新世前期に大阪湾から京都盆地まで海水が侵入していた内湾堆積物であり[2]絶滅した種の植物化石を多く含んでいることから学術上の価値が高く[3]1943年昭和18年)2月19日に国の天然記念物に指定された[2]

解説

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東山
洪積世
植物遺体
包含層
東山洪積世植物遺体包含層の位置
 
天然記念物指定の石碑。2018年9月9日撮影。
 
東山洪積世植物遺体包含層。2018年9月9日撮影。
 
正法寺山門。2018年12月23日撮影。

東山洪積世植物遺体包含層は、京都府京都市東山区今熊野南日吉町にある浄土宗西山禅林寺派正法寺[† 1]境内の一角に位置しており、当天然記念物の所有者ならびに管理者は当寺院である[2]。正法寺は東大路通の今熊野交差点から京都府道118号勧修寺今熊野線(通称、醍醐道、新醍醐道、山科街道、滑石街道)を東方向へ登った坂道の左側(北側)にある。付近一帯は京都盆地東縁の東山西側山腹斜面に住宅が密集する市街地であり、正法寺境内および本堂の直下を東海道新幹線東山トンネルが東西方向に貫いている。

天然記念物に指定された露頭は正法寺境内南西の一角にある高さ約2メートル、幅3メートル程の小規模なもので、表面には海成粘土層、上部に砂質シルト層が見られる[3]1943年昭和18年)の天然記念物指定当時は瓦土壁土の採土場であった[2]

1948年(昭和23年)に行われた調査によれば、アマミゴヨウゴヨウマツクロマツサワラツガなど針葉樹毬果種子のほかに、絶滅種の浮葉植物であるシリブトビシTrapa macropoda、同じく絶滅種の広葉樹であるコナンキンハゼSapium sebiferumvar.pleistoceaca、コウセキハマナツメPaliurus nippon-icus、シキシママンサクHamamelis parrotioides、アミメサワフタギSymplocos reticulata などの化石が確認された[2][3]

指定名称の東山洪積世植物遺体包含層の「洪積世」とは指定当時に使用されていた地質時代用語で、今日では更新世と呼ばれている。京都盆地東端から南東部一帯の地質は中部更新統[† 2]大阪層群[4]深草層の上部が分布しており、東山から深草伏見一帯にかつてあった採土場の露頭からは多数の植物化石が産出されていたが、今日では市街化によりこれらの露頭のほとんどが消失している[3]

交通アクセス

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所在地
  • 京都府京都市東山区今熊野南日吉町[1]
交通

脚注

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注釈

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  1. ^ 同じ東山区にある時宗系寺院正法寺 (京都市東山区)と同名であるが別寺院である。
  2. ^ 参考、第四紀期下限変更に伴う諸問題検討に関する報告 日本地質学界 2018年10月5日閲覧。

出典

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  1. ^ a b 東山洪積世植物遺体包含層(国指定文化財等データベース) 文化庁ウェブサイト、2018年10月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e 石田(1995)、p.982、984。
  3. ^ a b c d 竹村・水野・竹内・小松原(2013)、p.105。
  4. ^ 大阪層群 コトバンク、2018年10月5日閲覧。
  5. ^ 新熊野山 正法寺 日本の神社・寺院検索サイト八百万の神。2018年10月5日閲覧。

参考文献・資料

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  • 加藤陸奥雄他監修・石田士朗、1995年3月20日 第1刷発行、『日本の天然記念物』、講談社 ISBN 4-06-180589-4
  • 日本全国天然記念物めぐり(京都府編)”. 辻森樹. 日本地質学会 (2015年3月26日). 2018年10月3日閲覧。
  • 竹村恵二、水野清秀、竹内圭史、小松原琢「京都東南部地域の地質 NCID BB12999007」『地質調査総合センター』、独立行政法人 産業技術総合研究所、2013年4月15日、105頁。 

関連項目

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外部リンク

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座標: 北緯34度59分4.5秒 東経135度46分44.7秒 / 北緯34.984583度 東経135.779083度 / 34.984583; 135.779083