日の浦姫物語(ひのうらひめものがたり)は、井上ひさし作の戯曲1978年7月1日に、文学座により、主演に杉村春子菅野忠彦、演出に木村光一という布陣で、渋谷東横劇場で初演、8月に国立劇場大劇場で上演、その後地方巡演[1]。 初出は「すばる」1978年8月号。新潮文庫では、『泣き虫なまいき石川啄木』(1992; ISBN 4-10-116825-3. C 0193) に収録。

34年の歳月を経て、2012年11月10日から、こまつ座ホリプロによりBunkamuraシアターコクーンなどで主演に大竹しのぶ藤原竜也、演出に蜷川幸雄という布陣で再演された[2]2019年9月6日からは、こまつ座により東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAなどで、主演に朝海ひかる平埜生成、演出に鵜山仁という布陣で上演された。

双子間の近親相姦と、双子から産まれた子供を取り巻く事情を描いた戯曲[3]であり、井上ひさし独自のユーモアに基づいた語り口が特徴。

参考文献

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関連項目

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脚注

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  1. ^ 文学座「日の浦姫物語」公演プログラム(1978)
  2. ^ 林あまり「巻頭リレー劇評 223 今月選んだベストスリー」:カモミール社『テアトロ』 872(2013/2)
  3. ^ 中世ヨーロッパのグレゴリウス伝説とこれを題材にしたトーマス・マンの『選ばれし人』、さらに江戸後期の戯作者田毎月丸(たごとつきまる)の『今昔説話抄』をもとに構想された作品(井上ひさし「グレゴリウス一世から日の浦姫まで」、文学座「日の浦姫物語」公演プログラム(1978)p.4-5および笹沢信『ひさし伝』新潮社 2012年p.235)。なお、グレゴリウス伝説を素材とする中世ヨーロッパ文学の作品のうち、邦訳された重要なものを挙げると、フランス文学では、「教皇聖グレゴリウス伝」(新倉俊一訳)、新倉俊一・神沢栄三・天沢退二郎訳『フランス中世文学集 4』白水社1996, p. 303-376、ドイツ文学では、ハルトマン・フォン・アウエ (Hartmann von Aue)「グレゴ―リウス」(中島悠爾訳)、平尾浩三・中島悠爾・相良守峯・リンケ珠子訳『ハルトマン作品集』郁文堂 1982 所収がある。