拳骨』(げんこつ、英語: The Exploits of Elaine, 「エレインの英雄的行為」の意)は、1914年(大正3年)製作・公開、ワートン製作、パテ・エクスチェインジ配給によるアメリカ合衆国サイレント映画シリアル・フィルムである[1][2]。日本での別題『エレーヌの勲功』(エレーヌのくんこう)[2]。本作の続篇が The New Exploits of Elaine 、続々篇が The Romance of Elaine として製作されたが、日本ではそれぞれの第1話を『拳骨 第十五篇 圧搾瓦斯』、『拳骨 第廿五篇』として、連続的に封切った。

拳骨
The Exploits of Elaine
あるシーンのパール・ホワイト
監督 ルイ・ガスニエ
ジョージ・B・サイツ
レオポルド・ワートン
脚本 チャールズ・W・ゴダード
ジョージ・B・サイツ
原作 アーサー・B・リーヴ
製作 レオポルド・ワートン
シオドア・ワートン
出演者 パール・ホワイト
撮影 アーチャー・チャドウィック
配給 アメリカ合衆国の旗 パテ・エクスチェインジ
日本の旗 天然色活動写真
公開 アメリカ合衆国の旗 1914年12月29日
日本の旗 1916年3月
上映時間 約280分(2巻もの全14話 各話約20分)
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
次作 拳骨
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略歴・概要

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1914年、フランスの映画会社パテ・フレール(現在のパテ)がパール・ホワイトを主演にアメリカで製作、同年3月31日にエレクトリック・フィルム・カンパニーが配給・公開したシリアル『ポーリンの危難[3]に引き続き、パール・ホワイトを主演にレオポルド・ワートンシオドア・ワートンのワートン兄弟が製作したシリアルである。本作は、エレクトリック・フィルム・カンパニーが配給し、同年12月29日に公開が始まるが、翌1915年(大正4年)の初めにパテ・エクスチェインジがエレクトリック・フィルムを吸収合併したため、それ以降はパテ・エクスチェインジが配給している[1]。本作は好評となり、続篇・続々篇が製作・公開された。

日本では、1916年(大正5年)3月、天然色活動写真(天活)が配給して、本作の第1篇『拳骨 第一篇 酸化薬の一種』が東京・浅草公園六区帝国館で封切られるが[2]、この時点でパール・ホワイト主演の前作シリアル『ポーリンの危難』は公開されていない[4]。本作の続篇・続々篇は、現代はそれぞれ異なるが、日本では引き続き『拳骨』として公開されている。これらの次に『ポーリンの危難』が同年10月14日、最初『遺産』のタイトルで公開されたが、日本ではさほどのヒットとはならなかった[5]筈見恒夫は本作をユニヴァーサル・シリアルの『マスター・キイ』、『名金』と並ぶ「スケールも大きく、当時の連続映画の代表作」として挙げている[6]

現在、本作の原版は散逸し現存しないが、第8-10篇の3篇を含む上映用プリントが現存している[7]。1994年(平成6年)、アメリカ国立フィルム登録簿に登録されている作品である[1]

スタッフ・作品データ

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キャスト

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クレジット順
以下アルファベット順

サブタイトル

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各話のサブタイトル、公開日の一覧である[1]

  1. 『拳骨 第一篇 酸化薬の一種』 The Clutching Hand  1914年12月29日  1915年12月4日  1916年3月[2]
  2. 『拳骨 第二篇 催眠剤』 The Twilight Sleep  1915年1月5日
  3. 『拳骨 第三篇 宝石の消失』 The Vanishing Jewels  同年1月12日
  4. 『拳骨 第四篇 氷結せし金庫』 The Frozen Safe  同年1月19日
  5. 『拳骨 第五篇 毒気の部屋』 The Poisoned Room  同年1月26日
  6. 『拳骨 第六篇 吸血鬼』 The Vampire  同年2月2日
  7. 『拳骨 第七篇 二つの陥牢』 The Double Trap  同年2月9日
  8. 『拳骨 第八篇 隠れたる声』 The Hidden Voice  同年2月16日
  9. 『拳骨 第九篇 殺戮放線』 The Death Ray  同年2月23日
  10. 『拳骨 第十篇 蘇生』 The Life Current  同年3月2日
  11. 『拳骨 第十一篇 午后三時』 The Hour of Three  同年3月9日
  12. 『拳骨 第十二篇 血晶』 The Blood Crystals  同年3月16日
  13. 『拳骨 第十三篇 偶像崇拝者』 The Devil Worshippers  同年3月23日
  14. 『拳骨 第十四篇 見覚え』 The Reckoning  同年3月30日

関連事項

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  1. ^ a b c d The Exploits of Elaine, Internet Movie Database (英語), 2010年7月15日閲覧。
  2. ^ a b c d e 『20世紀アメリカ映画事典』、編・畑暉男カタログハウス、2002年4月、ISBN 4905943507, p.42.
  3. ^ The Perils of Pauline - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。
  4. ^ 『20世紀アメリカ映画事典』、p.51.
  5. ^ 『20世紀アメリカ映画事典』、p.52.
  6. ^ 『映画五十年史』、筈見恒夫創元社、1951年、p.51.
  7. ^ The Exploits of Elaine, silentera.com (英語), 2010年7月15日閲覧。
  8. ^ Archer Chadwick - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。
  9. ^ Arnold Daly - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。
  10. ^ Raymond Owens - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。
  11. ^ Edwin Arden - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。
  12. ^ Leroy Baker - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。
  13. ^ Bessie Wharton - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。
  14. ^ Robin H. Townley - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。
  15. ^ Floyd Buckley - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。
  16. ^ M.W. Rale - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。
  17. ^ Howard Cody - IMDb(英語), 2010年7月15日閲覧。

外部リンク

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