明るい夜に出かけて』(あかるいよるにでかけて)は、佐藤多佳子による小説作品。2016年9月21日新潮社から単行本が刊行され、同年度の第30回山本周五郎賞を受賞した。

明るい夜に出かけて
作者 佐藤多佳子
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 長編小説青春小説
発表形態 書き下ろし
刊本情報
出版元 新潮社
出版年月日 2016年9月21日
総ページ数 284
受賞
第30回山本周五郎賞
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2013年4月から2016年3月まで放送されていたラジオ番組アルコ&ピースのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)シリーズのリスナーたちの交流を描いた青春小説で、単行本のカバーには実際に同番組を収録していたニッポン放送社内のラジオブースの写真が使用されている[1]

著者の佐藤自身も同番組のヘビーリスナーであり、第30回山本周五郎賞の受賞記念パーティでは、祝福に駆けつけたアルコ&ピースの2人から番組内で度々話題に上っていたニューエラベースボールキャップを贈呈された[2][3]

あらすじ

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人間関係のトラブルがきっかけで逃げるように大学休学し、金沢八景コンビニエンスストア夜勤アルバイトをしながら独り暮らしを始めた富山は、ラジオ深夜放送を聞くことが唯一の趣味だった。

ある日、富山がいつものようにレジ打ちをしていると、客の少女が持っているリュックサックに『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』で優秀なネタを投稿したリスナーにだけ贈られるノベルティの缶バッジカンバーバッヂ」が2個ついていることに気が付く。富山が思わず声を掛けると、少女は番組の常連ハガキ職人「虹色ギャランドゥ」だった。

それ以来「虹色ギャランドゥ」こと佐古田は、富山とラジオの話をするため、毎日のように深夜のコンビニへ来店するようになる。佐古田やアルバイト仲間の鹿沢、高校時代からの友人・永川らとの交流を通じて、富山は少しずつ周囲に心を開き、過去のトラウマや自分の将来と向き合っていく。

登場人物

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富山 一志(とみやま かずし)
本作の主人公。大学を1年で休学し、フリーター生活をしている。かつては「ジャンピング・ビーン」というラジオネームで様々な番組にネタを投稿していた有名ハガキ職人だったが、ネット上に本名を晒されてしまったことで投稿を止めた。『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』を聞き始めてから「トーキング・マン」というラジオネームで再び投稿するようになる。
佐古田 愛(さこだ あい)
中高一貫私立女子校に通う高校2年生。「虹色ギャランドゥ」というラジオネームで『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』にネタを投稿している。
鹿沢 大介(かざわ だいすけ)
富山が働くコンビニエンスストアでアルバイトをしている同僚。23歳。「だいちゃ」という名前でニコニコ動画の「歌い手」として活動している。
永川 正光(ながかわ まさみつ)
富山の高校時代からの友人。富山や佐古田と同じく深夜放送のヘビーリスナー。

作中に登場する実在のラジオ番組

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アルコ&ピースのオールナイトニッポンシリーズニッポン放送
物語のキーとして登場する番組。作中ではオールナイトニッポン1部を担当していた2014年4月から2015年3月までの期間を中心に、実際の放送内容やTwitter上でのリスナーの反応などが描かれている。
くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン(ニッポン放送)
富山がラジオを聞き始めたきっかけは前身にあたる『知ってる?24時』で、初めてネタを採用されたのは番組内のコーナー「ツッコミ道場! たとえてガッテン!」という設定。2016年12月6日に放送された復活特番内で、上田晋也が本書を読んだことを明かしている。
ナインティナインのオールナイトニッポン(ニッポン放送)
ラジオ界の「大事件」として、2014年9月の番組終了、および『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』放送開始についての描写がある。
月曜JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力TBSラジオ
永川が富山に「新・勝ち抜きカルタ合戦」のコーナーにネタを送るように勧める場面がある。
火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ(TBSラジオ)
富山が番組のリスナーという設定。
木曜JUNK おぎやはぎのメガネびいき(TBSラジオ)
富山が永川の容姿や性格を番組内で度々用いられる「クソメン」という言葉で表現している。
JUNKサタデー エレ片のコント太郎(TBSラジオ)
富山、佐古田、永川が2014年11月2日11月3日赤坂サカスで開催された「TBSラジオ大感謝祭 ラジフェス2014」に出向き、番組イベントを観覧する場面がある。
爆笑問題の日曜サンデー(TBSラジオ)
前述の「TBSラジオ大感謝祭 ラジフェス2014」で3人が番組の公開収録を観覧する場面がある。
有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMERJFN
富山がアルコ&ピースを知ったのは、有吉弘行のアシスタントとして番組に出演したことがきっかけという設定。

ラジオドラマ

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オールナイトニッポン50周年
スペシャルラジオドラマ

『明るい夜に出かけて』
ジャンル ラジオドラマ
放送時間 2018年4月16日 25:00 - 27:00
(『菅田将暉のオールナイトニッポン』内で放送)
放送局 ニッポン放送ほか全国36局ネット
制作 ニッポン放送
ネットワーク NRNCBCラジオ
出演 菅田将暉
上白石萌音
花江夏樹
山下健二郎 ほか
プロデューサー 白川陽子
藤原悠佑
公式サイト 公式サイト
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2018年4月16日、『菅田将暉のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)の聴取率調査週間(スペシャルウィーク)企画として、オールナイトニッポン50周年スペシャルラジオドラマ『明るい夜に出かけて』が放送された[4]

オールナイトニッポン金曜日担当の山下健二郎三代目 J Soul Brothers)、同土曜日担当の春日俊彰オードリー)など、ニッポン放送に縁の深いパーソナリティが多く出演し、アルコ&ピースのオールナイトニッポンシリーズのディレクターだった石井玄が演出に携わったが、アルコ&ピース本人は出演せず、声優の浅川聡島田岳洋が2人の声を演じた。

キャスト

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スタッフ

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主題歌

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  • SUPER BEAVER「明るい夜に出かけて」(作詞:佐藤多佳子、作曲:SUPER BEAVER)

舞台

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2023年3月 - 4月、オールナイトニッポン55周年記念公演として、東京・本多劇場、大阪・サンケイホールブリーゼ、群馬・高崎芸術劇場で上演された[5]。主演は舞台単独初主演となる今野大輝[5]、脚本・演出はノゾエ征爾[5]

キャスト(舞台)

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スタッフ(舞台)

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  • 原作 - 佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』(新潮文庫刊)
  • 上演台本・演出 - ノゾエ征爾
  • 監修 - 石井玄ニッポン放送
  • 音楽 - 田中馨
  • 美術 - 乘峯雅寬
  • 照明 - おざわあつし
  • 音響 - オフィス新音
  • 衣裳 - ゴウダアツコ
  • ヘアメイク - 小林雄美
  • 演出助手 - 大江祥彦
  • 舞台監督 - 林和宏、弘中勲
  • 票券・運営 - サイライズプロモーション東京
  • 宣伝 - キョードーメディアス
  • 企画協力 - 新潮社
  • 制作 - 柴田紗希
  • 制作進行 - 北原ヨリ子(ycoment)、半田桃子
  • アシスタントプロデューサー - 佐野明子
  • プロデューサー - 宮奈々子
  • エグゼクティブプロデューサー - 高田陽平
  • 企画・製作 - ニッポン放送

脚注

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  1. ^ 佐藤多佳子 『明るい夜に出かけて』”. 新潮社. 2017年7月1日閲覧。
  2. ^ アルコ&ピースのラジオ番組が「山本周五郎賞」の下敷きに 当人たちは複雑な心境を吐露”. デイリー新潮 (2017年6月23日). 2017年7月1日閲覧。
  3. ^ アルコ&ピース、自身のラジオ描いた「明るい夜に出かけて」山本周五郎賞祝う”. お笑いナタリー (2017年6月23日). 2017年7月1日閲覧。
  4. ^ 菅田将暉 主演のラジオドラマが聴ける!!”. ニッポン放送. 2018年4月17日閲覧。
  5. ^ a b c d 7 MEN 侍の今野大輝が単独初主演「明るい夜に出かけて」脚本・演出はノゾエ征爾”. ステージナタリー. ナタリー (2022年12月1日). 2022年12月1日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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