探索コスト
探索コスト(たんさくコスト、英: search cost)は取引コストやスイッチング・コストの一種で、情報収集や代案探索にかかる費用[1]を意味する。
完全合理的な消費者であれば、効用を最大化するために、限界費用が限界便益を上回るまで、より良い商品やサービスを求めて探索を続ける。しかしそのためには、多くの代案を考え、それを評価するために必要な情報を収集し、その代案の成果を計算し、他の代案と比較することが必要となる。この作業にかかる探索コストは時として膨大になり、それを差し引いた後の効用は最大化されなくなる可能性がある。
探索コストを考慮するときの効用の最大化を追求する理論は最適探索(optimal search)の理論、または探索の最適停止(optimal stopping)の理論と呼ばれ、労働市場における求職活動の分析などに応用されている[1]。
分類
編集探索コストは、外部コストと内部コストに分類される[2]。
例
編集インターネットは探索コストを削減してくれると予想されている[3]。その例の一つは電子商取引である。インターネットによって探索コストが十分に低くなり、消費者が小売店を利用する代わりに直接自分で取引するにつれて、仲介業者を排除して直接生産者と消費者が取引する状況を生み出すと予想されていた。
この結果として低価格が実現し、店ごとの値段のバラつきは少なくなるだろうとされる。
参考文献
編集- ^ a b 小田切宏之『企業経済学』(2版)東洋経済新報社、2010年、111頁。ISBN 978-4-492-81301-0。
- ^ Gerald E. Smith, Meera P. Venkatraman , Ruby Roy Dholakia, Diagnosing the search cost effect: Waiting time and the moderating impact of prior category knowledge, Journal of Economic Psychology 20 (1999) 285 – 314
- ^ Pedro Pereira, Do lower search costs reduce prices and price dispersion? Information Economics and Policy 17 (2005) 61–72